見出し画像

電気グルーヴとスチャダラパーのコラボMVは、ロードムービーとエッチ系の両極端だがどっちもスゲー!(オススメMV #122)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の122回目です。(連載のマガジンはこちら)

今回は、電気グルーヴとスチャダラパーがタッグを組んでリリースした合作MVの特集をお送りします。
ユルいロードムービー風のMVから、CGアニメ風のメカニカルなMV、そして最後は懐かしTVドラマ風のエッチ系MVと、ふり幅の広いラインナップでお届けします。

では、まずユルいロードームービー風のMV。
電気グルーヴ×スチャダラパーの「聖☆おじさん」です。どうぞ!

このユルユルな映像を堂々とオフィシャルMVとしてリリースして許されるのは、この2組のグループしかないのではないでしょうか。
しかも、映像と楽曲の関連性がほとんどなく、もうメチャクチャですが、それもアリかな...と思わせるのが彼らのスゴイところです。

電気グルーヴは、説明するまでもありませんが、石野卓球さんとピエール瀧さんをメンバーとする日本を代表するテクノのバンドのひとつです。
以前本連載でも2度ほど紹介していますので詳しい説明は割愛しますが、ご興味ある方は以前の連載をご覧ください。(以前の連載⇒「こんなアイデア、何でも思いつくの?」「我々の既成概念をぶっ壊す!」

スチャラダパーは、1988年に結成されたヒップホップグループで、現在はMCボーズさん、スチャダラアニさん、シンコさんの3名で活動されていますが、なんといっても1990年代にタモリさんがMCをされていたTV番組「ボキャブラ天国」のエンディングで流れていた「今夜はブギー・バック」でのポピューラーシーンへの登場が印象的でした。
かくいう私もスチャダラパーをきっちり認識したのはその「ボキャブラ天国」のエンディングで、小沢健二さんとコラボした「今夜はブギー・バック」はまごうことなき名曲といっても反論する方はおられないでしょう。
少し脱線しますが、「今夜はブギー・バック」は1984年にリリースされた楽曲で、スチャダラパーがメインの「smooth rap」と小沢健二さんがメインの「nice vocal」という2つのバージョンがあり、両者が所属する異なるレコード会社からそれぞれのバージョンがリリースされるという、画期的な提供形態で販売されました。
MVについてもそれぞれ別々のバージョンが存在しているため、本来はこの連載で取り上げ、2つのバージョンを比べて視聴していただきたいところですが、「nico vocal」は小沢健二さんのオフィシャルチャンネルで公開されているものの、スチャダラパーがメインとなる「smooth rap」のオフィシャルMVが公開されていないため、泣く泣く紹介するのを断念しているという状況です。(かつ、私が好きなのは「smooth rap」のほうというのも、紹介をためらう原因です)

さて、この「聖☆おじさん」ですが、電気グルーヴとスチャダラパーがコラボした唯一のアルバム「電気グルーヴとかスチャダラパー」からの2ndシングルとして2005年にリリースされました。
「聖☆おじさん」はふたりの鬼才とコラボしており、シングルのジャケットは電気グルーヴではおなじみ天久聖一さんがデザインされ、なんと漫☆画太郎さんの短編マンガが本当に雑誌に掲載されたりもしましたが、それぞれの関連は全くない(ジャケットデザインとマンガも全く別物!)という画期的というかメチャクチャで、しかしそれぞれの内容は素晴らしいというワケの分からない状況でした。
つまり、この「聖☆おじさん」は、楽曲、MV、ジャケット、マンガの4つがそれぞれ高いクオリティで提供され、かつ関連のない状態で存在しているのですが、それにもかかわらず不思議な調和を見せているという、普通ではありえない作品なのです。

MV自体はご覧いただいた通り、電気グルーヴとスチャダラパーの面々が旅行する内容をつなぎ合わせたロードームビーなのですが、何かを伝えたいとか主張するモノはなく、かといってあえてユルさを演出しているのでもなく、ただ単に楽曲にあわせた編集をされている旅行の映像という画期的なMVとなっています。

では、楽曲はどうかというと、これまたひとクセあります。
皆さん、このメロディーライン、聴いたことのあるなーと思いませんか?
そうです、1984年に大ヒットした映画「ゴーストバスターズ」の主題歌とそっくりなんです。
これは公知の事実として有名なようですが、ここまで堂々とリリースしているというのは度胸があるというか何というか...

1つ目のMVでだいぶ尺を使ってしまったので、そろそろ次のオススメMVに参りましょう。

続いては、CGアニメ風のメカニカルなMVです。
電気グルーヴ×スチャダラパーの「Twilight (アブストラクトな林檎たち)」。

なんで達磨(だるま)なのかは全く分かりませんが、楽曲とマッチするメカニカルな映像が秀逸なMVです。
そして、その楽曲はメチャクチャ素晴らしく、ちょっとふざけた映像と組み合わせるのがもったいないと思えるほどです。

この「Twilight」は、アルバム「電気グルーヴとかスチャダラパー」の1stシングルとしてリリースされたのですが、アルバムの中では最もマジメというか洗練された楽曲で、往年の電気グルーヴを彷彿とさせる名曲と言えるのではないでしょうか。

そしてMVに目を向けると、メカニカルなCGによる映像が楽曲とマッチしているのですが、ちょっとエッチな感じも醸(かも)し出しています。
それがアルバムのテイストともつながってはいるのですが、すべてマジメに制作したらどんなMVになっていたかとも思えます。

なお、MVの最後の黄色い円の中のシルエット画像は、以前どこかで見たことがある感じ(つまり、既視感ですね)があり、色々考えたのですが「これだ!」というのがなく、いまだに頭の中でモヤモヤしています。
いくつか思い出されるものはあるのですが、ウルトラシリーズでの科学特捜隊のシルエット画像やチャーリーズエンジェルのシルエットの画像などですが、いずれもしっくりこず、もし原典をご存じの方がおられたらぜひお教えいただければありがたいです。

最後は、懐かしTVドラマ風のエッチ系MVです。
電気グルーヴ×スチャダラパーの「Twilight (ふぞろいのネジ屋敷)」。

YouTubeのサムネイルからしてエッチ感満載ですが、MVの中身はもっとエロエロな内容です。
しかし、これも電気グルーヴとスチャダラパーのMVということでなぜか嫌悪感がなく、逆に芸術作品とすら思えるのはもう思考がおかしくなっているのでしょうか...

この「Twilight (ふぞろいのネジ屋敷)」のMVは、1980年代に放映されたTVドラマ「ふぞろいの林檎たち」のエッセンスを取り入れながらも、「Twilight 」のオリジナルのMVとして完成された稀有な作品です。
想像の範疇を超えた内容で、なぜこんな作品を作れるのか、この作品のディレクターを調べたところその秘密の一端が分かりました。

なんと、この2つバージョンの「Twilight」のMVは、両方とも同じ方がディレクションされているのです。
そして、その方のお名前は「宇川直宏」さん。

このお方、いい表現をすると才人、ちょっとヘンな表現をすると奇人となりますが、どう表現するのが適切か分からないほどマルチ(古い...)な活躍をされているアーティストなのです。
アーティストというと広すぎますが、画像や映像系なら何でもござれ的なアーティストで、この方のスゴイところは自分の興味があることには枠や制限を設けず何でも取り組み、かつそれが年齢を重ねても全く変わらないというところです。
この宇川直宏さんだからこそ、電気グルーヴとスチャダラパーの毒気に当てられずこれだけ自由闊達な発想のMVを、さらには同じ楽曲を全く違うアプローチで2つの優れたMVを制作されたのだと確信しています。

今回の電気グルーヴとスチャダラパーがタッグを組んでリリースした3つのオススメMVはいかがでしたでしょうか?
特に宇川直宏さんが制作された「Twilight」2部作は、常人の思考を超えた名作ですので、未見の方はぜひ視聴してみてください。

ではまた次回に。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?