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たまたま雀魂

麻雀は人並みである。
雀魂は、アズレンのルルイエルーム1のダベり仲間に誘われてフラッと始めた。
打つ頻度は、月に2局程度。まとまった時間も取れないので、どうしてもその程度だ。
最近は余裕も無いので、東風ばかりになっている。

しかしまぁ、最近「にじさんじ最強雀士決定戦」で、熱を再び熾されてしまった。
初心者も交えての大会でどうなる事かと思えば、意外にも熱く、そして笑いが起こる楽しい大会だった。
雀魂公式からもイジられた野良猫の安上がりに、解説や各ライバーのコメント欄が悲鳴を上げた「異次元麻雀」と称された予選J卓など、麻雀経験者ほど笑える状況がてんこ盛りだ。

麻雀がよく分かっていないから、という状況が産む理外の手は笑えるが、しかしバカには出来ない。
このにじさんじ麻雀で、決勝に残ったのは麻雀歴が浅い者が大半で、かつ、2位に食い込んだのはグウェル・オス・ガールという、麻雀初めて一ヶ月もしていないという初心者だった。
鬼ヅモ、好配牌に恵まれた運だけのフルーク(マグレ野郎)と侮れないモノがあった。
自分がにじさんじ麻雀に興味を持ったのは、グウェルがキッカケだ。以下にその理由を述べる。

麻雀初心者のグウェルが、勝とうと志してまず最初に打ち立て、宣言した戦略は「私はオリない!」だ。
グウェルという人物を知らなくても、これだけでちょっと心に火が灯る人は居るのではないか。
さらに、彼の主戦略は「テンパイ即リー」。現代麻雀、最強にして最高の武器を自らの意志で選んだ。
立直(リーチ)はその後の待ちを変えられない反面、裏ドラが載る。様々な役に付け易く、かつ期待効果が高い。

グウェルとしては、相手の手を読み、寸で躱し、手の内を変えて間合いに踏み込んでいく、鍔迫り合いをするような高度なゼロ距離戦闘は出来ないと踏んだのだろう。高等戦術が取れないからこその、テンパイ後の駆け引きを省略する…そんな腹だったと予測する。
本人からすれば、NOOBが遠距離から狙い撃つイメージだったのかも知れない。
…麻雀経験者ならお察しの通り、立直はそんな「遠距離射撃」ではなく、「オラ打ってこい!」と誘ったり、ホームラン宣言したりと、そんな類の話だ。
実際、予選当時のグウェルは平和(ピンフ)や断么(タンヤオ)のざっくりとした役は知っていたが、ピンフの細かいルールや、チャンタなどの役は知らなかった。
グウェルがチャンタをざっくりと教わっていたのは、何と予選後のグウェルの生放送だった。
…しかも、俺との対戦である。

満貫振り込んでから、上家がグウェルだった事に気づいたアホなアカウントがこちら。

その後、初心者にやられたと激昂し、顔真っ赤にしてチャンタ(食い下がり)三色をツモったアカウントがこちらになります。

後で放送のアーカイブ見たら、グウェルがコメントで「これがチャンタだよ」と教わっていた。
「鳴いたら価値がない」?
うるせぇチャンタは泥臭いんだよ!

そんな脱線もそこそこに。
グウェルはこうやって、図らずも現代麻雀最強の手を引っさげて、本戦に挑んだ。
しかも、戦いながら成長していた。自分の放送ならリスナーに教えを請う。
にじさんじ最強雀士決定戦では、対戦相手(!)に教えを請うていた。
空気は読めないが、根は真面目で真っ直ぐなのだ。
まるで、麻雀漫画の主人公みたいな奴なのだ。それも、初心者が成り上がる系の。
無類の強さではない。
危なっかしい。
なのに、打つだけでワクワクさせる。
試しにグウェルの予選をザックリ書いてみると、こうだ。

優勝最有力候補で「師匠」とも言うべき社築、浅からぬ関係の神田笑一、同期の不破湊。経験値・ゲーム勘は折り紙付きのメンツ。
疎まれる初心者・グウェル(当時、ARKプロレスなど色々あってグウェルは炎上していた)、勝ち上がりは絶望的に見えた。
しかし、グウェルはコレを「美味しい」と言い切った。
グウェルは1局目から社に追っかけ立直を仕掛け、その上で刺す「師匠殺し」を見せ、予選は波乱の様相を呈した。
鬼ヅモと好配牌ながら危なっかしい打ち回しのグウェルに対し、終始渋い配牌の不運に見舞われ続けた社。それでも整然とした組み立てでグウェルを刺し返す意地を見せる。
しかし、社が不破湊のダブ東三色ドラ3の跳満に刈り取られ、四桁の瀕死に。
グウェルは戦いの最中にオリることを覚える成長を見せるも、オーラスで1位の不破と2位グウェルの点差が19300の大差。
不破に満貫直撃でも討ち取れない。そもそもそんな狙い撃ちが出来る実力はない。まして役を積み重ねられる実力もない事は理解しているグウェル。
しかし、無情にも手の内に5翻満貫手がテンパイ。そしてトイ面神田が振り込み!しかし、これを獲っても1位にはなれない!
「ロン」の表示が消えるカウントダウンが迫る!
どうする、絶体絶命!

…予選でこれだもの。
「私は、降りなぁい!」と叫んで超危険牌を切り、ギャラリーとメンツを「おいおいおいィ!?」と言わせるまである程のヤバい打ちまわしだが、振り込みを恐れず自分の思う手に向かって真っ直ぐ進むのは、暴走機関車を見るようなハラハラと、経験者が忘れていた「怖いモノ知らず」のあの頃を想起させる懐かしさを覚えるはずだ。
漫画かお前は!というのが自然と口を突いて出るような鬼ヅモだが、いつの間にか自然と応援してしまう。
そういう所がある。

大会前、主催の舞元に「自分は出ない方が良いのか」とグウェルが悩みを打ち明けていたというエピソードも含め、これは一個のドラマになっている。

グウェルがいかに予選を突破したのかも楽しいのだが、他の卓でもドラマがあった。
事前の優勝候補とされていた面々が次々と負けていく(補足すると、予選は数の多さから、当初半荘予定が東風戦に変更され、運要素が強まった)という「呪われた優勝予想」や、わかりやすく楽しいのがグウェルだと思ったので紹介したが、他にも見所は多い。
準決勝A卓の「妙」は「そんな勝ち方があったか!」と嘆息するだろう。
冒頭に紹介した「異次元麻雀」の予選J卓は呼吸困難に陥る恐れがある誰一人としてマトモな打ち筋がない卓だ。卓を囲む4人だけが「のほほん」として、ギャラリーと解説がひたすら頭を抱えている図は本当に笑える。
本戦終了後のエキシビジョンである、解説四人による対局は、「これがにじさんじだ!」と改めて納得するだけの笑いもあった。

エキシビジョンマッチ、このペンギンのヒナに大人ペンギンが攻撃する有名なコラ画像がピッタリだと思った。誰がどの位置づけかは、見たらわかる、ハズ。

ケチャケチャケチャケチャ

雀魂は、この大会後にユーザーを大幅に増やした。今でもマッチングに困る事はない。
初心者でも打てるアプリとして知られたのは大きいと思う。そういう意味でも、このにじさんじ最強雀士決定戦は良いキッカケになったのだろう。
今後も良き流れになって欲しいと願う。

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