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「米中衝突と同盟関係」(フォーリン・アフェアーズ・リポート2024年2月号)一言感想

グローバリスト側の視点で、今どのような事が起きているのかを知るために読んでいます。
(私が支持する考えは国家(国民)主権で、反”行き過ぎた”グローバリズム です。)

今月は論文8本と、普段より少なめでした。


米中衝突と同盟関係

①米中戦争と台湾・第一列島線 - 戦争の長期化・広域化と多領域化に備えよ

アンドリュー・F・クレピネビッチ ハドソン研究所シニアフェロー

台湾有事の分析というか、煽る可能性のある(と私はみている)論文。

ポイント
・米中のパワフルな同盟国として、ロシアを中国側、インドを米側と論じていましたが、BRICS=中露側だと私は考えます。(しかも、100%中露では無くうまく立ち回る。)

・米中はお互いのレッドラインを認識する必要があるという事は、一見正しい主張に思えますが、米国は相手のレッドラインを使って挑発しそう。

・「ウクライナ戦争の経験で明らかになったように、アメリカと同盟国の軍需産業には生産強化能力はない」と、さらっと認めていました。認めたということは、同盟国(属国?)に、生産に協力せよと宣言したと読み取ります。

私の考え
日本の対応は、視野を日本だけではなく、影響の大きいアジアの諸国・もしくは世界全体の平和を考えた選択をして欲しい。

第一列島線とは


②米中地政学とグローバル経済 - 同盟国との経済連携の強化を

ピーター・E・ハレル 元米国家安全保障会議シニア・ディレクター

『中国の行動を変化させることを意識した経済政策を模索するのではなく、アメリカは習金平体制が変わらないことを受け入れるべきだ』とし、貿易協定、気候変動対策、WTOへのアプローチ、オンラインセキュリティー、途上国へのアプローチ等、幅広い提言をしている。

私が気になったのは、下記部分です。
『近年では、中国、ロシア、そして多くの途上国がワシントンによるドルの兵器化を脅威とみなし、ドルに代替できる準備通貨の確立を試みている』
とし、ロシアに経済政策が効いていない現状が、その成功の兆しであるとしている。

私は、現状の金持ちが力を持って世界を支配できる仕組み が間違っていると思うので、BRICS通過等には大いに期待します。

私の別記事
https://note.com/mana_dd00/n/nb0f1d64b4699


プーチンと欧米右派の連帯?

③プーチンが思い描く「極右インターナショナル」とは - 世界の極右を連帯させて、欧米を揺るがす

ミハイル・ザイガー シュピーゲル誌コラムニスト

まずタイトルですが、日本語訳の問題でもあるとは思いますが、「極右」は悪意を感じます。
なお、foreigin AffairsのPodcastで、「putin as evil」と言っていました。世界最大の影響力を持つシンクタンクであれば、それに相応しい論理的な主張をして欲しいです。

プーチンを批判する意図で、プーチンの政策もろもろを記載しています。先入観無く読めば、読者は政策の良し悪しについて冷静に考えることができる、ためになる論文です。(それが狙いだったらすごい)


「LGBTの「プロパガンダ」を禁止する2013年の法律で、18歳未満が視聴する可能性のある映画やテレビ番組にゲイのキャラクターを登場させることは禁止された。」

私の考え:一見過激な政策に思えますが、LGBT推進派の、判断基準が確率していない子供に「あなたもLBGTQかもよ」と刷り込む事よりはよっぽど健全だと思う。


④欧州の戦争疲れ - ウクライナへの支持低下をいかに覆すか

スージー・デニソン 欧州外交問題評議会 シニア・ポリシーフェロー
パヴェル・ゼルカ 欧州外交問題評議会 シニア・ポリシーフェロー

ウクライナ紛争をウクライナの勝利で終わらせるために、ウクライナのEU(NATOじゃない)加盟を認め、支援を継続する必要があるとする論文。

抜粋『
指導者たちは、これをロシアのウクライナに対する戦争としてだけでなく、欧州に対する戦争としてとらえるべきだろう。ウクライナが戦争の泥沼にはまり、ロシアが勝利すれば、EUはさらに大きなコストを強いられ、欧州は隣接国からの直接的脅威に永続的にさらされることを有権者に認識させるべきだ。ウクライナのEU加盟が、安定、繁栄、自由の空間を拡大することで、一般の欧州の人々にも利益を与えることを明確にし、EU拡大をより強く支持する議論も示す必要がある。

私は、軍事物資を送る事は辞めて、停戦することを支持します。

参考リンク こういう人道的な支援は素晴らしい


漂流する超大国

⑤自己を見失った超大国 - 自ら築いた世界に背を向けるのか

ファリード・ザカリア 国際政治分析者

反トランプ論かなと思いきや、バイデンの批判も書いているし、さらには、下記のように富裕国批判も書いている興味深い論文。

WTOのオコンジョ=イウェアラ事務局長は、富裕国はこの上ない偽善行為をしていると主張している。富裕国は、「もはや公平な土俵で競争することを望まず、ルールに基づくシステムではなく、力に基づくシステムに移行することを望んでいる」

気になったので、論文著者の他の記事等を調べました。
フォーリンアフェアーズの他の論文

著書

番組


トランプと地政学

⑥トランプと地政学 - 変化し始めた同盟国と敵対国の立場

グレアム・アリソン ハーバード大学教授

抜粋『
1年後にドナルド・トランプ前米大統領が実際にホワイトハウスに戻ってくるかもしれないことを意識し始めている外国の指導者たちもいる。対米関係に「トランプ・プット」として知られるようになるかもしれない要因を織り込みつつある外国政府もある。こうした政府は、トランプが事実上、自国にとっての悪い状況の歯止めを提供してくれると考えている。こうして、1年後には、ワシントンとより良い条件で交渉できるようになるという期待から、現状での判断を先送りしている。対照的に、「トランプ(リスクの)・ヘッジ」を模索している政府もある。トランプの大統領再登板によって、より悪い選択肢しかなくなる恐れがあると考える政府は、それに応じた対応を進めている。

論文著者は、トランプ・ヘッジを唱えている、民主党側の論です。

⑦共和党外交の再建はできるか - アメリカファーストと国際主義の相克

ジェラルド・F・セイブ 戦略国際問題研究センター シニアメンター

共和党内のグローバル派と、孤立主義派(アメリカ・ファースト)の対立の歴史を述べつつ、その上で反孤立主義(反トランプ)を論じている、グローバリスト側の論文。

歴史
抜粋
『1992年と1996年の大統領選では、共和党の政治顧問でコメンテーターのパトリック・ブキャナンが、長年にわたるエンゲージメントのメリットを否定し、アメリカファーストの貿易と移民流入を阻む障壁の導入を独自に提唱した。』

『それでも米市民は、世界でアメリカが力強いプレゼンスを維持することを望んでいた。ネブラスカ州選出の上院議員で後に国防長官となるチャック・ヘーゲルが、2004年にフォーリン・アフェアーズ誌で発表した、共和党の外交アジェンダをテーマとするエッセーは、当時の一般的な考えを示していた。』
https://www.foreignaffairsj.co.jp/articles/200407_hagel/
『そのリストには、同盟国の支援、自由貿易の拡大、外交団の支援、中東の民主化改革の促進、中国との関係深化、エネルギー安全保障の強化などが含まれていた。』

→アフガン、イラクとの戦争疲れを経て、トランプへ続く


⑧パスポート売買ビジネス - 市民権、国籍の値段と意味合い

アトッサ・アラクシア・アブラハミアン ネーション誌シニアエディター

外国人に”政府公認の”パスポートを販売する産業が急成長しており、そのビジネスの参入国のGDPを押し上げているそうです。

ビジネスについては、パスポートを普通に発行できる我々日本人にはピンと来ないと思いますが、GDPに関していえば、パスポートビジネスに限らず、訴訟がビックビジネスになっているアメリカで、それがGDPに含まれているなど、大いに問題があるというか、経済指標としてあまり信憑性のあるものでは無いと思います。

物理空間のお金(原材料など)と、情報空間のお金(デザインなど)を分けて扱うというのは苫米地英人博士の考え(※)ですが、そのような、今の仕組みの根本解決が世界中で議論されることを望みます。
※確か、この辺の本に書いていたような。


論文著者の著書

論文内で紹介されていた著書


フォートトーク生成

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