見出し画像

【日記】世界に手を伸ばすこと

嬉しかったことがいくつかあった。数ヶ月前の下書きを発掘。

嬉しいこと

一つ、嬉しいことがあった。論文に落とし込むほどではないけれど、ぼんやりと興味を持っているトピックがいくつかある。そんな時に、偶然それに関連するような形で授業をやっている先生がいることがわかった。聴講できないかと思って調べてみたら、申し込み期限を過ぎていて、でもどうしても聴講したくて、お願いのメールを一か八かで送ってみた。その6時間くらい後に返信がきて、許可します、とのことだった。私の在籍大学は日本であまり知名度のない大学だし、全くの見知らぬ学生が、突然長々と己の興味を言って聴講を依頼してきたのに、それを受け入れてくれる懐の広さに、ただただ驚いた。

もう一つ、嬉しいことがあった。強い興味を持った企業さんがあった。残念ながら夏のインターンに選考漏れしたのだが、ロンドンに事務所があったので、一か八かと思い、インターンを募集していませんか、とメールを書いた。CVもつけた。1週間経っても返信はなくて、しかもそもそもロンドン事務所では採用をしていないから、返信は来ないだろうな、と思った。ちょうど2週間経って、日本語でメールがきた。事務所の偉い方が1時間も取って、私の話を聞いてくれた。と言うよりは、私がいろいろ聞かせてもらった。お話の内容が本当に本当に、言葉に出来ないほどの価値があるもので、それはまた別のNoteに書いたのだけれど、帰りの電車でちょっと泣いた。私は涙腺が本当に弱くて、喜怒哀楽全ての感情において昂ると泣くのだけど、尊敬と畏敬の念で泣いたのは初めてだった。そして、背景に何があったのかわからないけれど、そう言う人が、こんな小娘(20歳)に貴重な貴重な1時間(実際はもっとだった)を使って話を対応してくださったというその事実が、本当に嬉しかった。ふわふわした書き方になったが、できるだけ詳細を伏せた結果である。

最後にもう一つ、嬉しいことがあった。大学が学費を出してくれる1ヶ月の交換留学に選考された。1ヶ月を交換留学と言うかはまた難しいものだが、外国の大学に滞在して単位を取得するものである。倍率はどれくらいだったのかわからないけれど、全学部対象に応募対象が開いていたので、そこそこ応募があったんじゃないかと思う。学費を英国人学生の2倍以上払っているのだから、学費の回収かもしれない。でも、それ以上に、私はこの留学において「ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジの学生」として派遣されるわけで、そして選考の小論文的なものでそこで学びたいことをひたと書いたわけであり、それを価値のあるものであると認め、私に許してくれたことが、私は嬉しかった。

世界に手を伸ばすこと

高校生の時、私の良いところの一つと言えるものは、とりあえずやってみる精神があった。とりあえずやってみればどうにかなるだろう、と思いながら、生徒会に参加したり、短期海外訪問に手をあげたり、国内のキャンプに手を出したり、いろいろなことをした。生徒会の同期・先輩・後輩たちは「頭が良い」というよりも「頭が切れる」タイプの人たちで、彼ら彼女らと接しながら「この人たちには敵わないな」と毎日のように思っていたのだけれど、良い刺激ではあった。
高校生を終えて、ファンデーションコースに入って、どうしても越えることのできない壁を何重にも実感して、人間関係にも疲れて、住まいも落ち着かなくて、私の手は私自身を支えることで手一杯になっていたように思う。成績は良かった。だけど、手の届かないものが確実に存在していた。努力では辿り着けないところがある。それをしっかりと実感したことは、20歳における大きな到達点であった。英国の大学で、自分で頑張れるところと頑張れないところのちょうど境目を、両手を広げてバランスをとりながら、どちらか片方に転ばないように歩いているような。
そんなことをしつつ1年を終えて、大学生になった。年内はまだバタバタしていた。9月に大学が始まって、目が回るように1学期を過ごし、冬休みはインフルらしき高熱とコロナらしき高熱で終わった。ハイパー・知恵熱だったのかもしれない。
そして2学期になって、気がついたら、気になることに手をのばしていた。そうして、また知らなかった世界を覗き見て、人の話を聞いて、自分の考えていることを他者という意味での世界にぶつけて、ちょっとドキドキしながら、何か新しいことに首を突っ込もうとしている。多分それは、いいことだ。
2つ目にお話を伺いに行ったロンドン事務所の方は、これから長いでしょうから、他の職員にも話を聞きに来てみてくださいね、とおっしゃってくださった。社交辞令かもしれない。多分社交辞令だろう。だけど、そうやって見知らぬ私と向き合ってくれた大人たちがいることが、私には表現できないくらい大きな意味を持っていた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?