2022/03/27 君が夏を走らせるを読んだ日

3月25日、恋人がコロナのワクチンの3回目を打った。

副反応が出て、週末看病のお願いが来ていたから、出かけることもないかと思って、ゲームと小説を荷物に入れていつも通り恋人の家に向かった。

(最近は駅ビルの中にある図書館で本を2冊借りて読むことを習慣づけようとしているけど、図書館の本はハードカバーで大きいし、

電車の中で「この人これ読んでるんだ、、」ってばれるのも気まずいので、夏ごろ買って読みかけだった小説を適当に取って荷物に入れた。)

瀬尾まい子さんの「君が夏を走らせる」、タイトルを見て、あぁ、これ読みかけだったわと思いながら、関節の痛みでひぃひぃ言ってる恋人の横でひたすら読んだので感想文書きます。


・忘れたくないけど忘れていく、でも失くした訳ではない思い出

このテーマの類が好きで好きでたまらない私は、後半ひっそり泣きながら読み終えた。

金髪ピアスでろくに高校も行かずふらふらしている俺が、先輩の小さな子どもの面倒をみる羽目になった。泣きわめかれたり、ご飯を食べなかったり、最初は振り回されっぱなしだったけど、いつしか今まで知らなかった感覚が俺の心を揺り動かしていた――。16歳の思いがけない奮闘を描いた、感涙必至の新しい青春小説。

あらすじはこんな感じ。

主人公の金髪少年大田くんは、バイトという名目で1歳の女の子鈴香ちゃんと触れ合っていく。

鈴香ちゃんのセリフは、お手本みたいな赤ちゃんのセリフしかないのだけれど、それがまぁ愛くるしい。

私はまだ子どもを産む、育てるという経験がないけれど、経験したことがある人が読むと、共感のオンパレードなのかなぁと思ったりもしました。

物語が進むにつれて、大田くんと鈴香ちゃんはすっかり仲良くなるし、大田くん自身も物事を前向きに考える道を見つけ始める。

終盤、鈴香ちゃんと行っていた公園も、最後の1回になったシーン。

少し年上の女の子たちと遊ぶ鈴香ちゃんを見ながら、この思い出を自分は覚えているけれど、鈴香ちゃんはまだ1歳。

きっと自分と遊んで、過ごした時間は覚えていないんだろうな、当たり前だよな、と考えるシーン。

思い出されることのない時間。だけど、確かに積み重ねていった時間。それは思い出や記憶とは違うところに刻み込まれていくのだろうか。

この文章を読んで、日曜朝8時半の私の涙腺は静かに決壊しました。

本当に人生ってこういう時間、多いんだよなぁ。

まだたかだか24歳のヘッポコがこんなこと言うのもなんだけど。

赤ちゃんでなくなった今だって、この瞬間、この人と過ごしたことを、自分が感じたことを、絶対に忘れたくないって思うことは山のようにあるのに、

いつの間にか忘れて、忘れたくないって思ったことすら忘れて。

新しい出会いや困難やらに上塗りされていくんだよなぁ。

でもふとしたときに、匂いとか、音楽とか、景色とか、そういうものでぶわーっと思い出したりして、なんで忘れてたんだろうって思ったりするんだよなぁ。

どうかどうか、大田くんの、鈴香ちゃんの、思い出や記憶とは違うところに刻み込まれた時間が、ふとしたときに二人に訪れますように。


・過去の居場所と新しいフィールド

大田くんの中学時代の顧問の先生が、中学校に顔を出そうかという彼に向かって伝えたセリフ、

「大田くんの帰る場所は中学校にはないよ。」
「わざわざ振り返らなくたって、たくさんのフィールドが大田くんを待ってるよ。」

これもまたよかった。

過去の居場所は居心地が良いけれど、新しいフィールドを見つけて居場所を作ること、本当に大事ですよね。

自分自身も昔の居場所に居続けることが苦手なタイプだったのに、最近は友達と昔の話を延々としたりして、

それに気が付いて、あれ、私ずっと昔の話してるな、今楽しくないみたいじゃんって思うことが増えた。

なんだか自分に言われたセリフみたいでドキッとしてしまいました。

私もまだ24歳。自分を待ってるフィールドを常に探したいなぁと思ったりしました。



とっても素敵な物語だった。瀬尾まい子さんの本は心があったかくなって読んでて気持ちが穏やかになるからいいよね。

まだ図書館で借りた本があと少し残ってるから今日読み終えよう。

あといつも2冊借りるくせに読み切れるの1冊だから次からは欲張らず気を付けよう。。

おしまい。

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