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専門分野を決めた後の、編集人材のキャリア形成術

ふとnoteの下書きフォルダを見ていたら、書きかけのものがちらほら。うわースイマセン。いただいた質問を放置していました。

ということで、放出します。

専門分野を決めた後、どんなふうにスキルを高めていったらいいと思いますか?

ありがとうございます。

いやーー相変わらずいいトピック。しびれます。
もはやライターの市場も何かしら強いジャンルを持って発信していくこと方が求められる今、重要な指摘ではないかと思います。わかる。

とても今更ながら、僕自身のライター編集者としての専門分野は「医療・ヘルスケア」だったりします。一社目も医療系のニュースメディアでしたし、現在も医療系の媒体で編集部門の統括的な仕事をしております。

僕自身もジャンル特化型の編集人材としてキャリア形成する中でいろいろなことを考えてきましたし、周囲を見てあれやこれや考えることがあったので、今回はそれらを総合してお話ししたいと思います。

専門が決まってしばらくすると訪れる「停滞期」

自分の周りを見ると、専門分野を決めたあと何年か経つと行き詰まる方がちらほら出てくるかなという印象です。

なぜか。

自分の周りを見ていて、専門性を決めた後のよくあるパターンはこんな感じかなあと思ったりしています。

①ファーストフェーズ:基礎知識+自身の原体験で伸びる時期
②セカンドフェーズ: 「業界人」として伸び、そして停滞する時期
③サードフェーズ:積み上げてきたものから「固有の強み」を発揮していくフェーズ


もうちょっと詳細に書いてみます。

ファーストフェーズ:基礎知識+自身の原体験で伸びる時期


専門分野を決めて何かしらの資格や書籍などを学び、基礎的な知識を身につける。そして専門ジャンルの記事を手がけるようになる。いわゆる駆け出しシーズンです。

ご自身の出自やジャンルによって程度の差はあれど、なにごとも基本的な情報であれば書籍や資格制度も充実しているので、入門書を漁っていればその領域において「偏差値58」くらいにまで自分を高めることはできるように思います。
それだけでも大きなアドバンテージですし、そのテーマにまつわるご自身の原体験や専門性を持っていれば、比較的早期に何かしらのメディアで執筆を始めるということも可能でしょう。
ファーストステージはこのように、「実体剣+基本的知識の底上げ」によって勢いをつけてスタートできるように思っています。

セカンドフェーズ: 「業界人」として伸び、そして停滞する時期

ファーストフェーズで一定の基礎知識を身に着けたうえで案件をこなし、「発信者」としてのポジションに慣れてくると徐々に「業界の1年の流れ」や、「読者関心の高いテーマはこれ」とか、ポイントがわかるようになってきます。要するに、業界人になっていくのです。こうなってくると、「この時期はこのテーマが盛り上がる」とか「この人を取材しよう」とか、企画的なことにも挑戦しやすくなっていきます。

案件を数多く回し、編集部との足並みが揃ってくれば、新企画を回してもらえるようにもなるかもしれません。正直、この段階に至ったらもう迷わないというか、「このスタンスで一生生きていける」というので良い人もいるので、それはそれで問題ないかなとは思ったりします。

サードフェーズ:積み上げてきたものから「固有の強み」を発揮していくフェーズ

セカンドフェーズの状態でも、お仕事はありますが、「ずっと同じような作業の繰り返し」に入り、成長実感を持てなくなってしまう人が一定数出てきます。仕事をする相手も固定され、取材するテーマを固定され自発的になかなか次の成長を描きにくくなっていく。インハウスの編集などだと、「企画をもっと出して!」とか強く言われはじめたりもし…「ゼロからイチ」をどう作っていくか、というてんで行き詰ってしまう人が、僕の身の回りにはちらほら。

視点が硬直したり、仕事をする相手が硬直化してしまったり―――というのは、プロとしての一定のスキルやルーティンを身につけたということもできますが、それ以上の成長を自分で描きづらく、「成長が頭打ちになった」と考えるケースも珍しくありません。

ここをどうとらえるかは人それぞれですが、今回は後者の「意地悪な見方」に焦っている向けに、僕なりの考えをお伝えしておこうと思います。

 人脈形成こそ、「行き詰ったときの成長の種まき」



そういう人に個人的に猛烈に一押ししているのが、「人脈形成」です。いやそんなのあたりまえだろという方ごめんなさい。謝罪したうえでもう一度言います。「人脈形成」です。

ここでいう人脈というのは、「自分に新しい視点をもたらしてくれる人」とのつながりのこと。

「誰とどうつながるか」についてはかなり大事なので、今回はそこを深ぼってみようと思います。僕自身もとりあえずたくさんの人に会おうと五月雨式にコーヒーミーティングしまくっていたら、何度も何度も保険の勧誘にあったり、ちょっと怪しいものを進められたりしたこともあり。皆さんには同じわだちを踏まないようにしていただければと…。

「読者に近い人たちが参加しているセミナーやイベント」に、積極的に参加しよう


ぼく個人として、特に上述のファーストステージにいたときから意識していたのは、「とにかくイベントに参加しまくること」でした。
1社目の医療系ネットニュース媒体にいたころは、患者向けのイベントに参加してみたり、医師がたくさん参加している学会に一般参加してみたり。仲良くなった医師に誘われた病院内のイベントにも参加させてもらったり、ボランティア参加してみたり、などなどなど。

もちろんそのイベント(セミナー)の内容を学ぶために参加しているという側面もあるのですが、当時その中で個人的に自分の中でKPIにしていたのは、「Facebookの友達になれるような人を増やすこと」でした。

「友達の数」を目標にするのは本質ではないと思うのですが、セミナーの座席でご一緒した方や、登壇している人とは名刺交換したり、自分の立場を明かしたうえで悩みをぶつけてみたりして、とりあえずつながってみる。イベント開催後にもお礼の連絡をして、記憶の片隅に居座らせてもらう、みたいなイメージ。

こういうイベントにしている方々は「情報感度が高い方々」なので、Facebookでつながっておくだけで「その分野のアーリーアダプターが何を考えているか」がわかるようになっていきますし、その人が今度また別のイベントに参加をボタンをポチっと押していたら、その業界でどんなイベントが新たに巻き起こっているのかも把握できるようになります。

このほか、友達になってくださった方が「イベントの登壇者」である場合は軽く雑談をして、[こういう媒体をやっているので、類似したテーマの企画を考えた際にはぜひ話を聞かせてほしい」とも伝えておき、相手にもメリットがあるように工夫します。このあたりは、ライターだからこその強みとも言えるでしょう。また個人的なポイントだと思っているのは、セミナーから「少し経ってから」、「そういえばこの前のセミナーで得た学びからこんなことを実践し、そしたらこんな良かったことがありました」と伝えてみる方法です。

僕自身もたまにセミナー講師をやっていてよくわかるのですが、行列に並んでトレーディングカードみたいに名刺を没収されるより、「やってみてこう思った」という感想を利かせてくれることこそ、講師にとっては一番うれしい。本気で話を聞いてくれたことがわかるので「今度お話を聞かせてください」というメッセージの真摯さが違うんですよね。

実際僕も、セミナー後のやり取りで関係が深まって茶飲み友達になった人もたくさんいますし、当然そこから取材(お仕事)につながったこともあります。

今はこれがFacebookではないのかもしれませんが、「いろんなイベントに参加してまずは情報感度の高い者に繋がってみる」また、「セミナーを開いている発信力の高い人とは個別に密に情報交換ができるような関係」をつくっておくと、いざというときその人脈が自分を助けてくれるので、おすすめです。

ちなみに「ちょっと時間を空いてから、『言われたとおりにやってみたらよかった!』」と感想を送るのは、取材相手にも超有効です。一回ぽっきりの関係で終わらせるのではなく、5年、10年先にも「いつでも連絡できる関係」を意識してコミュニケーションを取っておくことが、超重要ではないかと思います。この辺の取材のノウハウに関してはまた別途まとめたものがあるので、別の機会に招待したいなというふうに考えていたりもします。

困ったときは、SOS出せば誰かが助けてくれる

さて話を、仕事に慣れて「行き詰ったとき」に戻します。

上述のような種まきをしたうえで、息詰まったら僕は、「助けてください」とフェイスブックでつぶやいています。そうするとかなり高い確度で「壁打ちしようぜ」とか、「いいネタがあるぜ」とか「近況報告しようぜ!」と反応してくれる人が現れます。

このほか僕は毎年必ず、年始に「明けましておめでとうございます」の投稿をし、自分の身辺変更を知らせたり、今何に困っているかを明記し、「ご興味のある方、ちょっと現況の情報交換でもしませんか」とでも募って、互いに持っている情報を交換することで、お互いのアップデートを測ったりもしています。そこで見聞きしたことが、その年の自分の一大テーマになったりすることも多く、霧が晴れるように自分のすべきことが見えてきたりすることも。

それこそAIが発達し、既にある入門書の情報や既存の体験談に基づいての情報がどんどんどんどん効率的に吸収されていく一方。人との繋がりがかなりレバレッジの効く資産として生きるのではないかなというふうに思ったりもします。

「専門性をどう高めていくか」僕自身もすごく興味がありますし、いろんな流派があるとので、ぜひ皆さんのやり方も、Twitterやこのノートのコメント欄で教えてくれると嬉しいです。

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