ティール組織 フレデリック・ラルー著

これまでの組織のタイプを分類すると以下のようになります。
衝動型(レッド)
順応型(アンバー)
達成型(オレンジ)
多元型(グリーン)
進化型(ティール)

進化型とは、エゴを抑制するセルフコントロールにより個人と集団の開放を目指します。内なる心の呼びかけに目を向け真摯に問いかけるという姿勢が重要となります。

  1. 自己管理

  2. 全体性

  3. 常に進化する目的

の3つが相互に強化し合います。

1.自己管理とは以下のような意思決定方法をとる文化を指します。
すなわち、大きな組織を運営するのに権力的な階層構造は用いず、トップが中間層に権限を移譲します。
その中で意思決定方法は「決定」に関与する人(その問題の専門家と決定後に共存する人たち)からの助言プロセスを前提に、集合知という形で発表され周知されるという方法を取ります。

また、報酬とインセンティブは単純です。
ボーナスよりも、単純に利益が上がったときにその一部を皆に分配するという方法を取ります。
昇給は自分たちで報酬引き上げ請求レターを書く権利が認められています。
すべての働く人たちがそれぞれ最大限強く健全な新しい自身に成長していくことができれば良いのです。

2.全体性を取り戻すということは組織文化により醸成できます。
仕事場が自分さえその存在を知らなかった自分自身の一面を発見できる素晴らしい可能性の場であると認識できることが期待されます。
仲間に対して耳を澄ましたり気遣ったりすることの雰囲気の良さが仕事場にあり、その文化はそれぞれの家族にとっても持ち帰ることのできる大きな財産となります。

習慣が文化を醸成します。

習慣として、心の奥深くから「深い真理」を浮かび上がらせるために「振り返りのための場」が必要です。次から次におこる事象に対して振り返ることで自己管理への道へと歩み出ていきます。毎度、お互い関係しあっているグラウンドルールが再確認されます。そこで育てられた信用、感情移入、共感は、最終的に組織全体に浸透していきます。ミーティングのはじめにショートストーリーを語る、エゴを抑えるためのルールをつくる、など、円滑に相互作用を生み出すための仕組みが重要になります。

3.目的は常に変化するものということ
未来のあるべき姿を予測してそれをコントロールするというよりは、まず組織がごく自然に向かうべき方向にただ耳を傾け、組織がそこにたどりつくように手助けすることを基本姿勢とします。
理知による予測制御よりも理性による感知応答を優先する。10~20年単位の戦略はあるが、1~5年の具体的戦術は必要ない。
必要なのは、方向性を感知し、新しいコースを始められる人たちです。彼らは、助言プロセスを使用して他の多くの人達が望むようなことを起こすことができる人たちです。
組織戦略というよりは組織確認が必要です。組織の目的を確認することで優先順位をつけることができます。年に一度、戦略ワークショップを開催します。そこでは、今、組織として重点をおくスタンスを誰にでもはっきりした形のガイドラインとして示す意義があります。

変革のマネジメントについて
個体レベルで生命が変化を必要とするとき、わたしたちは常に緊張を感じ、ときに喜び、ときに動揺します。こうした状況は成長期にはよく起こります。アイデンティティはそうした特定の状況において形成されます。変化が、外や上から強要されないとき、私たちが責任を強く感じるとき、わたしたちがこのすべてについて有用に会話できる安全な環境があるとき、そのときこそが、変化を受け入れることを容易に起こせるチャンスとなります。

現実の組織は非常な複雑性の上に立脚しています。ここで複雑について正確に認識する必要があります。つまり、煩雑=complicatedか、複雑=complexです。
飛行機のような入り組んだ煩雑(complicated)なシステムであると認識して変化に対して向き合っています。しかし、実際の組織は盛られたパスタから突き出た一端を引っ張るとどうなるか予測できない複雑(complex)の性質を持っています。この一端を引っ張りながらうまく引くことができないときは一旦手を休めて、もう一度よく観察し、どこか他の端を引っ張り始めます。



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