Datalympic 2019でチャレンジしたこと ~やっぱり変化っていいよね!~(その1)

今回は「2019年を振り返る。面白かったチャレンジTOP3」の第2位となった「Datalympic2019実行委員会&事業企画プロセス勉強会」について、その詳細を2回に渡ってお伝えします。

今回のターゲット読者は、大規模コンテストの運営体制の構築経験談に興味がある方と、組織やマネジメント論に興味がある方となります。

では、さっそく本題に入りましょう。

Datalympicは2018年から始まったウイングアーク1st社主催のコンテストで、昨年に第2回となる「Datalympic 2019」を開催しました。

私吉田は、Datalympicの前身となったMotionBoard Cloudコンテストからはじまり、Datalympic 2018およびDatalympic 2019と続けて企画運営責任者として参画させていただいています。

過去3回のコンテストにおいて、私自身毎回テーマを決めて実施しています。
昨年のDatalympic 2019のテーマは「変化」。その変化を促すために、2つのアプローチを実施しました。

その2つとは、Datalympic実行委員会での企画運営と、事業企画プロセスの勉強会開催の2つです。

では、最初に実行委員会の立ち上げについてご説明しましょう。

Datalympic実行委員会ってなに?

Datalympicは、全て社内のメンバーがメインの業務と兼務で企画運営しています。企業サイト内のWebページの作成などは外部に委託しましたが、企画や運営について社外の業者は使っていません。
半年がかりで全国予選会から決勝戦をおこない、170を超えるチームに応募いただく大規模なコンテストで、外部の業者を使わず全て社内の兼務で企画から運営をしているというのは稀有なケースではないでしょうか。

そんな状況で初回のDatalympic 2018を実施したところ、メチャクチャ大変でしたが、私自身気づきや成長そして大きな感動があり、取り組んでマイナスになった点はひとつもありませんでした。

しかし、2点、改善すべき点がありました。
ひとつは、事務局を5名体制しかも私以外は全員兼務で運営しており、応募いただいた方に行き届いた対応ができなかったこと。(それでもその5名は超激務!)
もうひとつは、「この気づきや成長そして感動をもっと社内のたくさんの人に共有したい!」というものです。

そこで、もっと多くの社内メンバーで体制を組もう!ということで「Datalympic実行委員会」を企画しました。

ウイングアーク1stでは、毎年3月に社員総会をおこなっています。2019年3月の社員総会で「実行委員会を立ち上げるので、参加いただける皆さんを募集します。しかし今担当されている業務は減りません。『それでもやりたい!』という方は一緒にやりましょう!」と募集したところ、なんと39名(!)もの方に参加表明をいただいたのです。

イベントの企画運営を39名ものスタッフで進めることはもちろん初体験ですので、どうすれば、効率的に、かつ成果が出やすく、そして参加メンバー全員に変化を促せる組織を構築し運営できるのか、大いに悩みました。

その結果、機能ごと目的ごとにチームを分けることにしました。

機能ごと目的ごとにチームを編成

まず、組織構造ですが、以下の様なチームに分けてそれぞれ機能を持たせることにしました。

Datalympic実行委員会_体制

メインは、企画チーム、メディアチーム、支援チーム、フォローチーム、予選会チームの5チームとなります。

それに全体統括をする事務局が専任1名+兼務2名(私は事務局長ですがなんと兼務)、サポートチームは前年に開催したDatalympic 2018の実行委員メンバーのうち私を除く4名から構成されます。

Wixチームとは途中で追加して出来たチームで、企画が進む中、「応募者向けに、情報を提供したり質疑する『ここだけ見たらいいよ!』というポータルサイトが必要だ!」ということとなり、急きょ応募者専用サイトを企画・構築・運営するために編成したチームです。
Wixというのは使ったホームページ作成サービスの名称ですが、利用するホームページ作成ツール(サービス)の選定に時間を掛けれず、ほどんど「えいやっ」で決めました。
しかし思いのほか使い勝手が良く、2週間ほどで最初のサイトを立ち上げることができました。(もちろん、チームメンバーのプライベートを犠牲にした努力があってこそですが...)

組織編成にもルールを適用

そして、ただ単に組織を編成するだけでなく、組織編成時のルールを設定しました。
それは以下の7つです。

①各チームにリーダーとサブリーダーを置く
②チームメンバーはチームごとに希望者を募って編成する
③リーダーとサブリーダーは立候補制とする
④複数チームの掛け持ちはOKだが、それだけ負荷が高くなることを承諾する
⑤リーダーとサブリーダーは掛け持ちはNG
⑥リーダーは既存業務でリーダー的な役割をした経験のない方を優先する
⑦オブザーバーや勉強のための参加はNG。参加する場合は役割を持って動いてもらう

どうでしょうか?
この①から⑦のルールについては、それぞれ意図や理由があります。
順番に解説しましょう。

39名という想定上の大所帯となってしまったので、フラットな組織ではなく階層構造にして、効率的な運用を促しています。

②~④メンバーの希望するチームや立場を極力担保することで、モチベーションを保ち実施の効率と効果を向上を促しています。

リーダーとサブリーダーは、そのチームの成果に責任を持っていただく必要があり、常にチーム全体(チームメンバー含む)の状況を把握し対応いただく必要があるためです。

普通に考えると、リーダー経験のある方をリーダーに据えるべきでしょう。しかしそれでは面白くもなく変化にもつながりません。それに、チャレンジするのがDatalympic流でもありウイングアーク流でもあります。
そこで、あえて普段の業務でリーダー経験のない方に優先的にリーダーになっていただくことにしました。
経験のない方が初めて経験するので成長(=変化)につながりますし、ゼロからマネジメントにチャレンジする姿と行動は、これからマネジメントに踏み出す方はもちろん、既にマネジメントをされている方にとっても気づき(=変化)があります。
更には四苦八苦してリーダー役をされている方の姿を見てチームの結束が固まり、より成果向上を促すことができます。

⑦実行委員会メンバーは通常業務がある中、自分の時間を削ってDatalympicの企画運営の作業をおこないます。
その中で、作業をしない方がいるのはモチベーション低下の原因になり、また実際に自分で考えて作業するプロセスが無ければ成長やノウハウ向上(つまり変化)につながらないため、その方にも周りの方にもメリットのない参加となるためです。

①~⑦のルールは全て効果がありましたが、特に⑥については思った以上の効果が出たと感じています。
もし、皆さんも通常業務以外のチャレンジャブルなプロジェクトの組織を編成する場合、あえてリーダー経験のないメンバーをリーダーに選定するのもアリかもしれません。もちろん、その時は立候補制のほうがよいでしょう。

全体のフローからチームの役割を割り付け

さて、組織運営にあたり、もうひとつ私の方で用意したものがあります。
それは、Datalympic全体でのフローと各チームの役割分担の関連図です。

Datalympic実行委員会_フロー

Datalympic全体の流れを図示し、その中で各チームがどんな役割を持っているのかを明確に示すためのものです。

この中で重要なポイントが2点あります。図の中でも「重要!」を赤字に白抜きで貼っている部分ですが、2つとも「変化」に関することです。

すべては参加者の「変化」のために!

1つ目は、応募者の方の満足。

応募いただいた方に「Datalympicに応募して、作品を作って良かった!」と思っていただくことが、Datalympic実行委員会の大きな目的です。
つまり、応募して「満足」いただく必要がありますが、そのためにどうすればいいのか。そこで、「満足」の定義を「Datalympicに参加して変化していただき、その変化を実感いただくこと」と設定しました。
では、どうすれば変化し、なおかつその変化を実感いただけるのか。その最も大きな取り組みが「勉強会」です。
勉強会については、Datalympic 2019のテーマである「変化」を促すための2つの大きなアプローチのうちの1つです。こちらについては次回、詳細を解説させていただきますので、もうしばらくお待ちください。

もう1つは、予選会や決勝戦にご来場いただいた方への感動の体験と価値ある情報のご提供です。

もうお気づきですよね。
この2点とも、実行委員会内部の変化ではなく、社外、つまり応募者の皆さまや予選会や決勝戦に参加いただく方の変化を重要な目的として設定しています。
Datalympicに参加いただく方の変化を促すために最大限の努力をする。その中で運営する実行委員会のメンバーも変化する...という順番が大事です。

振り返り(課題や反省)

実行委員会の組織編成について、いかがでしたでしょうか?

メンバーの努力もあり、Datalympicは大成功で終えることができましたが、組織編成や運営上の反省点もありますので、2つほど皆さんに共有させていただきます。

●メンバーの重みづけ

39名の所帯となるとどうしても「頑張る人」と「そうでない人」に分けれてしまいます。
これはその個々人の問題ではなく、担当する業務の内容やタイミングによるものがおおいため、ある程度致し方ないことではあります。
しかし、リーダーとサブリーダー以外はフラットな組織のため、偏りが生じるのは組織運営上良いことではありません。

これについては、各個人の業務内容やタイミング、そして思い入れ等により、例えば「コアメンバー」と「サポートメンバー」に分かれて参加いただくことで解決できるのではないかと考えています。
「コアメンバー」で参加いただいた方はガッツリと作業していただき、「サポートメンバー」で参加いただいた方はできる範囲で参加いただく、というやり方です。

次の「意思決定のプロセス」とも関連しますが、実施内容の決定が伴う企画業務についてはコアメンバーが担当する方が良いのではないかとも考えています

●意思決定のプロセス

今回は39名のメンバー全員が、リーダーとサブリーダーという役割はあるもののフラットな立場で参加いただきました。
そして当初は、私吉田の「参加してくれたメンバーには、全員大規模コンテストの企画から運営のプロセスを体感してほしい!」という想いにより、意思決定のプロセスを公開し、全員での協議しそのなかで判断する、という進め方をしていました。
しかし、議論は広がるもののなかなか企画の詳細まで決定せず、プロジェクト前半はずるずるな状態となりメンバーからは不満の声も漏れる始末です。

今から思えば当たり前のことですが、想いだけで空回りした悪い例です。

そこで途中よりチーム内の意思決定はリーダーとサブリーダでおこない、全体に関する決定は事務局(つまり私吉田)がおこなう、という意思決定ルールに変更し、スムーズに企画が決まっていくようになりました。

上にあるコアメンバーとサポートメンバーに分けた場合は、企画検討はコアメンバーを中心におこない、最終決定はリーダーがおこなう運用が良いのではないかと考えています。

まとめ

今回は「2019年を振り返る。面白かったチャレンジTOP3」の第2位となった「Datalympic 2019実行委員会&事業企画プロセス勉強会」について、まず実行委員会についてを解説させていただきました。

実際にはミーティングのタイミングや社内の各部門の巻き込み方など、様々なノウハウもありますが、キリがないのでこの辺で終わりとさせていただきます。

次回は「事業企画プロセス勉強会」について解説しますので、お楽しみに。

ではまた。

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