サボテンの花

僕は1966年生まれなのだけど、ものすごくおおざっぱに言えば中学生の頃は「弾き語り系」の音楽が流行り、高校生になると「バンド系」の音楽が流行った。だいたい1980年を挟んで、シーンが変わった感じがする。

人前で初めて歌ったのは中1のお楽しみ会で、中2の文化祭、中3の卒業生を祝う会と、それぞれアコースティックギターで弾き語りをした(当時はアコースティックではなく、フォークギターと言っていたように思う)。松山千春とか岸田智史とか長渕剛とかそういった人たちの歌を歌った。

高校に入るとフォークソング同好会とポピュラーソング同好会というのがあり、僕はその両方に入った。フォークソング同好会が「弾き語り系」で、ポピュラーソング同好会が「バンド系」の部活だ。秋の文化祭では、フォークソング同好会の方でオフコースなどを弾き語り、ポピュラーソング同好会の方ではビートルズのコピーバンドを組んで演奏した。バンド名は「ビールス」とつけた。キーボードの岩本くんは、チューリップが好きだとよく言っていた。僕はヒット曲ぐらいしか知らなかったので、この「サボテンの花」を知ったのもずっと後になってのことだった。

高校2年の文化祭ではもう、弾き語りはやらなかった。フォークソング同好会でもバンドを組み、佐野元春&ザ・ハートランドの曲を演奏した。「アートランド」と名乗った。弾き語りはもう流行から外れてしまった感じがあった。教室を暗くして弾き語りをしていたら、ネクラのレッテルをはられ、嘲笑されそうな感じすらした。1年やそこらでそんなにも空気が変わってしまった。

チューリップが好きだった岩本くんが役者さんしていることを最近まで知らずにいた。映画『殿、利息でござる!』を観ていたら、岩本くんが番頭さんとして出てきて驚いた。

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