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わたしも、とっても美しいと思う


「やけど けが しみ しわ                           一生懸命生きているひとの証だから     僕はとっても美しいと思う」


診察の場面、ろくちゃん(堀北真希さん)が、「(やけどの)痕、残りますよね?」と、菊池先生(森山未來さん)に問いかけた。
その時に、菊池先生がろくちゃん にかけたこの台詞が印象的で、いつまでも心に残る。

2012年の冬。
『ALWAYS 3丁目の夕日 64』を観に行った。
山崎貴監督の『ALWAYS 3丁目の夕日』シリーズは、すきな作品であるが、2作目からは、すきなアーティストであるBUMP OF CHICKENが主題歌を担当しているため、さらにすきな作品となっている。
3作目となる本作。
この台詞からは、捉え方を変えることで、気にしていたことは一生懸命生きている証であり、それは美しいこと、不安や恐怖も軽減できることを教えてもらった。

ある時、80代の患者さんが、「もう顔もぐちゃぐちゃで恥ずかしいは」と両手で顔を覆いながら言った。
そこでわたしは、この台詞を患者さんにかけてみた。
すると、患者さんは、照れながら笑みを浮かべ、「そんなこと言われたの初めてだは、けったいね、けど、ありがとう」と言われた。
わたしも、この台詞を言うことに対し、恥ずかしくなかったわけではないが、ここで言わなかったら、後悔するなと思ったから、その表情を見て、言ってよかったなと思えた。

患者さんの中には、治療の影響で外見が変容する方も多く、特に女性は、言葉にしないものの、その仕草や発する言葉から、気にされているなと察することがある。
できることなら、この台詞をかけてみたいが、患者さんの背景や現状、未来を想像すると気やすくかけることもできない。
ここは、状況に応じて、といったところではあるが、この台詞と出会った後から、患者さんと関わる時は、変かもしれないが、外見だけではなく、どんな姿でも、一生懸命生きている証と捉えることから、自分にできる最大限を提供したいと常々思うようになった。

最近、友人から瞼が重く、整形しようか悩んでいると相談があった。
その時も、この台詞を友人にかけた。
きれいでありたい気持ちや整形を否定する気持ちは全くなく、むしろ、その意識を見習わなければと思うくらいだ。
自信がつき、前向きに過ごせるのならば、手段としては、よい選択肢である。
友人からは、100回同じことを言ってくれたら、気持ちが変わるかも知れないと言われた 笑。
100回!!
わたしは思った。
わたしが100回言うより、彼氏さんからたった1回、この言葉をかけられた方が、自信もつき、表情も明るくなるのではないかと。
悔しくはあるが、こういう面では、彼氏さんには敵わない。
いや、彼氏さんもだが、こういったことの類いは異性には敵わないものだ。

映画の主題歌は『グッドラック』である。
この映画を観て、当時結婚する友人のはなむけにと、この曲を贈った。
ライブも一緒に行き、そこでこの曲を演奏していたから、さらに心に残る。
しかし、結婚式の日程を勘違いしたわたしは、参列ができなかった。
勘違いしていたことは、式が終わった後の友人からの電話ではじめて知ることになる。
大失態もいいところである。
結婚式の日となった、晴れたる5月12日。    今では友人の結婚記念日となるこの日を、いつまでも忘れることができず、5月になると、映画と共にいつも思い出すエピソードとなっている。
落ち着きがないというか、なんというか、もっと地に足をつけて励まなければと、毎年内省している。

一生懸命生きているひとの証か、やけど、きず、しみ、しわ以外にも、何らかの変化に対し捉え方を変えると、変化に対する不安や恐怖が軽減するようにも思える。
生きているの前に、一生懸命がつかなくても、変化は生きている証となり、結末がどう転ぼうとも、前に進んでいる、それは尊いことではないかとわたしは思う。


       64年の夕日色、台詞と同じように、美しい。                                              
           5月になると会いたくなる映画。       


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