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こころじっくvol.01「話す事を止める」

鍼灸師まなです。

私は、現在静岡大学「みんなの認知症情報学会」に所属しています。その中で、2019年ごろから、「痛みプロジェクト」として痛みの認知の課題、そのケアについて共同研究をスタートしました。

その中で愛知医科大学痛みセンターの青野先生に言われた、「うつだった事、それが改善していったというのを伝えていくのは、米倉先生の義務だと思いますよ」の一言に影響を受け、自分の内情を外に見える化してみようとチャレンジ。

とはいえ、何から始めたらいいのか分からず、みんなの認知症情報学会の柴田さんに協力を仰ぎ、進めてまいりました。今回は自分の身にあった、私が「話をやめてしまうこと」について書いていきたいと思います。

【まずはざっくり書いてみた】

ますはマインドマップ的に?線を繋いで?書いてみました。(字が下手くそなのもご愛敬で)

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私が何か言われて「嫌だな」と感じたとする。それを、スルーしていたら相手は良かれと思って何度も繰り返しアドバイスをしてくれるので、なんだか違うなと感じて私が結果的に話すこと自体を辞めたというお話です。

私は現在、オンラインサロン「ここちめいど」にて傾聴のトレーニングも提供しているので、「アドバイスするのは患者さんの為じゃないよ」と言っていましたが、この経験により、一層「なぜアドバイスが患者さんの為ではないのか」を言語化できるようになりました。

さて、これをもう少しシンプルにしたいと思います。

【ストーリー(起きてる事)と、感情(内部での事)に分ける】

では、ここでこれは実際に起きている事なのか?それとも、内部の認知の事なのか。認知であれば、受け取った情報を私が自分の価値観に照らし合わせて事実と認知してしまっていないか。

それを確認する為に、「ストーリーネット」に一度起こしました。

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また、その隣に「コンセプトネット」として1つ1つのストーリーに絡む感情等も表現しました。

【柴田さんのご意見↓】

主人公視点の感情遷移が表現されていますね。
これに加えて、できれば一般化したStoryNetも作れたらと思っています。
イメージとしては、StoryNetに記載する情報には「事象」だけ表記したいなと思っています。
「嫌だな」「もやもや」は、「出来事」か「整理のため友人に話す」が行われたときに、主人公が感じた感情、心的状態かと思います。
なので、StoryNetには記載せず、ConceptNetに記載いただくのがいいかなと。
「事実」と「主人公の感じたこと・感情・思い」は分けたほうが、分かりやすそうです
「求めていたものではない」は、「アドバイスされる」にひも付けられる、主人公の感情かなと思いました。
「アドバイスされる」は、誰か誰に何をアドバイスしたかの情報がほしいですね。
ConceptNetは、各要素の矢印にどういう位置付けか書いていただけたらと思います。

▶︎ストーリーネット(StoryNet)とは…
StoryNetは、マサチューセッツ工科大学 (MIT) メディアラボが主体の人工知能プロジェクトが構築した技術のうちの一つで、事例に基づくストーリースクリプト(いろんな場面や状況における「"物語"の脚本」が近いかもしれません)で表現されるインタフェースツールです[1] (※1)。本家では、一般の人々による100万以上の物語の脚本を集めて分析を行い、推論メカニズムの開発等を行っています。
今回は、対象場面を一つのストーリーに見立て、有向グラフで特徴的なシーンをノード(○で囲った要素)で表現してもらいました。後述するConceptNetの表現とも連携して表現できるので、それぞれの状況を深堀りして検討する際に有用と思い、本モデルを使用しました。詳しくは、Pushの論文(英語)、MITの紹介サイト(英語)をご覧ください。
[1] https://www.media.mit.edu/projects/storynet/overview/
[2] https://link.springer.com/content/pdf/10.1023/B:BTTJ.0000047601.53388.74.pdf

※1…本家では、推論ツールの大規模なデータベース、そして事例ベースの常識的な推論に使用できるストーリースクリプトを構築していますが、ここではStoryNetのデータ表現モデル部分を使いました。


▶︎コンセプトネット(ConceptNet)とは…
ConceptNetは、マサチューセッツ工科大学 (MIT) メディアラボが主体の人工知能プロジェクトが構築した技術のうちの一つで、巨大なコモンセンス知識ベース (commonsense knowledge base, ※1)「Open Mind Common Sense (OMCS)」に基づく意味ネットワークです[1]。今回は、ConceptNetで用いられているデータ構造(※2)を使って、情報を整理してもらいました。
詳しく知りたい方は、Wikipedia(日本語)[1]、本家サイト(英語)[2] をご覧ください。
[1] https://ja.wikipedia.org/wiki/Open_Mind_Common_Sense#ConceptNet
[2] https://conceptnet.io/

※1…OMCSは、Webを介した何千人もの人々の協力によって、社会や時代によって変化する"コモンセンス"(訳が難しいですが、"常識"よりも直訳の"共通の感覚"と表現するほうが近いかもしれません)を蓄積し、活用することを目的としています。

※2…有向グラフによる表現です。ノード(○で囲んだ要素)が概念、エッジ(矢印)がそれらの概念に関係する常識的な主張に対応します。(例えば、「嫌だな」と感じ、「整理したい」といった動機から、「紙に書く」といった行動につながった、といった表現になります)

【とりあえずやってみよう、の私。↓】

どのように表現するかは、ひとまず外在化してみないとすり合わせできないよねの精神で、書いてみたのがこちらです。

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ストーリーネット(左側)をよりシンプルに。これを書く事によって、案外起きてることって単純だったんだと理解することが出来ました。それに伴う私の感情・行動は右にある様子です。

ここで、「今度は、ストーリーの各場面で、登場人物とその人の行動・考えを記述してみましょうか。
例えば「友人に話す」は、登場人物が主人公Aと友人、行動はAが友人に話す(で合ってますかね)といった情報かなと。」

というアドバイスを頂いたので、次の構図になりました。

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これはどっちの感情だったのか。

とはいえ、対外的には友人が存在しますが、ここに伴う感情等は全て私が考えたものです。私は相手のリアクションを見て「多分こう思ったのであろう」と感じて、判断し、行動しています。それを文字にしたものなのですが、案外こういう「こう考えているだろうな」と言う世界は日常的にあると思いませんか?

「胸に手を当てて聞いてみなさい!」と言う言葉がありますが、言った本人には本人なりの解釈がある。そして、その世界は言われた方には見えていないから分からない。

「ひとまず謝ろう、謝れば解決する」と言うのも、いつしか「ちゃんと分かってるの?!」と顰蹙を買う事になるのです。でも、これはどちらかと言うと言った本人が外在化していないから、分かる訳がないのです。

「旦那だったら」「彼氏だったら」「普通なら」と言う物も、通用しないのも当たり前なのです。だって、人によって「普通」って違うから。

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最終的に書いた絵はこんな感じ。

さて、ここまではこの絵を書く過程をお話しましたが私が言いたかった事は、下のまとめです。

【私が話せなくなったこころじっく】

私は新型コロナウイルスの第二波が来ていた7月、記憶力がとても低下していました。と言うのも、以前と比べて外に行くことができず、オンラインの世界になったことで情報量が格段に多くなったのです。

施術中が終わってスマホを確認すると、LINE、Facebook、Instagramには未読の赤丸ぽっちがついている状態が常でした。

その数が100を超えている表示だと、「今からこれを読まなくては」と感じ段々と負担になっていったのです。

いつしか、自分に直接関係ない事は読み飛ばすようになりました。

結果、「コミュニティーでみんなが知っている情報」から外れる事を選択したのです。

「今はごめんなさい」と言う罪悪感もありました。せっかくの情報提供なのに、それを読めない自分がいる。それでも今は取捨選択をする必要があるから、と自分に言い聞かせていました。

その時に、友達からの一言「LINEにあったじゃん、何で知らないの?」と言う言葉が段々と重くなっていきました。

新型コロナのこともあり、対処が難しく頑張っても出来ない。新しい情報をどんどん忘れる、記憶力が悪いからだ、と自分を追い込んでいたので、友人に伝えようと思いました。

「今、ちょっと大変だから知らない私も許してほしい」

この時には、「何で知らないの?」と笑いを取るつもりで言った友人の言葉を、私は責められているように受け取っていたのです。

「許すもなにも怒ってないよ」と言う言葉に、「今ちょっと私大変だから、読んでない内容があったとしても許してほしい」と伝えました。

すると、友人は「今疲れてるみたいだから、治療院閉じた方がいいんじゃない?」と言うアドバイスをしてくれました。

私の中では、「何で知らないの?」の一言がしんどかっただけなので、「そうじゃないんだよなぁ」の気持ちになりました。

アドバイスしてくれた人は、その後どうなったかが気になります。そこは色んな真意があると思います。心配している。その後手伝えることがないか。自分の言うことを聞いてるのかを気にする人もいるかもしれない。

私の場合は、治療院を閉じる選択はしませんでした。その後に、記憶力も疲れも回復しなかった為、「何でそうしないの」と怒られました。

伝えても、伝わらない。結果怒られるならば、伝えない方が良い。

そう感じ、距離を取ると言う選択をしました。

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これが私のストーリーです。

そして、その時には私の感情が色々と動いていました。

書き起こしをしていて気づいたのは、私は相手に理解して欲しかった、と言う事。私から見ている世界では、「知らない情報があっても許してほしい」と言う一点だったのが相手から見た時には「それは今大変だと言っているから、大変な状況を脱するようにアドバイスをしよう」とすれ違っていたと言うことが後になって分かりました。

人は否定ではなく、自分の事を肯定してもらうことによって安心する事があります。それが共感されなかった、と言うことが私にとっての失敗体験となりました。

では、身近な誰かが話す事やめてしまっていたら?

まずは、その人が話してくれている事を否定していないか。意図を汲めているのかを一度考え直してみてもいいのかもしれません。

鍼灸×産業カウンセラー×心理学×人工知能。 誰かのこころを軽くする、そんな研究費に使用させていただきます!ありがとうございます。