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露出高めは逆にゲンナリ...セクシーMVではネリーとフィフスハーモニーがちょうどイイ!(オススメMV #57)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の57回目です。(連載のマガジンはこちら)

皆さん、洋楽、特にHIPHOP系のMVを見ていると「これって、ちょっと露出凄すぎじゃない?」と思うようなMVが結構あるように思いませんか?
お気に入りのアーティストのMVだったとしても、興ざめするというか、逆にゲンナリしてしまいます...

そんな中、ちょうどイイ具合のセクシーなMVもたくさんあるんので、今回はそんなセクシーMVを紹介します。
最初のセクシーMVは、ネリーの「Hot In Herre」です。どうぞ!

露出がメチャクチャ多いわけでなく、かつ直接的な表現があるわけではないのですが、セクシー感満載のMVです。
映像のインパクトが強いのですが、それでも楽曲が前に出てきているのは、楽曲自体にパワーがある証拠ですね。

ネリー(Nelly)は米国のラッパーで、2000年にリリースした1stアルバムが1,000万枚越えという超絶ヒットとなり、なんと続く2ndアルバム「Country Grammar」も同様に1,000万枚越えという驚くべきスタートダッシュのアーティストです。
そして、この「Hot In Herre」はその2ndアルバム「Country Grammar」に収録されているのですが、楽曲自体がメチャクチャいいですよね。
それもそのはずで、かの有名なネプチューンズ(The Neptunes)がプロデュースしているのですが、そう聞くと「なるほどな...」と思います。

MVのほうに目を向けると、これまた一度見たら忘れられないような押し出しの強い映像が満載のMVです。
こんな押し出しが強い映像だと、通常なら映像が強すぎて楽曲が負けてしまうのですが、このMVの素晴らしいところは強い映像に楽曲がぜんぜん負けていないところです。
つまり、かなり高いレベルでバランスがとれているMVと言えます。

この「Hot In Herre」のMVの特筆すべき点は、オープニングの車のシーンのあとは、完全にクラブの中の映像に限定している点です。
つまり、場所を切り替えて映像に変化をつけることが出来ず、単調になってしまうリスクを背負って作られているということです。
しかし、全く単調さを感じさせず、逆にインパクトがあり印象に残る映像として仕上がっているのはなぜでしょうか?
それには、3つの変化をつけるための取り組みがあげられます。

まず1つ目は、色使い。
画面の色構成は大きく4パターンあり、1つ目はナチュラルな映像。
2つ目は赤の背景(壁)に対して人物が青のライティング。
3つ目は全て青のライティングで、最後の4つ目が逆に全て赤のライティングとなっています。
2つ目は、アップと引きの切り替え。
顔のアップと全身が映る引きの映像の2種類に完全に分かれていて、それを切り替えて使っています。
つまり、ゆっくりとしたズームアップやズームインがありません。
3つ目は、スローの使い方。
スローを多用しすぎる、あるいは長くスローを使うと映像のスピード感がなくなりますが、短いスローの映像をうまく分散して使うことでスピード感を損なわずに変化をつけています。

この3つの取り組みで、クラブの中の映像だけにもかかわらず強い楽曲に負けない押し出しの強い映像を作っています。
そして、今回のテーマでもある「セクシー」ですが、上の3つの取り組み、つまり「色使い」、「アップの組み合わせ」、「スローの使い方」がそのままセクシーさを際立たせることにつながっています。

この「Hot In Herre」は、楽曲だけで聴いてもメチャクチャいいのですが、MVも技ありの素晴らしい作品であり、未見の方はぜひ観ていただきたいMVです。
ちなみに、タイトルは本来「Hot In Here」ですが、ネリーの代名詞でもあるセントルイスなまりで「Here」を発音すると「Herre」となるらしく、それで「Hot In Herre」となっているようです。(日本人からすると、まったくピンと来ない話ですが...)

さて、2つ目のセクシーMVに参りましょう。
続いてのMVは、フィフス・ハーモニーの「Work from Home」です。

これまたセクシーなMVですね。
でも、上半身はだかの男性は登場するものの、女性の露出はそれほどなく、それでもこのセクシー感の高さは驚きです。

そして、楽曲も素晴らしく、洗練されているようで不思議とやぼったさもあるメロディーが更にセクシーさを際立たせています。

フィフス・ハーモニー(Fifth Harmony)はアメリカのTVオーディション番組出身の5人組ですが、途中で1名が脱退しています。
2012年に活動を開始し、2013年に1stシングルをリリース、そして2015年にリリースした1stアルバム「Reflection」がゴールドになり、2016年リリースの2ndアルバム「7/27」からの先行シングルがこの「Work from Home」となり、グループ最大のヒット曲となっています。

フィフス・ハーモニーは来日もしていて、ミュージックステーションにもこの「Work from Home」で登場しています。
その時は白い衣装を着ていたのですが、これもそれほど露出が高くなかったもののセクシー感満載のパフォーマンスを披露してくれました。

しかし、フィフス・ハーモニーは2018年に活動休止してしまっています。
商業目的で結成されたグループのため、新鮮さが失われてしまうと所属会社も力を入れなくなり、いい楽曲も提供しなくなることが原因ですが、曲と詩を提供してもらわなければ成り立たないシンガーグループの避けられない現実がここにあります。

逆に、所属会社が力を入れているときには、フィフス・ハーモニーのキャラクターを最大限に生かした楽曲を作り、MVも制作しているため、この「Work from Home」はフィフス・ハーモニーが最も輝いている素晴らしい作品となっています。
なお、フィフス・ハーモニーは全員スタイル抜群というワケではなく、身長も152cmから170cmとアメリカでは小柄な女性グループの部類ですし、洗練された都会の女性というよりちょっと田舎臭いところも逆にいい味になっているのですが、「Work from Home」の楽曲もMVもそのメンバーの特徴を引き立たせています。

では、MVの解説にいきましょう。
この「Work from Home」のMVはネリーの「Hot In Herre」とは違い、オープニングは雲ひとつない晴天の中からスタートしています。
そして、そのあと大きく3部構成の映像で5名のメンバーそれぞれを際立たせています。

最初の1/3は、野外の明るい日差しの中で5名のメンバーが輝きを放ちます。
中盤では、建築中の建物の中でメンバーが歌い踊りますが、半ばを過ぎたあたりに客演のタイ・ダラー・サイン(Ty Dolla Sign)が登場し、楽曲・MVともに変化をつけてくれます。
そして、最後は夜になり、また場面は屋外に移りつつ5名のパフォーマンスが続きエンディングを迎えます。
この3段階の映像構成により、5人のメンバーそれぞれが違った個性を輝かせ、かつ映像に変化をつけています。

ちなみに、フィフス・ハーモニーの「Work from Home」では客演は男性シンガーのタイ・ダラー・サインで、ネリーの「Hot In Herre」では逆に女性シンガーのダニ・スティーヴンソン(Dani Stevenson)が客演に迎えられており、それぞれ異性と組み合わせることでよりセクシー感を出しているように思います。

この2つのMV、ネリーの「Hot In Herre」もフィフス・ハーモニーの「Work from Home」も、実は同じディレクターが制作しています。
そのディレクターは「ディレクターX」。

(自ら「ディレクター」という名称を名前に付けるとは、スゴイ自信というか、何というか...)
ディレクターX(Director X)は、数多くのMVを手掛けるMV職人という表現がピッタリくる方で、今回紹介した2つのMVも偶然いい作品ができたワケではなく、MV職人が計算しつくして制作したからこそ絶妙なセクシー具合のMVとして仕上がっているんでしょうね。

さて、今回の2つのセクシーMV、いかがでしたでしょうか?
MV職人の技が冴えわたって完成された珠玉の作品です。
そして2つとも楽曲自体も素晴らしいので、MVを観るだけでなく、楽曲も聴いていただければ、さらにMVも味わい深くなること間違いなしです。

ではまた次回に。

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