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東京の休日 #111 〜「上野リチ」展:京都とウィーンが美しくとけ合う世界に心癒されました〜

恥ずかしながら、
今回初めてそのお名前にふれた
上野リチ・リックス(上野リチ)氏。

ところが、
館内へ足を踏み入れた途端に
彼女の紡ぎ出す世界に魅了されておりました。


訪れたのは、
三菱一号館美術館(丸の内)で
開催されている

『上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー』展

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こちらの展覧会の
魅力3点をお伝えする前に

まずは、上野リチ氏のご紹介を。

1893年(明治26年)
オーストリアのウィーンに生まれます。

ウィーン工芸学校卒業後、
ウィーン工房でテキスタイルデザインを担当。

1925年(大正14年)に
京都出身の建築家・上野伊三郎氏と結婚し、
翌年京都に渡ります。

これが日本に活動の場を広げるきっかけに。

晩年には、ご夫婦協働で
製作した建築物もあります。


では、展覧会の魅力のお話を。

一つ目は、
「京とウィーンの美しき混在」でしょうか。

オーストリアを代表する画家
グスタフ・クリムトやエゴン・シーレに通ずる

色合いと構図の大らかさと


伝統的な京都の文様の
遊び心と上品さをあわせ持つ様が

見事にとけ合っているのです。

こちらの展覧会で、
一番心惹かれた

《ウィーンのクリスマス市》

はヨーロッパの冬の風物詩
クリスマスマーケットの様子が

絵巻として描かれているのです。

多様で鮮やかな場面の多い
クリスマスマーケットは
たしかに絵巻にぴったりのテーマなのですが

これを作品にできるのは
上野リチ氏しかいないだろうなと
思わされる作品でした。



二つ目は、

「小さな世界の豊かさ」。

両手のひらにすっぽりおさまる大きさの
七宝飾箱。

《七宝飾箱:馬のサーカスⅠ》

《七宝飾箱:馬のサーカスⅡ》

それにもかかわらず、
見つめていると

そのデザインの豊かさに
世界の広がりを感じるのです。

とても不思議な感覚でした。



そして、三つ目は、

「今を生きるデザイン」であること。

進化を続けるとも
言い換えられるかもしれません。

この絵柄を、たとえば
お着物として纏いたいな

ハンカチをして
バッグに忍ばせたいな

などと想像しながら
鑑賞することも
愉しいのです。

どのデザインも宿るものによって
違った光を放ちそうと
わくわくさせられます。

実際に、ミュージアムショップの
グッズもとても可愛いかったですよ。


今回は、
豊かで美しい世界に心洗われた

『上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー』

について書かせていただきました。

四月中旬には作品の展示替えが
あるようですので
また伺いたいと思っております!

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写真・文=Mana(まな)

『上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー』
会場:三菱一号館美術館
 東京都千代田区丸の内2-6-2
会期:2022年2⽉18⽇(⾦) ~ 5⽉15⽇(⽇)*展⽰替えあり
 前期:4⽉10⽇(⽇)まで/後期:4⽉13⽇(⽔)から
開館時間:10:00〜18:00 ※⼊館は閉館の30分前まで
(祝⽇を除く⾦曜と会期最終週平⽇、第2⽔曜⽇、開館記念⽇の4⽉6⽇は21:00まで)
休館日:月曜日*と展⽰替えの4⽉12⽇
 *但し、2⽉28⽇・3⽉28⽇・4⽉25⽇、3⽉21⽇、5⽉2⽇、5⽉9⽇は開館
https://lizzi.exhibit.jp


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