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【日記】6月3日から5日くらいにかけて

廣榮堂の吉備団子(岡山土産の定番)。

祭り

英国はお祭り模様だ。6月2日に女王陛下が在位70周年を迎え、6月2日から4日までが国民の休日である。Platinum Jubileeという祝日になっていた、らしい。パレードやら飛行機が飛ぶやらしていたみたいだが、華麗に全て見逃して、普段よりも営業時間の短いスーパーマーケットと、昼間から飲み散らかす群衆による恩恵を被るに留まった。

グダグダ

大学が実質上の夏休みに入って、試験と課題が終わった瞬間に日本に帰り、爆速で帰ってきてアルバイトと試験対策に勤しんでいたのだが、今度はアルバイトが店休に入り、途端に全てのやる気を失った。

アルバイトが休みに入ってから、やったことといえば写真の整理と大掃除と、読書である。幼い頃からの習性で、物語であればいくらでも読み続けられる。本が尽きるまで。

どうやら私は、人とのコミュニケーションが苦手なくせして、もしくは避けようとしているくせして、拘束力及び社交性のある何か、つまり大学やらアルバイトやら課外活動やらに勤しんでいないと途端にパーソナルな部分までダメになってしまうらしい。忙しさの合間合間に見つける自由時間を有効活用が好きなわけで、自由時間を中心においたキャリア構築は向いていないわけだ。精神を摩耗しないと生きていられないのか。

シャワー

断水した。厳密にいうと、うちのマンションは温水と冷水が別の配管を通ってきているのだが、冷水だけが出なくなった。温水は出るのだが、冷水がまざらないので、必然的に熱湯が放出されることになる。シャワーを浴びている途中に突然冷水が止まって、頭皮が焼けたかと思った。

マンション全体全体で断水したので、受付で飲み水が配られた。し、マンションの会報みたいなのでは、’Please use “cold” hot water (冷やした熱湯を使ってください)’ という謎の勧告がなされた。英語という言語の組み立て。

日曜日かつ国民の祝日だったにもかかわらず、水問題は1日で解消した。

黄色いチューリップ

重い重い腰を持ち上げて大学の自習棟で勉強していたら、不意にツンとタバコとウィードと垢と香水が全て混ざったような匂いがした。パソコンから視線をあげたら、近くのソファに男性が座ったらしかった。学生証がないと入れないエリアで勉強しているので、怪しい人ではないーらしい。弊学の学生証がどれだけ高いセキュリティ性を提供しているのかは知らないが。

強い匂いというものが好きではないので(ウィードの匂いを好くのは得策ではないだろうし)席を移るか、と思っていたら、男性がすっと私の横に立った。

口をパクパクと動かすので、イヤフォンを外せば、Happy Birthdayと言いながら手に持っていた黄色いチューリップを差し出してきた。

Noと答えた。ただでさえ国際法の講義が難しいのに、大学で厄介ごとを増やさないでおくれ。前提知識として、花を差し出してきて、相手が受け取ったらその代金を取る、というのはよくロンドンの路上で発生するぼったくりの手段である。一回引っかかりかけたことがある。路上で差し出されたものに反応してはいけないし、声をかけられても立ち止まってはいけない。

ウィードの匂いを覚え、ぼったくりの手法を覚える。

大学構内とはいえ、そこまで気兼ねなく勉強できる場所ではなかったらしい。

人に会う

立て続けに人に会った。

大学の偉い先生。レモネードを奢ってもらって、2時間30分相槌を打ち続けた。年上の人、自分より社会的地位の高い人の話を聞くのは、自分の話をするよりずっと得意だ。相手がプロフェッショナルであればあるほど、自分が無知であることを恥じなくていい。頭をフル回転させて話が広がるトピックを考えながら、スポンジのように聞いた話を吸収する。正しいか正しくないかはまた別の話で、後々自分の中で噛み砕いて、自分の中で結論とすれば良い。

奨学金の同期。国も大学もルートも全然違う45人の同期が世界中に散らばっていて、たまに会う。たまに。ロンドンには日本人の正規留学生というものは多いが、物事に対する価値観や興味分野が根本的に合わないな、と感じることは多い。出身校で似た価値観を共有する者に囲まれて6年を過ごしたあの心地よさを知っているから(もしくは、振り返った時にあれはおそらく心地よかったのだなとわかるから)、ますますその違いに敏感になる。その中で似たような思いを持って進学した奨学金の同志たちは、学ぶところも多い。結局そうやってComfort Zoneに留まっているのでは、と言われたらそこまでなのだけれど。

国籍が同じであろうが、学部が同じであろうが、もしくは国籍が異なろうが、学部が違おうが、他人は他人だし異なる価値観は異なる価値観である。どこにいようと。


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