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ジョルジオモロダー御大の登場だ!カイリーミノーグとのコラボMVは、超絶スゴイので絶対見るべし(オススメMV #101)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の101回目です。(連載のマガジンはこちら)

新春1発目かつ101回目の今回は、大御所ジョルジオ・モロダーの超絶スゴイMVで幕開けとなります。
アーティスト特集としてお送りするには1つしかオススメMVがなく、かといって特定のテーマで他のMVと組み合わせるのはもったいないと言うか失礼なほど素晴らしいMVのため、思い切って1つのMVでお届けします。

その超絶素晴らしいMVをまずはご覧ください。
ジョルジオ・モロダーの「Right Here, Right Now」です。どうぞ!

どうですか、このMVの完成度の高さは!
楽曲と完全に融合し、まさしく楽曲を生かし切るために存在しているMVがここにあります。

ジョルジオ・モロダー(Giorgio Moroder)はイタリアのミュージシャンでありプロデューサーで、メチャクチャすごいお方です。
何がスゴイかというと、今でこそシンセサイザーなどの電子音楽は様々なジャンルの音楽に取り入れられていますが、当初はシンセサイザー・ミュージックなどの一部のジャンルで利用されていたものをポピュラーミュージックに取りれ、今に至るエレクトロニック・ミュージックの基礎を作ったレジェンドの中のおひとりなのです。
その功績から「ディスコの父」とも呼ばれています。
今回調べたところ1940年生まれとのことなので、なんと御年83歳にもなろうかということから、まさしく大御所というか御大(おんたい)ですね。
昨年2作目が大ヒットしたトップガンやダンスを題材にした名作であるフラッシュダンスなどの映画音楽のプロデュースでも有名です。

話が長くなってしまいましたが、さっそくMVの話に参りましょう。
実は、モロダー御大の楽曲はたまに聴くものの、MVは観ないというかMV自体がほとんどリリースされておらず、私の知る限り「From Here To Eternity」ぐらいですが、そのMVもオフィシャルでは公開されておらず、またMVの出来としても微妙なところで、モロダー御大とは楽曲だけのお付き合いとなっていました。
しかし、2015年にリリースした14thアルバム「Deja Vu」から大きく流れが変わったのです。
そもそもそのアルバム「Deja Vu」がめちゃくちゃイイ!
前の13thアルバム「Forever Dancing」のリリースが1992年ですから、なんと23年ぶりのオリジナルアルバムとなるのですが、ブランクを感じさせないばかりか、現役バリバリのイケてる楽曲ばかりなのです。

話は尽きないのでMVの話に入ると、2014年にリードシングルとしてリリースされた「74 Is the New 24」のオフィシャルMVが、楽曲のリリースの数日後に突然ネットで公開されたのです。
「あのジョルジオ・モロダーがオフィシャルMVを発表した!」と驚愕と共に観たところ、「これはこれでアリだが...」という感じでMVとしてはほとんど再見することなく、しかし楽曲は素晴らしいので楽曲自体はリピートして聴いていました。

参考までに、そのMVも紹介しておきます。(1つしか紹介しませんと言っておきながら、なんですが...)
ジョルジオ・モロダーの「74 Is the New 24」です。

このMVを観ると、不思議と楽曲のほうに意識が向いてしまいます。
凝った映像で、何らかの意味を持っているであろうヒトや動物やモノがデジタル処理されて映し出されるのですが、なぜか印象に残りません。
話がそれたので本題に戻りましょう。

そして翌年2015年1月に、本連載のメインとなる「Right Here, Right Now」の楽曲が2ndシングルとしてネットで公開され、同時にMVのトレーラー(予告編)が公開されたのです。
もうこのトレーラーのMVを観てテンション爆上がりでした!
「これだ、このMVを観たかったんだ!」とMV本編のリリースを待ち遠しく待つこと約半月、ようやくその日が来たのです。
2015年2月2日、ネットにアップされたのが、最初に紹介した「Right Here, Right Now」のMVとなるのです。

実は、この「Right Here, Right Now」のMVは、私の嫌いな要素、MVの質を下げるであろう要素が含まれています。
細かいカット割りとフラッシュのような光の点滅がその要素なのですが、全く気にならないばかりか、「これでいいんだ!」と思うほどです。
いや違います、「これがいいんだ!」とさえ思うのです。

MVを視聴すると、1つか2つは「ここは変えたほうがいいのにな...」という点があるのが普通なのですが、このMVには全くそれが無いのです。
つまり、私の主観としては完璧なMVの姿がここにあるのです。
完璧なMVは他にもいくつかあるのですが、そのほとんどはあまり再見することはありません。
例えば、以前この連載でも紹介したLSDのMVは、完璧すぎるがゆえに視聴者のイマジネーションを奪い去ってしまうため、私は再見することがほとんどありません。(ご興味ある方はコチラを→「完璧すぎるLSDのMVは、我々のイマジネーションすら奪ってしまうのか?」
しかし、この「Right Here, Right Now」のMVは、完璧なのに何度も繰り返し観てしまい、毎回感動を私に与えてくれるのです。

この違いは何か?
それは、「Right Here, Right Now」のMVは意味を持たない映像によって構成されたMVだからではないかと考えられます。

逆に言えば、LSDの一連のMVは映像に意味があるが故に、すべてを表現されていることでMVを観る楽しさが無いのではないかと。
「Right Here, Right Now」のMVの映像は、楽曲をより楽しんでもらうためだけに存在し、その映像から何かを視聴者に考えさせたり、言ってしまえば映像だけで感動を与えることを捨ててしまっていると思われるのです。

これは、「Right Here, Right Now」が収録されている14thアルバム「Deja Vu」に収録されたボーカル入りのすべての楽曲に通ずるものがあります。
アルバム「Deja Vu」に収録されたボーカル入りの楽曲、この「Right Here, Right Now」もそうですし、「DéjàVu」や「Diamonds」、「Tempted」や「Tom's Diner」などすべて、シンガーに対するこだわりが無いというと語弊がありますが、ヘンな思い入れが無く、より良い(=より楽しんでもらえる)楽曲を提供するためにだけシンガーの歌声を含めた存在を使っているように思えるのです。
こんなアルバム、なかなかありません!
すごいシンガーの面々とここまでサラッと組めるのは、もう解脱の域に達したモロダー御大だからこそなせる業ではないでしょうか。

しかし、「Right Here, Right Now」のMVは、何度観ても本当にスゴイ。
カイリー・ミノーグが前面に出るものの、幾何学的なシルエットの中でアイコン化され、楽曲と同調しながら変化しつつ、たまにチラッと登場するモロダー御大とのコラボも秀逸で、もうすべてが完璧です。
そして、楽曲と共に映像が引きながらスーッと消えていくようなエンディングも素晴らしく、文句のつけようがありません。

ちなみに、この「Right Here, Right Now」のMVは、ダニエル・ベリエソン(Daniel Börjesson)という方がディレクションされたのですが、他にはエイス・オブ・ベイス(Ace of Base)のMVを2つ手掛けられただけで、しかもその2つのMVはこの「Right Here, Right Now」とは全く違うテイストのMVとなっています。
つまり、この「Right Here, Right Now」のMVは、この世に1つだけの貴重なMVとして、私の中に君臨しているのです。

さて、今回のオススメMV、ジョルジオ・モロダーの「Right Here, Right Now featuring Kylie Minogue」はいかがでしたでしょうか?
超絶オススメのMVですので、未見の方はぜひご覧ください。

なお、アルバム「Deja Vu」もぜひぜひ聴いてみてください。
私のお気に入りのシーアの「DéjàVu」や、これまたお気に入りのチャーリーXCXの「Diamonds」など、全タイトルがオススメです!

ではまた次回に。

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