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感情的な指導は組織にとって損失

過去に人事労務のサポートメンバーとして働いていた時のことです。

これまで人事労務のメインメンバーとしての経験から別の部署からある社員の賃金を上げるから申請書の書き方を教えてほしいと相談を受け、雇用契約書作成時に必要な申請書類の書き方を指導しました。

その雇用契約について賃金を上げた内容で決裁がおりましたが、賃金改定後の最初の給与支給が終わった数日後に所属長から、その社員に通常の社員にはつかない手当が支給されていたことについて、「決裁者の承認を得るなどの手順を踏んでいない」と強い口調で感情的に指導されました。

実際には、雇用契約書に手順を正しく踏んだ上で支給されており、所属長も決裁時に押印していましたが、内容確認が不十分であり、所属長は給与支給後に金額だけを見て判断してしまい、誤った指摘をしてきました。

最終的に、雇用契約書に記載して決裁されていたため、手順的には問題なく、私の処理が正しいことが認められました。

しかし、所属長の感情的な対応によって、私も感情的になり、精神的に回復し、通常のパフォーマンスに戻るまでに時間がかかりました。

感情のリカバリータイム

怒りや落ち込みといった強い感情から正常な気持ちに戻るまでには、一定のリカバリータイムが必要です。

このリカバリータイムは個人差がありますが、一般的には数分から数時間、場合によっては数日間かかることもあります。

感情が安定するまでのこの時間中は、通常のパフォーマンスが発揮できず、結果として時間のロスが生じます。

例えば、職場で上司から厳しい叱責を受けた場合、その後の業務に集中するのは難しくなります。

感情の整理がつかないまま仕事を続けると、ミスが増えたり、生産性が低下したりすることが多いでしょう。

これは、落ち着くまでの時間が無駄になるだけでなく、その後の仕事の質にも悪影響を及ぼします。

企業における時間ロスの影響

感情のリカバリータイムが生じることによる時間ロスは、個人だけでなく企業全体にも大きな損失をもたらします。

社員一人ひとりが怒りや落ち込みを感じ、その感情を処理する時間が必要となると、その間の業務効率が低下します。

これが積み重なると、全体の生産性が著しく低下し、企業のパフォーマンスに悪影響を与えます。

具体的には、以下のような影響が考えられます。

  1. 業務の遅延
    感情のリカバリータイム中に業務が遅延し、プロジェクト全体の進行が遅くなることがあります。これにより、納期に間に合わなくなるリスクが増大します。

  2. 品質の低下
    感情が不安定な状態で作業を続けると、注意力が散漫になり、ミスが増えることがあります。これにより、製品やサービスの品質が低下し、顧客満足度にも影響が出る可能性があります。

  3. 職場の雰囲気の悪化
    ネガティブな感情が職場全体に広がると、コミュニケーションが円滑に行われなくなり、チームワークが損なわれます。これにより、協力して業務を進めることが難しくなり、生産性がさらに低下することがあります。

  4. マネジメントの機能不全
    マネージャーがメンバーを感情的に指導することは避けるべきです。指導者が感情的になると、指導を受ける側も感情的になりやすくなり、状況がさらに悪化します。冷静で公正な態度を保つことが、チーム全体の安定とパフォーマンス向上に繋がります。

対策と改善方法

怒りや落ち込みによる時間ロスを最小限に抑えるためには、以下のような対策が有効です。

  1. 感情の認識とコントロール
    感情を無視するのではなく、まず認識し受け入れることが重要です。深呼吸や瞑想、軽い運動などのリラクゼーション方法を取り入れ、感情をコントロールするスキルを身につけましょう。

  2. ポジティブな環境作り
    職場でのストレスを軽減し、ポジティブな気持ちを保つために、リラックスできるスペースの設置や、コミュニケーションを促進するための定期的なミーティングを行うことが有効です。

  3. サポートシステムの活用
    感情的なサポートを受けることで、ネガティブな感情から早く立ち直ることができます。信頼できる同僚やカウンセラーと話すことで、感情の整理がしやすくなります。

  4. 冷静なマネジメント
    マネージャーは冷静な態度を保ち、感情的な指導を避けることが求められます。建設的なフィードバックを提供し、感情的なトリガーを避けることで、メンバーが安心して業務に取り組む環境を作り出します。

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