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メチャクチャ暗くて落ち込みそうだが、ラナデルレイのこのMVは紹介せずにはいられない(オススメMV #108)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の108回目です。(連載のマガジンはこちら)

今回は「暗めで落ち込みそうだがオススメのMV」をお届けします。
この連載で紹介するMVは、どちらかと言えば明るいテイストのMVや色調は暗くてもアップテンポの楽曲のMVがほとんどです。
これは、私自身の好みによるところが大きく、せっかく楽曲を聴いたりMVを視聴するなら元気になるもののほうがいいという嗜好からきています。
しかし、そんな中、色調が暗くマイナスのオーラを出しつつもお気に入りのMVがあり、今回紹介するMVはまさにその代表例ともいえます。

では、その暗くて落ち込みそうだがオススメのMVを紹介しましょう。
ラナ・デル・レイの「Summertime Sadness」です。どうぞ!

沁み渡る(しみわたる)という表現がまさしくピッタリなMVです。
陰気な映像に加え、マイナスのオーラが伝わってきますが、映像が楽曲のすばらしさを更に際立たせている良作MVとなっています。

ラナ・デル・レイ(Lana Del Rey)は2008年から活動を開始したUSのシンガーソングライターで、名前はもちろん芸名です。
今まで9枚のアルバムをリリースしていますが、うち2枚がUSでチャート1位になり、グラミー賞にも幾度となくノミネートされるなど、名実ともに素晴らしいアーティストです。
彼女の特徴は上のMVを観てわかる通り、なんといってもそのけだるいような物悲しいような独特の歌い方というか声にあります。

と、大昔から知っているように書いていますが、彼女との出会いはこのMVで、しかも比較的最近なのです。
以前はMTVなどケーブルテレビの音楽番組を録画し、それを流し見しながらお気に入りのMVを探していたのですが、コロナ(COVID-19)のタイミングでYouTubeでのMV視聴に切り替わってからこのMVと出会いました。
具体的に言うと3年前なのですが、この「Summertime Sadness」のリリースは2012年ですので、リリースから8年後に出会ったわけです。
(ちなみに、2012年の2ndアルバム「Born to Die」からの4thシングルとしてリリースされています)

この「Summertime Sadness」のMVは、ご覧になられたら分かりますが自殺のシーンが含まれています。(もし苦手な方でまだ視聴されていない場合は、視聴はやめておいたほうが良いかと思います)
しかも、間接的なものではなく、直接的な表現として描かれており、その点ではこのMVは私としては視聴対象から外れてしまいます。

しかし、不思議なのですが嫌悪感がなく、逆に何度も繰り返し視聴しているという事実があります。
これは、映像そのものが美しく、かつその映像とラナ・デル・レイの物悲しい独特の歌声がこれ以上にないほどマッチし、更には相乗効果を生んでいるからではないかと推察しています。
ただし、明らかに映像からはマイナスのオーラが出ているため、元気な時でなければ観ないようにはしています。

単に暗いとかスローテンポのMVであれば大好きなMVも多々あるのですが、マイナスのオーラを出すMVは好みではなく(ちなみに、ヒトでも同様の方がまれにおられますが、その種の方も苦手です)、初見はしても再見することはまずありません。
しかし、上にも書きましたが、この「Summertime Sadness」は例外中の例外として私の中で存在しています。

ちなみに、この素晴らしい楽曲でありMVである「Summertime Sadness」にはリミックス版が存在しているのですが、このリミックス版はオリジナルを大きく引き離してUSチャートの上位に食い込み、今に至るまで彼女のナンバーワンヒットとなっています。

参考までにそのMVもご覧ください。
クレジットは「Lana Del Rey vs Cedric Gervais」とあり、タイトルは「 'Summertime Sadness' Remix」となっています。

確かに、このリミックス版も悪くはありませんが、私としてはやはりオリジナルのほうが断然好みですね。
MVも同様に悪くはないのですが、どうせなら違う映像と組み合わせてもよかったのではないかとも思います。

なお、このリミックス版はラナ・デル・レイ自身がDJのセドリック・ジェルヴェに企画を持ち込んだようなので、楽曲の更なる可能性を感じていたのかもしれません。
そして、その可能性はまさしく大正解で、上に書いた通りヒットしたことはもちろんですが、なんとグラミー賞まで受賞したというから驚きです。(Best Remixed Recordingという部門での受賞で、ダフト・パンクなどそうそうたる面々を押しのけての受賞となっています)

本当はこの2つのMVだけで終わろうと思っていたのですが、オマケで最後に1つオモシロMVを紹介しましょう。
ラナ・デル・レイの「Doin' Time」です。

「なんじゃ、こりゃ?」という感じのMVですが、ゆったりとした映像にけだるい歌声がマッチして、絶妙なイイ感じのMVとして仕上がっています。

この「Doin' Time」は2019年の6thアルバム「Norman Fucking Rockwell!」からの4thリードシングルとしてリリースされています。
この2つともラナ・デル・レイの楽曲の中ではチャート上位の楽曲ですが、この「Doin' Time」は聴いていただくとわかる通り彼女のオリジナルではなく、SublimeというUSのバンドの同名の楽曲のカバーとなります。
そのオリジナルの「Doin' Time」そのものが、「Summertime」という楽曲のカバーというかサンプリングした楽曲なので、ちょっとややこしいですね。

そして、肝心のMVについてですが、ラナ・デル・レイ自身が巨大な女性となって登場するこの「Doin' Time」のMVは、実は元ネタがあるのです。
それは、「Attack of the 50 Foot Woman」という1958年製作の映画で、邦題は「妖怪巨大女」というから時代を感じさせます。
映画では露出高めの衣装を着た女性が50フィート、つまり15メートルぐらいの身長になるのですが、MVのラナ・デル・レイはもっと身長が高そうで、かつ衣装も普通のワンピースと若干の違いはあります。
映画のポスターと同じ構図で高速道路をまたぐ映像もあり、なかなか楽しめるMVとなっています。

結局、ラナ・デル・レイ特集のようになってしまいましたが、今回の3つのMVはいかがでしたでしょうか。
特に最初の「Summertime Sadness」は、マイナスのオーラが出てはいますが、MVとしての出来は素晴らしいので注意しながらぜひご覧ください。

ではまた次回に。

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