見出し画像

【シンガポールに行こう・総括編】#3 アジア経済と日本

サマースクールのおしまいとして、アジア・世界の経済問題と日本について記したいと思う。

Super-aged Societyを抱える国、日本。

出生率が低下し続ける国、日本。

就職の話をすれば、その先に同時に訪れるべき2000万円問題を語り、社会保障と老人ホームについて考えている若き日本人たちのひとりとして、サマースクールで語られた日本の姿を書き起こしておきたいと思った。

小さくなる人口

人口が小さくなる国である。教授はそれを指摘して、移民について述べた。どこかで、Demographic Devidendについて触れた。日本と韓国は1960年代と1970年代にそれを経験して、その結果経済を大きく大きくした。日本のこの期間はもうずっと前に過ぎ去り、高齢化が進む。
外国から労働力を借りるために労働ビザを発行することにしたけれど、「民族の統一性」を重んじるがために定住は許せない制度になっている。長い伝統と、民族の統一性を重んじて国をある意味で閉め切った制度を、先生は文化的な感情はなかなか変わらないからね、と説明した。

大きくなった経済

今日において、アジアの地域統合が進む中で、日本と中国は大きな役割を果たす(と先生は語る、以下全て語末に「先生は語る」がつくが、面倒な時はつけないで書いてしまうと思う)。
アメリカが後ろに下がっていった間に、日本はアメリカ抜きComprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership (環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定、以下CPTTP)を完結させた。
ASEANが主導して、Regional Comprehensive Economic Partnership(地域的な包括的経済連携、以下RCEP)も立ち上がった。今まで拡大してきた経済規模に加えて、地域統合を進めることで、アジアがより世界経済に発言権を持つようになっている。
アメリカドルの世界通貨としての役割が弱まりつつあるように見える時もある。デジタル通貨が台頭し、中国が率いる開発銀行が台頭し、アメリカ中心だった世界はどんどん変貌を遂げている。一方で、日本はアジアインフラ開発銀行に参加していない。
先生の語るアジア経済を見ていると、日本と中国はまるで、アメリカ中心だった世界経済に対抗できる存在であるかのように見える。日本はアジアの中であまり多くない先進国であり、国際協力等への出費も少なくない。

内政にさまざまな問題を抱えながらも、外では重要な役割を担うことができるように思われている国。日本という国に輝かしい将来はあるのだろうか。

愛される国を作ること

シンガポールという国は、人がすこぶる無表情で、それでいて優しい国だ。私は日本人です、と自己紹介すると、「日本好きだよ!」と言って色々なエピソードが、短い日本語が、もしくは旅行してみたいんだよね、という言葉を浴びることが多々ある。シンガポールでも、ロンドンでも、オーストラリアでもそうだった。アジアの端っこの、経済は散々発展しているけれど、小さな小さな島国(人口は大きい)に対して、何を持ってこんな好意的な感情を持つのかしら、文化交流かしら、と、不思議に思っていた。だけど、今なら少し気持ちがわかる。シンガポールという国の人たちは、本当にやさしい。

同時に、シンガポールと日本は戦争の歴史を共有している。第二次世界大戦中に日本が侵略戦争をしたということは、さまざまな博物館に強く残されている。それでもこんにち、日本企業はシンガポールに進出してそこそこ良好な国交を築けるようになった。戦争の記憶を持つ国が、将来に国交を繋いで来られたということ。

たった3週間だけどシンガポールに滞在して、シンガポールの優しい人たちに散々優しくしてもらって、次にシンガポールから来た人に会ったら私は「シンガポール、行ったことあるけど本当に素敵な国だよね!」と言うと思う。そこには接客業につく人々の優しさがあり、その優しさを「価値があるものである」と認められる社会があり、旅行客が垣間見ることができる、尊敬すべきシンガポールという国が築いた文化や経済がある。同時に、「人の温かさ」が価値であると認められる社会なのだな、と思った。そういうルールや効率性や独立さの外側にある優しさや思いやりが「価値のあるもの」であるという価値観を持った文化圏。きっと、日本もその文化圏の一部に含まれていると信じている。観光大国でもある日本が、外国から来た人々に、同じような感慨と感動を与えられる国であり続けられるといいな、と思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?