見出し画像

哀愁漂うシンプリーレッドのMVを観ると、なぜか幼い日々を思い出す(オススメMV #111)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の111回目です。(連載のマガジンはこちら)

私はアップテンポの楽曲に明るい色調の映像が組み合されたMVが好みですが、落ち着いた楽曲に加え暗めの映像にもかかわらず「これはイイ!」とお気に入りになるMVもあります。
今回はそんな中で、「幼いころを思い出す、哀愁漂うMV」の特集をお送りします。

では、最初の哀愁漂うMV。
シンプリー・レッドの「Holding Back The Years」です。どうそ!

過去を振り返り悔やんだり後悔することはあまり好きではないのですが、幼いころにお世話になった近所のおばさんや親せきのおじさんなど、鬼籍に入られた方々を思い出して懐かしむことはあります。
また、時間を気にせず河川敷で寝転がってずーっと雲を眺めていた幼いころを思い出すこともあります。(と言いつつ、今もたまにジョギングの途中などに立ち止まって雲を眺めているのですが)

そんな幼いころの日々を、観るたびに思い出させてくれるタイムマシーンのようなMVが存在します。
このシンプリー・レッドの「Holding Back The Years」は、まさしくそんなMVの代表格と言えます。

シンプリー・レッド(Simply Red)はイギリスのバンドで、洋楽全盛期である1980年代真っただ中の1985年にデビューし、翌年リリースした1stアルバム「Picture Book」がUKでチャート2位となります。
この「Holding Back The Years」は、その1stアルバムに収録されシングルカットもされているのですが、UKで2位、そしてUSで1位というビッグヒットとなりました。
シンプリー・レッドはUKでの人気はすごかったのですが、USでのチャートはイマイチ振るわずの楽曲が多い中、このUS1位は快挙と言えます。

では「Holding Back The Years」のMVの話に入りましょう。
まず、内容の前に動画のクオリティの良さが際立つMVとなっています。
このMVは1985年(もしくは1986年)にリリースされているのですが、現在YouTubeにアップされている動画は4Kリマスタリングされた映像で、メチャクチャきれいです。
もちろん、良質なMVはリリース時の映像でも楽しめはするのですが、このMVを見るとやはり映像のクオリティが良いほど楽しみの度合いも高くなることがわかります。
リマスタリングにはコストが掛かるため簡単に対応ができないと思いますが、洋楽全盛期の1980年代~1990年代には素晴らしいMVが多々あるため、それらがたくさんリマスタリングされることを切に祈っています。

話がそれてしまいましたので、元のMVの話に戻しましょう。
このMVに出演している男性こそ、シンプリー・レッドのボーカルであり実質リーダーとなっているミック・ハックネルで、ハックネルが幼少期を思い出しながら故郷を練り歩き、最後は列車に乗って去っていくというストーリーとなっています。
ハックネルは3歳の時に母親と別れて父親と暮らすことになったのですが、その父親とはうまくいかなかったようで、MVでは父親との関係や母親への想いが表現されているように思います。
このMVから伝わる切なさや深みは、これらの背景やハックネルの複雑な想いから来ているのでしょう。

では、続いての哀愁漂うMVはコチラ。
ブロンスキー・ビートの「Smalltown Boy」です。

シンプリー・レッドの「Holding Back The Years」と比べるとアップテンポの楽曲ですが、それにもかかわらず哀愁というか悲しみにあふれたMVとなっています。

この「Smalltown Boy」のMVを最初に見たときは、久しぶりに故郷に戻って来た男性が昔のことを思い出しているのかと思ったのですが、少し調べてみたら全然違っている内容でした。
最初の列車の中にいる主人公は、両親と住んでいた小さな町(Smalltown)を出て都会に向かっているところなのです。
そして、その主人公が町を出ることになった経緯を思い出す...というのがMVのストーリーとなっています。
そして、町を出る原因は、主人公がゲイであるため小さな町では受け入れてもらえず、都会に出ることになったというのが背景です。
実はこの背景は、ブロンスキー・ビート自体と重なっているのです。

ブロンスキー・ビート(Bronski Beat)は、1983年に結成したイギリスのバンドで、結成の経緯から特徴があります。
メンバー全員がゲイで、元々ゲイのドキュメンタリー映画を作っている途中でバンドを結成し、最初にリリースした楽曲がこの「Smalltown Boy」なのです。
そのため、「Smalltown Boy」の歌詞には、さすがに「ゲイ」という直接的な表現はないものの、性的マイノリティの主張が強く表現されています。

それを知ったうえでMVを見てみると、マイノリティを受け入れにくい小さな町での悲しい状況が垣間見えます。
しかし、MVの最後には、町から都会に向かう電車の中で、仲間と合流し和気あいあいと会話をしながら新天地に向かう笑顔の主人公がいることが救いです。
なお、このMVに出てくる主人公の男性は、ブロンスキー・ビートのボーカルのジミー・ソマーヴィルで、当時のバンドのメンバーもMVに出演してますが、ボーカルのジミーはのちにバンドを脱退しています。

ブロンスキー・ビートの楽曲やMVでは、リピートするのはこの「Smalltown Boy」だけで、それ以外の楽曲やMVは私との相性は良くないようです。
それに対して、シンプリー・レッドではリピートするMVはいくつかありますので、本題から外れますが最後に明るめのMVをお送りして締めさせてもらいましょう。

シンプリー・レッドの「Stars」です。どうぞ!

明るい楽曲と押し出しの強い映像のMVですが、悪くはないものの楽曲も映像も商業的な雰囲気がするのが少し残念なところです。(それを言い出したら、ほとんどの楽曲やMVも同じですが...)

しかし、ボーカルのハックネルの出演の仕方が濃すぎますね。
顔のドアップが多く、少し辟易します。
それと、「Holding Back The Years」から5~6年しかたっていないのですが、青年からいきなりオッサンになり、驚くべきは顔がメチャクチャ大きくなっているように思われることです。
ハックネルの自己主張の強さが垣間見え、それもそのはずでシンプリー・レッドのメンバーはハックネル以外はコロコロ変わり、実質ハックネルのソロプロジェクトだったようです。
最後には全く関係のない話になってしまいました...

今回は「幼いころを思い出す、哀愁漂うMV」の特集をお送りしました。
特に最初の「Holding Back The Years」はオススメですので、ぜひご覧いただき、幼いころを思い出してみてはいかがでしょうか。

ではまた次回。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?