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#6【現役教師に聞く】アメリカ式!「ありがとう」を増やす教育 松山先生


stand.fmで配信中「くまゆうこの教育子育て相談室」

ITでいじめのサインを見逃さない 株式会社マモル代表 くまゆうこが
日々の事業の活動から寄せられた相談や見えてきたこと、聞いてきたことをゲストの方と一緒に考える番組です。


第6回は、大阪の公立小学校の先生で広島大学大学院で研究を進めていらっしゃる松山先生についてお聞きしました。


※本記事は、2021年2月1日にstand.fmで配信を開始した番組を書き起こしたものです。

学校現場で子ども同士の関係や子どもと教師の関係をポジティブにしよう

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今日は小学校の先生をしながら大学院で教員をしている松山先生をお招きして、先生がどういう研究をしているか、その研究が子ども達の真理とかいじめにつながってくるので、そういうことを聞きしたいと思って松山先生をお呼びしています。

くま:先生がやっている研究というのが、私のやっている会社の事業とかなり密接に関わっているなと思ってすごく興味があるんですけど、今日は根掘り葉掘り聞いてみようと思うんですけど、まずどういう研究されているのか簡単に教えてもらいますか。

松山先生:簡単に言うと、学校現場で子ども同士の関係や子どもと教師の関係をポジティブにしようというのが一番の研究の目的なんですね。そのための取り組みとか、または学校全体すべての教師がそのような取り組みができるような枠組みづくりみたいなことを今研究しています。

くま:先生と生徒のポジティブな関係というのは具体的にどういうことなんですか。

松山先生:昨今、教師の体罰問題とか大きな問題になってるじゃないですか。私たちって教師になる時に学級経営の方法ってほとんど習わずに教員になってるんですね。例えば問題行動がある時って注意したり叱責したりすることで、問題行動が起きてから注意しよう、ネガティブなアプローチをしようということになってしまうと思うんですよ。でも私が目指しているのが、問題行動が起きる前に、起きないように環境を整えて行ったり、あとはポジティブな関わりを増やしていくことで関係性を構築したり、そういう取り組みをしています。

くま:これってまさに問題行動いろいろあると思うんですけれども、当然いじめも入ってくるわけですよね。

松山先生:いじめも入るんですけど、いじめにならない、なりにくい関係作りというのも研究の対象になりますね。

感謝の気持ちを伝えるカードで行動と気持ちがセットになる

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くま:それ、すごい大事なことですよね、予防が一番大事なので。先生が前にやられていた中でポジティブカードみたいなのがありましたよね、感情カードか。これはどういうものですか。

松山先生:これは教師が子どもたちの素敵な行動が見られた時に「それ素敵だよ」っていうことを伝えるカードなんですね。あと、または子ども同士でお友達の素敵な行動を見つけた時に、それに対して「ありがとう」とか「良かったよ」って感謝とか称賛を伝えるカードなんですね。感謝を伝えあったりするとどんな良いことがあるかというと、人間ってそもそも感謝を伝えなくてもやってもらったことをやってもらった人に返すっていう応報性ってのはあるんですよ。でも学級集団で「鉛筆拾ってくれてありがとう」ってそのお友達に言うと、鉛筆拾っていいことなんだっていうことでその他の友達にもその良い行動をしようと思うんですね。これは心理学で言われてるんですけれども、これを恩送りって言いますよね、pay it forwardって言うんですけど。集団の中でのポジティブな行動を広げていく一つのツールとしてポジティブカードっていうのは有効ですね。

くま:そういうことなのか。それを言うことで人のいいところを気づきやすくなったりするんですか。

松山先生:そうですね、あと先ほどの話につながるんですけども、いじめの問題になってしまったあと修復していく過程で相手の嫌な部分ばかり見てしまうと許せなくなりますよね。例えばこういう取り組みを自然にしていることで「確かにあんな姿もあったしなぁ」ということで許しとか妥協とかまたは謝罪に繋がったり、そういう関係作りができるんじゃないかなと思っています。

いくつになってもほめられる

くま:先生は小学校で実践されてると思うんですけれども小学校って1年生から6年生まで発達がずいぶん違うじゃないですか。何年生だと効果があるところもあるんですか。

松山先生:これよく聞かれる質問なんですけど、私、小中学校の学校で導入のサポートさせていただいたことがあるんですけれども、どの学校でも効果が見られますね。

くま:やっぱりそうなんだ、何年生だからとかないんでしょうね。1年生になる1年生なりのっていうことですよね。

松山先生:特に高校生はこういうのにあまり慣れてないって感じだったので、 そういう取り込みをするとすごく喜んでましたね。「先生そんなことを言ってくれるの?」みたいな感じで。

くま:ほめられてなさすぎなのかな?日本は。

松山先生:そうですね、特に学年が上がると当たり前になっちゃうので。

くま:そうですよね、大人になるともっとほめられないですもんね、誰からも。

松山先生:例えば一番最初にやることは、この集団で素敵な行動って何かなっていうことをまず定義するんですね。

くま:素敵な行動に定義からはじめるんですね。

松山先生:何が素敵な行動か分からないので、みんなで出し合ってもらうんですね。こういう行動が素敵なんだ、こういうこともいいよねっていっぱい出し合って、例えばそういうのが考えにくい子は、その時点でこういう行動すればいいんだってなりますよね。

くま:例えばさっきのペンが落ちていたら拾おうってことなんですね。

松山先生:最近だったらコロナでできないですけど、机を整えようとか、挨拶をしようとか。大切なことは全部〇〇しようっていうことで言葉を揃えていくということですね。よくあるのは〇〇しないって言葉で揃えてしまうと声掛けが注意になってしまう

くま:それはすごく大事なことかも。
子育ても誰の本で読んだか誰から聞いたかうろ覚えなんですけど、子どもとの約束も〇〇しないじゃなくて〇〇しようの方がいいみたいな話があって。たぶん今の話と同じですよね。これしちゃダメとかこれはダメみたいな禁止じゃなくて、プラスの良い方を先に言おうってことですよね。まさにポジティブ、決め方からポジティブなんですね。子ども達は考えるだけでも成長ですよね。

松山先生:そうですね、それをきっかけづくりとして、次はどういった言葉を伝えると嬉しいかなっていうカードの書き方を練習するんですね。こういう風に言うと例えば具体的に「こんな時にうれしかったよ」とか「〇〇をしてもらってうれしかったよ」って書くともらった子はあの行動でこんな気持ちになってくれたんだっていう行動と気持ちがセットになりますよね。それによって、こういうお助けをしようかなとか手伝いをしようかなっていうポジティブな気持ちになっていってくれるかなと思います。

くま:行動とセットというのがポイントなんですね。これが期間的にはどのぐらいやるんですか。

松山先生:これは学級の実態や子どもたちのニーズ、やりたいっていう気持ちにもよるんですけれども、今年に関しては1学期から2学期にかけてずっとやっていましたね。

くま:最初は戸惑う子供達もいるんですか。

松山先生:そうですね、やっぱり何を書けばいいか分からないとか、友達にそういうカードを渡すのが恥ずかしいってのもあるんですけれども、まずは全員がもらえるように工夫をするんです。よく100円ショップに行くとカード入れるようなポスト、透明の小さなカードケースみたいなのがたくさんついた壁にかけるやつあるじゃないですか。あれにお友達の番号をちょっとつけといて、その子に対するカードを直接手渡しするのではなくて、そこに入れるんですよ。そうしたらこういうこと書いていいんだとかこういうこと書けばいいんだってのはよくわかるので、そういうカードの共有みたいなこともやったりしていますね。

くま:先生がそういうふうにしたほうがいいなという独自アイデアなんですか。

くま:一番のきっかけはアメリカの学校現場に視察に行ったんですね。私の完全なオリジナルではなくて、アメリカでpositive behavior supportっていうアメリカのポジティブ行動支援という取り組みがされているんですけれど、その学校に視察に行った時に取り組まれていた実戦を日本に持ってきた形になります

くま:海外、アメリカはそういうのが進んでるって事ですね。

松山先生:そうですね、法律にも明記されているとかそういう風に進んでいってますね。

くま:先生が日本に、大阪に取り入れているわけですね。先生が関わってる所は全部実践してるんですか、大阪以外にも。

松山先生:そうですね、どちらかと言うと大阪よりも他府県からよんでいただくことがすごく多くて、例えば岡山県とか沖縄県とか結構遠いところから。私はどこでも行きますので。

松山先生:いいですね、ぜひやって欲しいなあ。この行動に対してこういう感情だったよっていうのはすごく大事だなと思っていて、例えばいじめだとそれはネガティブな話ですけれども、この行動が傷ついた、この言葉が傷ついたっていう話じゃないですか。だから松山先生がやってるなポジティブな方なんですけど例えばこういうことをすると人はうれしいんだなぁとかこういうことをすると喜んでくれるんだなっていうことがすごくわかるってことですよね。

くま:これ興味ある人は先生に言えばいいんですか。

松山先生:そうですね、ぜひ連絡いただければ研修などをしていますので。

くま:興味ある方はこの番組のレターに連絡くれれば私が松山先生にご紹介するということでいいですか。

松山先生:ぜひお待ちしております。

(松山先生の感情カードにご興味のある方は、ぜひこちらの番組へレターをお願い致します)

子ども主体、当事者本人が考える

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くま:松山先生に1つこういう質問が来てるんでお答え頂きたいんですけども、これ前回も先生に聞いたんですけれどいじめの場合の聞き取り、いじめられた子がいて先生にいじめられましたって言うと先生がいろいろ聞き取りをしてくれると思うんですけれども、聞き取りの方法でさらに傷ついたっていうこともあるんですよね。例えばいろいろ聞いた上で、「じゃあ何とかしよう」って守ってくれるんだったらまだしも、最後の最後で「それいじめじゃないから」みたいに言われて結局傷が2倍になった。あとは周りの同級生に噂を立てられて余計にひどくなったみたいな、そういう話があったんですけど、聞き取り方に工夫ってあるんですか。

松山先生:そうですね、これが私の1番の研究主題なんですけど、先ほどの話にも繋がるんですが、結構教師ってこういった場面の対応も大学で習わないんですね。現場で習得する技術なんですけど、その時にとっても難しいのが、日々子ども達の事を見ていますから先入観が入っちゃうんですね、決めつけちゃうと言うか。この子とこの子だからきっとこの子がこうしたんじゃないかなっていう風に最初思ってから対応しちゃうんです。なので話の聞き方もどちらかというとそういう方向に持っていくように聞いてしまったりする場合が結構多いんです。

くま:いわゆる誘導尋問ですね。

松山先生:俗にいう落としどころを見つけてそこに持っていくって現場ではよく言うんですけど。

くま:それを客観的に聞くとすごく怖いですね。だって自分がそういうふうに思われしたらそうなっちゃう。

松山先生:めちゃめちゃ怖いです。ご質問の内容で一番大事なのはいじめとは何かっていうことを学校のみんなで共有しているかどうか。現状のいじめの定義っていうのはその子が心身の苦痛を感じていればいじめっていう風になりますので、後は複数の関係者がいたりとかっていうのもあると思うんですけれども。だからいじめはないと言われたという話なんですけれども、本人がいじめかなって思っているって事であればそういう風に学校は対応していくことが求められるだろうなと思いますね。

くま:おっしゃる通り、例えばどういう子どもかというのを先生が伝えたり書いたりするのがあると思うんですけど、それも先生の捉え方で、例えばある子はわがままだみたいな見え方もあるけれども、リーダーシップがあるという書き方をすることもあったりして難しいですよね。先生がその子どもをどういう風にとらえるかによってずいぶんアプローチが変わってくるってことなんですね。

松山先生:結局いじめの聞き取りで、なぜ教師がある程度決めつけていったり話を進めてしまうかと言うと、子ども達、当事者の言い分を十分に聞けていないっていう問題もあるんですね。あとはあんまり言われると違う問題が出てきてしまうので教師としてもこわいんですよ。

くま:それはどういうことなんですか。

松山先生:どう思ったのとかこれに至るにはどういう問題があったのって聞くとまた別のことが出てくるんですよ。だから大変なんですけど、こういう機会に全部出させるべきですね。出してもらうためには「聞くよ、聞いているよ」っていう姿勢をしっかり示すことも求められてるかなと思います。

くま:後は関係性も必要なんでしょうし。

松山先生:あと1点これも一番大事なんですけど、善悪の判断も暴力を伴っていたりしたら教師がジャッジすることは大丈夫だと思うんですけれども、何がいいか悪いかの罰の判断は当事者がすべきなんですね。

くま:それはどういうことなんですか。

松山先生:それをしてしまってどう思う?ということですよね。先生は悪いと思うからあなたは悪いよって言ってしまうと先生が悪いって言ったから悪い。でもこういったことで相手がこういう気持ちになってるからあなたはどう思うって本人に判断を委ねさせていくんですね。そうすると悪かったかもしれないっていうのは自分で考えた悪いっていう気持ちですよね。そういう風に教師が善悪を判断せずに、まずは子ども達、自分たちでこれってどういう気持ちという問題だったのか、どういう影響があったのかってことを考えてもらうのが必要だと思いますね。

くま:先生から言われたら腑に落ちていない時に反省したふりをするってことですよね。

松山先生:反省させると犯罪者になりますという本もありますよね。


くま:さっき言った子ども主体で子どもが考えてっていうことを実践しているっていう事ですね。
先生になるのにすごく大事なことじゃないですか。だから先生になる試験なのか勉強なのかわからないけど、こういう授業って絶対入れた方がいいですよね。

松山先生:本当に必要ですね。しかし現在カリキュラムがすごく充実しすぎていて、英語とか道徳とかプログラミングですか。だから大学の教員免許の教職課程もパンパンなんですね。なかなかこういうのが入る余地がないんですよ。

くま:すごく大事ですけどね。先生がやっているポジティブ行動の行動支援まだ知らない方もいると思うので、保護者も含めてもっと知ってもらって、家庭でもできますよね、これ。

松山先生:もちろんです、ファミリーサポートみたいな取り組みがアメリカでも取り組まれていますので家庭でも大丈夫だと思いますね。

くま:もっと多くの人に知ってほしいですね。

今日は先生の研究の内容や論文についてお伺いしました。次回も是非来てくださいね。



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株式会社マモルCEO(https://mamor.jp/) ITでいじめのサインを見逃さない。いじめ相談ツール「マモレポ」を開発・運営 ▼神戸新聞まいどなニュースで執筆中→ http://bit.ly/350Zawc  Twitter→@mamoru_yuko