令和5年度 行政書士試験を振り返って

2023年11月18日。
令和5年度行政書士試験が終わって1週間が経とうとしています。
はじめに令和5年度行政書士試験を受験された皆様、本当にお疲れ様でした。
私も令和5年度行政書士試験を受験しました。
このnoteでは行政書士試験における自身の体験の記録を残すとともに今後行政書士試験を受験しようと試みている方々の参考になれば幸いです。
なお、現在自分自身が思ったことや感じたこと、また試験結果については見込みを記載しているので抜け漏れや試験結果が正式に分かり次第アップデートしていきたいと思っています。


令和5年度 行政書士試験の結果

令和5年度 行政試験結果は以下となります。

【法令等】
択一式
 5肢択一式 132点
 多肢選択式 18点
 記述式   44点
【一般知識等】
択一式
 5肢択一式 48点
総得点は242点でした。

なお、記述式以外の正解数の内訳は以下になります。
基礎法学  1/2
憲法    3/5
行政法   16/19
民法    8/9
商法    5/5
多肢選択  9/12
一般知識  12/14

行政書士試験を受験した経緯

2023年1月22日にFP2級を受験し、もう少し自分の将来に寄与しそうな資格にチャレンジしたいという思いから始まりました。
その中で候補として挙がったのが行政書士試験だったということになります。

  • 将来は地元に帰って働きたい(開業したい)

  • どうせ取得するなら国家資格にチャレンジしたい

  • いつか政治の世界に関わってみたい

こういった思いに少しでも役立つのではないかと思い、行政書士試験にチャレンジすることを決意しました。

予備校選定について

私が行政書士試験を受験する決意をしたのはFP2級受験後の1月末になります。
普段会社員として仕事をしていることもあり、効率的に合格することを目指して予備校は欠かせないものだと思っていました。
結果として私自身はアガルートを選びましたが、以下を軸に選定しました。

  • 通信講座であること

  • テキストが充実している(いそう)か

  • 講師との相性

以上に加えて合格者に対する全額返金制度があることも非常に魅力的でした。
少し値段ははるものの合格に向けて強気でいたので、それほど時間をかけずアガルートを選びました。
余談ですがアガルートに問い合わせをした際、電話口の担当者から「一般的に初学者は1年前くらいから勉強を始めるので少し出だしとしては遅い」というようなことを言われましたが、「3ヶ月程度の勉強量ならすぐ取り戻せるので大丈夫です」というくらいには強気でした。
普段はどちらかというと自己肯定感は高い方でもなく、どちらかといえばネガティブな部類です。
ただ、行政書士試験は長期戦となるので、メンタルを強く保つということは今考えてもすごく重要なことかと思います。


使用した教材のご紹介

私が実際に使用した教材は以下になります。

  • 総合講義テキスト アガルート

  • 短答過去問集 アガルート

  • 逐条ローラーインプット講座テキスト アガルート

  • 択一式対策完成への問題 アガルート

  • 出る順行政書士(合格問題集・過去問題集・記述式問題集) LEC

  • 速攻の時事 実務教育出版

  • 市販模試 5冊

  • 行政書士出るとこ予想 TAC

  • 無敵の行政書士 TAC

  • 試験六法 早稲田経営出版


行政書士試験に向けて使用した教材

これらを約9か月間で使用しました。
アガルートの教材以外はネットで調べて、実際に本屋に出向いて購入しました。
これで足りるのか正直不安はありました。
というのも、Twitter等を見ていると色々な教材を使用している方がたくさんいるからです。
今考えるとアガルートの教材に追加で問題集等を購入して良かったとは思いますが、他の教材は自分が調べて購入したものであれば特に不安に思う必要はなかったと思ってます。
重要なのは教材ではなくて、問題集をひたすら使い込んで徹底的に頭に入れることです。どこの教材を使用しても合格する人は合格するし、合格しない人は合格しません。

試験日までの過ごし方

ここでは自分が実際に試験日までどのように過ごしてきたのか記載したいと思います。
はっきりとした記憶ではないため、ざっくりとした記載になることをご了承ください。

2023年2月~4月までの過ごし方

最初にアガルートからテキストが送られてきたときはワクワクしたと同時に覚えなければならない量の多さに圧倒されました。
とりあえず1通り網羅的に学ぼうと意気込み、民法⇒行政法⇒憲法・基礎法学⇒商法の順に講義を見て短答過去問集に取り組むというサイクルで学習しました。
最初は短答過去問集をやってみても全然分からず、テキストを使用しながら解答したことを覚えています。
そして2巡目に取り掛かろうとしたところ、インプット量が多すぎてほとんど覚えられていないことに気づきました。ここで初めて焦りというものを感じました。
”何巡すればインプットできるのか、そもそもこの量を本当に覚えきれるのか、でもやるしかない”
こんなことばかり日々考えていました。
少し出だしが遅いという自覚もあったので可能な限りの時間を費やしてインプットに努めました。
勉強しないといけないという焦りからイライラすることも増え、当時家族には迷惑をかけたと反省しています。
2巡を終え、かつ逐条ローラー講座を受講したことにより、広く浅く知識が身についていることを実感しました。

2023年5月~9月までの過ごし方

この期間は問題集への取り組みに注力しました。
市販の問題集を解きながら分からない箇所があればテキストや六法をひくということを永遠と繰り返しました。
この期間中にアガルートの問題集含めてすべての問題集に7回取り組みました。
併せて記述式の対策も始めました。
当初は1日民法5問、行政法3問に取り組んでいました。
記述式対策についてはこの期間にLECとTACの問題集を使用して5周程度こなしました。
また、一般知識の講座も1通り受講して足切りをくらいたくない気持ちから速攻の時事を購入し、こちらについては7周程度まわしたように記憶しています。一般知識の講座自体も3巡はしています。
市販模試にも8月頃からチャレンジし始めました。
正確に記憶はしていないですが、足切りに3回程度かかったように思います。そして法令科目で合格点に至らなかったのは初回だけだったと記憶しています。(全17回の模試に取り組みました)
市販模試についてもすべての模試を3周はしました。
そのうち時間を測って解いたのは5回くらいです。

2023年10~11月までの過ごし方

10月前半で持っていた問題集を1通り再度こなしました。
記述の勉強に力を入れるため、問題集と条文学習に力を入れました。
逐条ローラーインプット講座をこの期間で2巡し、日々条文を読み込む毎日でした。
疲れたときに時事問題に取り組んだりしていましたが、この期間は”細かい文言まで覚えて記述で満点とってやる”と意気込んでいたので本当に条文学習しかしていないです。
条文学習のおかげで結構なスピード感で条文を読み込めるようになっており、試験当日前3日間で一通りの条文を読み込み、試験までの勉強を終了としました。

本試験当日の流れ

前日は絶対に緊張して寝れないと思って前々日に早めに寝ていたのですが、意外といつも通りに寝ることができ、朝はすっきりと起きることができました。
朝ごはんを食べて、勉強しようかとも少し思いましたが”すべてやり切った”と思っていたし、集中できる精神力もなかったのでひたすら音楽を聴いて過ごしていました。
10時半頃に逐条ローラーインプット講義のテキストを持って家を出ました。
駅付近でお腹いっぱいになりすぎないよう、かけうどんを食べて受験会場に向かいました。
受験会場に到着するとたくさんの受験者がいて、たくさんの人がたくさん書き込みしているテキストをみて勉強したりしており、少し不安を感じましたが結局受験会場到着以降、自分がテキストを開くことはありませんでした。
精神を落ち着かせることが最も重要だと考えたからです。
席についてトイレを済ませ、無心になって心を落ち着かせるようにし、13時を迎えました。
問題を解く順番は特段決めておらず、基礎法学⇒憲法⇒民法⇒行政法⇒商法・会社法⇒多肢選択式⇒記述⇒一般知識の問題順に解答していきました。
元々私は問題を解くスピードが速く(周りと比較したことはないですが)、時間が余ることは予想しており、予想通りマーク40問を1時間程度で終わらせ、多肢選択に約15分、記述に約20分、一般知識に約15分をかけ、計2時間程度で問題を解き終わりました。
勉強中に受けてきた模試ではいわゆる凡ミスというものが多く、”見直ししておけば合っていたのに・・”ということが多くありました。本試験では1時間程度見直しをして3問の解答を修正しました。
この見直しで3問修正し、12点をプラスすることができました。

やっておけばよかったこと

ここでは、行政書士試験に向けて私自身がやっておけばよかったと後々感じたことを記載していきたいと思います。

会場受験の模試をたくさん受ける

私は結果として会場模試を1回も受けておりません。
市販の模試を時間を測ってやれば十分だと考えていたからです。
ただ、当たり前ですが、会場と自宅では雰囲気が大きく異なります。
模試と本試験でも雰囲気は全く異なるとは思いますが、多くの受験生の中で緊張感のある雰囲気に慣れておくことは本試験に向けてかなり重要なのではないかと思っています。
家で模試をやると見直しに時間を費やさない、喉が渇いたら飲み物を飲む、トイレに行きたくなればトイレに行く、というようにどうしても甘えが出てしまいました。
もちろん、そのようにならない方もたくさんいるとは思いますが”我慢”ができなかった私は本試験前に
”本試験でトイレに行きたくなったらどうしよう・・・”
”ちゃんと時間いっぱい見直しできるかな・・・”
というような不安でいっぱいでした。
できる限り本試験に似た状況下で受けられる模試はとても貴重な経験になるかと思います。

過去問の徹底的な対策(記述)

記述試験は過去と同じ問題は出ないと耳にしていました。
そのため、私は問題集と条文ベースで記述試験対策をしており、過去問には触れていませんでした。
ただ令和5年度 行政書士試験では同じような問題が出たそうです。
だからというわけではないですがやはり問題集と実際の問題の出方は異なります。色々な会社の市販模試を受けてみても出題の仕方の特色みたいなものがあるように本試験では本試験の特色というようなものがあると思います。
全く同じ問題は出なくても似たような論点のものは今後多く出題されてくるのではないかと思います。
そういった意味で記述対策においても過去問を徹底的に対策しておくというのはとても効果的だったのではないかと思っています。

最初に大まかなスケジュールを作成する

そもそも試験勉強の出だしが遅かった私は当初ほんとに焦っていました。
”できるだけ早い期間でインプットして他の受験生に追いつかなければいけない”と思いながら勉強に取り組み、焦りがいら立ちを生んでしまい、周囲の人(特に母親)には迷惑をかけたと思い、反省しています。
広く浅く全体の知識が身に付き、途中からスケジュール管理をするようになり心に余裕を持てるようになりましたが、スケジュール管理というのは本当に重要なことだと思っています。
本試験の日から逆算して大まかにでもスケジュールを作成しておけばよかったと感じています。
もしスケジュール通り進捗しなくてもそれはそれで問題ありません。逐次スケジュールをアップデートしてばいいだけです。
そうするともっと最初から心に余裕を持ちながら勉強に取り組めたのではないかと感じています。

やっておいてよかったこと

ここでは、行政書士試験に向けて私自身がやっておいてよかったと感じたことを記載していきたいと思います。

通信講座の活用

仕事をしながらの受験になるということでできる限り効率的に勉強に取り組みたいという気持ちから通信講座は必須だと思い、迷わず自己投資しました。
これはとてもよかったと思っています。
もちろん通信講座を受講すれば合格できるわけではありません。
ただ自分で調べて間違った方向性で勉強に取り組むよりも安心して勉強に取り組める手段なのではないかと思います。
あくまで合格のための効率的な手段として捉えていただければと思います。

本試験での見直し

当たり前の話ではあるかと思いますが、記載させていただきました。
私は今までの資格試験で問題が解き終わり次第、早く退出していました。
ただ行政書士試験は問題の文章が長いです。かつ、慣れていない場の雰囲気ということもあり、落ち着きながら解答できる雰囲気ではないかと思います。
そういった状況下では必ずと言っていいほど読み飛ばし等が発生すると思っています。
絶対合っていると思った問題以外にはマークをつけておき、あとで読み返すと修正できる問題が出てくると思います。
私は見直しで12点アップしました。
本試験での3時間というのは長丁場であり、集中力を維持するのは大変かと思いますが、数点で合格・不合格が左右される局面もあるかと思うので見直しは必須です。

試験用のXアカウントの作成・発信・交流

私は勉強に取り組み始めて1か月後くらいにXで試験用のXアカウントを作成し、行政書士試験に向けて勉強に取り組んでいる人をフォローしていきました。
行政書士試験では幅広い年齢層、かつ様々な環境下で勉強に取り組んでいる人が多くいます。そういった人たちの発信を見て交流していくことでかなり多くの刺激をもらえたり、モチベーションを維持することができました。
仕事が忙しくて心が折れそうなときに他にもそういう人たちがいて頑張っている姿勢を見せてもらえることはとても心強い気持ちにさせてくれます。
また、疑問等が発生したときは自ら発信することにより誰かしらコメントをしてくれたりするので参考になる意見を聞くこともできました。

スケジュール管理

やっておけばよかったことにも記載させていただきましたが、私は途中からスケジュール管理をするようになりました。
行政書士試験は相対評価ではなく、絶対評価なので周囲の受験生との闘いではなく、自分との闘いになるかと思っています。
また膨大な量をインプットしていかなければならないので特に最初のうちは1日で勉強できる量に終わりが全く見えてきません。
なのでスケジュール管理をして毎日やるべきことを事前にきめておく、ということはとても重要なことになるのではないかと思います。
具体的には私は1か月ごと/1週間ごと/1日ごとに終わらせなければならないことをノートで管理していました。
1日ごとの目標が終わらなければ1週間の中で調整する。逆に1日ごとの目標が終われば趣味等に時間を費やして問題ないと思っています。
実際に私は読書をしたりお酒を飲むことが好きで目標達成できたあとの時間は好きに時間を使っていました。
1年程度の勉強期間の中である程度は我慢したとしてもすべてを犠牲にしていては逆に良くない結果を生むのではないかと思います。
勉強を継続して頑張っていくために自分の好きなことをできる時間を意図的に設けることも重要だと思います。

マーク式鉛筆の購入

模試を解いてみてシャープペンシルだと塗りつぶしに時間がかかり、かつ塗りつぶしにくいと思っていました。
やはり本試験では鉛筆を使ったほうがよいと思い、ロフトに行ったところマーク式鉛筆というものを発見しました。
たまたま見つけて購入したのですがこれでマーク式の解答の塗りつぶしに少しだけ時間を要さなくなり、とても楽になりました。
絶対ではないですが、ちりつもなので解答時間がぎりぎりの方や少しでもストレスフリーを目指している方には有効的な手段になるかと思います。

いただいた質問への回答

ここでは、いただいた質問について回答していきたいと思います。
質問をいただき次第、随時アップデートしていきます。

令和5年度 行政書士試験受験で憲法をどのように乗り切ったのか

令和5年度 行政書士試験においては憲法が難化したと言われています。
その中で私自身が憲法と解くにあたり、どのように乗り切ったのかという質問をいただきました。

結果は別として、私自身良くも悪くも本試験の中で憲法が難化していること自体に気づいていませんでした。
市販模試をたくさんこなしていく中で特に基礎法学・憲法・会社法、一般知識については初見の問題が必ずあり、現場思考で解く必要があると認識していたからではないかと思っています。
本試験では問題の文章が長く、見たことがない判例についてとまどいはありましたが、今までの勉強の中で培ってきた知識でいくつかの選択肢をきることはできると思っていましたし、実際にそれは可能でした。
その中で”おそらくこの肢じゃないかな”ということで解答したものもあります。
また、少し楽観的になっていた部分もあるかとは思いますが、
”憲法5問落としても問題の大部分を占める民法と行政法ができれば問題ない”
”全体で6割とれれば合格できる”
”自分が知らない判例は他の受験生も知らないのでは?”
と言い聞かせていたこともあり、特に焦りを感じはしませんでした。

ただ、実際に本試験を終えてみて憲法難化により、最初にメンタルをやられてしまったという声も上がっていたので、そうなってしまうリスクがある方は得意な分野から解答する等の対策を講じられることをおすすめします。
また、本試験で難しい問題と思っても培ってきた知識で選択肢を絞れる問題は必ず存在します。心を落ち着かせて問題文をよく読み、培ってきた知識と紐づけながらよく考えてみることおすすめします。

1日何時間程度勉強していたのか

まず、時間については計測しながら勉強に取り組んでいたわけではないため、凡その時間となることをご了承ください。

私の場合、スケジュール管理を始める前と後で異なります。
【スケジュール管理前】
平日:3~4時間
土日:6~7時間
【スケジュール管理後】
平日:2~3時間
土日:4~5時間

私が勉強を始めたのが丁度2月頃からだったため、2月1日から勉強を開始したとして、ざっくり計算してみます。
2月頭から本試験まで41週ありました。
スケジュール管理を始めたのが6月頃からなので、最初の17週がスケジュール管理前、後の24週がスケジュール管理後ということになります。
【スケジュール管理前】
平日:3.5時間×5日×17週=297.5時間
休日:6.5時間×2日×17週=221時間
【スケジュール管理後】
平日:2.5時間×5日×24週=300時間
休日:4.5時間×2日×24週=216時間

全部足すと1034.5時間となりました。

勉強において時間は特に意識していませんでしたが、世間一般に行政書士試験合格のために必要な時間とされている1000時間を達成していました。

おわりに

行政書士試験は法律入門資格と言われていますが、生半可な気持ちでの合格は難しい試験だと思います。
私自身も色々な気持ちを抱きながら勉強に取り組み、苦しいこともたくさんありましたが頑張ったからこそ得られるものは大きいと思っています。
自分が頑張ってきたことの振り返りのため、そしてこれから行政書士試験に挑戦される方に少しでも役に立てれば嬉しいです。
なにか質問や意見があればぜひXでご連絡いただければと思います。

また、このnoteはXで交流したある方におすすめされて書いてみました。
まだまだ行政書士試験を振り返りながら書き漏れたいたこと等も出てくるかと思うので随時アップデートできればと思っております。

長いnoteとなりましたが、ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。



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