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【高校物理】電気分野・磁気分野      「電磁気総復習」

2022年の大学入試期間中にTwitterでつぶやいた内容をまとめました

私が問題を選んだ基準は,
・ これからも狙われる可能性の高い問題
・ 大問1問を解く過程で,学びが得られる問題
・ 解いていて楽しい問題

です。

電気分野と磁気分野をまとめて「電磁気分野」としました。
本来は2つに分けるものではないのです。
(教科書・参考書などでは分けていますが…)

一つの分野をマスターすることは重要であると私は考えています。
その分野の中でのつながりが見えてくることに加えて,
他の分野とのつながりが見えてくることが大きいのです。
物理全体が有機的につながっていく感覚
是非つかんでほしいと願っています。

マナブ

【電磁気総復習 その1】
 名古屋工業大学(2019年) 過去問解説

「ファンデルワールス力」は,
化学を学んでいるときに突如登場する
「物理学的な雰囲気をまとった用語」です。
ただし,性質はある程度分かっているのですが,
その正体は不明です。
なぜ,分子量が大きいほど,また枝分かれが少ないほど,
大きくなる傾向にあるのでしょうか。
その正体に迫ろうとした ピーター・デバイ の理論をみてみましょう。


【電磁気総復習 その2】
 横浜国立大学(2020年) 過去問解説

問題文に従って解けば解けるのだけれど,
改めて考えてみるとどこかがおかしい。
そんな入試問題があります。
この横浜国立大学の問題もその一つです。

点電荷のつくる電位の基準点は通常「無限遠」です。
この横国の問題では,
「球面上に一様に分布する電荷のつくる電位の性質」
が与えられています

その結果出てくる電位の形が「無限遠基準」のときと同じ形
をしているので,「無限遠基準」だと思ってしまうのですが,
それが違うのです。
【解説】および【マナブ追加問題】で詳しく見ていきましょう


【電磁気総復習 その3】
 早稲田大学理工学部(1990年) 過去問解説

「はく検電器」の「はくの開き」から
検電器に蓄えられた電気量(電荷)を求めるための比例定数を求めます。

最終的には3つの実験結果から,
その比例定数を決定していくのですが,途中,
𝑽-𝒕 グラフから電気量を求める方法,そして比例式の取り扱いなど,
ポイントとなる操作がいくつか入っています。
解説に詳しく説明しておきました。

訂正: (6)の解説の 𝒅=3𝐦𝐦 のときは 𝑸₀ ではなく 𝑸 です。
   ツイートの下のPDFファイルは訂正したものとなっています。


【二次・私大対策】番外編
 慶應大学医学部(1981年) 過去問解説

こんな問題に出会ったら,どう対処しますか?
2022年国公立大学前期日程の初日に,
こんなツイートをしてみました。

どうでしたか。
文字数制限もそうですが,答えにくい法則もあったでしょうね。
物理法則には,成立するための条件が含まれています。
それを常に意識しながら使用しているかどうか,
を出題者は問うています。
なかなかいいところに目をつけたなぁと思います。


【電磁気総復習 その4】
 大阪大学後期日程(1990年) 過去問解説

コンデンサを含む回路問題は,
「電荷保存則」
「キルヒホッフ第 𝟐 法則」
この 𝟐 本の式を立てることが基本です。
その際,私はコンデンサに蓄えられる電荷を未知量とします
(電位差は,電荷と電気容量から導かれます)


【電磁気総復習 その5】
 防衛医科大学校医学科(2010年) 過去問解説

コンデンサが回路に入ってくると,
スイッチを入れた直後と十分時間が経った後の電流のふるまいは
(一般的に)異なります。
電位差ではなく,電位に注目して議論をする習慣をつけていれば,
何が起こるのかが分かります。
ホイートストンブリッジが組み込まれることが多いのですが,
回路がいつもの「ひし形」になっていなくても,
平衡条件に注目していなくても,
予測ができるようになります。


ツイート内でも紹介していますが,
「ホイートストンブリッジ」の解説動画です。


【電磁気総復習 その6】
 千葉大学(2021年) 過去問解説

この問題で使用するダイオードは理想的なもので,
ON(「閉」)の場合,
矢印の根元と先端とで電位差がなくなります


ダイオードが入っていても,回路問題は,
・電荷保存則
・キルヒホッフ第2法則

この2本を立てるところから始まります。
(いや…,この2本を立てれば終わります。)


【電磁気総復習 その7】
 岐阜大学(2016年) 過去問解説

ここから「磁気分野」に入っていきます。
まずは,荷電粒子が磁場から受ける「ローレンツ力」です。
応用例の「サイクロトロン」(加速器) の入試問題を解いていきましょう!

加速器は医療用に使われることがあるので,
医学部を受験する人は,
志望大学の医学部がどの種類の加速器を持っているか
を調べてみる価値はあります。


ツイート内でも紹介していますが,
「サイクロトロン」の入試問題の解説動画です。
さまざまな視点でサイクロトロンを語っていきます。


【電磁気総復習 その8】
 東北大学(2013年) 過去問解説

電磁気の分野で一番出題数が多い「電磁誘導」。
なぜ電磁誘導がこれだけ人気なのでしょうか。
それは,さまざまな要素を盛り込むことができるからです。
複雑な電気回路の問題にできます。
斜面やばねを用いて力学的な問題にもっていくこともあります。

そしてもっとも重要なのは,
磁場自体はエネルギーを生んだり消費したりはせず,
変換を媒介する役割
であるところにあります。
すなわち,
電磁誘導の本質は「磁場を介したエネルギーの変換である」
といえます。
この鳥瞰的な視点を受験生がもっているかどうか,
を出題者ははかりたいと考えているのだと思うのです。

電磁誘導とエネルギーの変換
磁場がエネルギーの変換を媒介する役割であることを示した
解説動画です。是非!


【電磁気総復習 その9】
 大阪府立大学(1987年)
 九州大学(2004年)<改題> 過去問解説           

電磁誘導の問題はさまざまなパターンがあります。
ここでは,よく見かけるパターンの問題を2問解きましょう。
大阪府立大学の問題は
「導体棒にばねをつけて一様磁場の中を運動させる」
(ただし,導体棒には一定電流が流れるように設定する)
九州大学の問題は
「回路にコンデンサを入れ,導体棒を落下させる」
(ただし,電気抵抗・空気抵抗・摩擦力は無視する)です。
それぞれ導体棒がどのような運動をするかを考察します。

𝒗𝑩𝒍 公式とファラデーの電磁誘導の法則
電磁誘導の講義動画です。


さらに電磁誘導の問題を解きたい人へ(マナ物理𝐧𝐨𝐭𝐞)

電磁誘導の講義をしつつ,練習問題を解いていく構成になっています。
入試問題を多数用意しました。


【電磁気総復習 その10】
 名古屋大学(2008年) 過去問解説

電気振動の際,回路に電気抵抗が入ると,
キルヒホッフ第2法則(電荷 𝒒 の2階微分方程式)が
(高校範囲では)解けなくなります。
名古屋大学はそこを「近似」で乗り越えようとしています
キルヒホッフ第2法則には現れないけれど,
エネルギー収支の式には現れるというちょっと苦しい近似ですが…。


さらに電気振動の問題を解きたい人へ(マナ物理𝐧𝐨𝐭𝐞)


【電磁気総復習 その11】
 東北大学(1988年) 過去問解説

最後は,電気回路の基本を押さえた「総復習」に適した問題です。
ただし,最後のコイルの並列接続をどうとらえるか,
という問題があります。
東北大学は,その問題に対して,
それぞれのコイルにどんな電流が流れるかを文章で説明しました。

誘導にのれば解けるのですが,
私はその誘導を無視した解説を試みています
これを受験生に求めるのはちょっと酷かもしれませんが…。

以上です。
マナブ

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