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プロフェッショナルとは

ちょっと前にとある人に質問と相談を受けたのですが、その時に思い出したことがありました。私がまだAPGという組織を立ち上げプロ志望の選手へ講習などを提供していた時や数年前のブログで記事にしたこともあった内容なのですが、再度健忘の意味も含めてここにも残しておくことにしました。

※先に言っておきますが超個人的な見解です。

20年近く前の話ですからもう昔話となりますが。。。
自分が選手としてやっていくには厳しくなってきた頃の話です。
「若手の育成・プロゴルファーの育成」を掲げ【APG】という小さな団体を立ち上げて学生や研修生などを中心に「プロゴルファー」としてこれから活躍を望む選手に研修の場や実習の場を提供していました。
もちろん一緒に私もいろいろと学んでいました。
※APG=アスリートプロフェッショナルゴルファーズの略称でした。
「APG」では、ゴルフの技術だけでなく、「各データ収集」「食事・栄養」「トレーニング」「メンテナンス・リハビリ」「自己マネジメント」「自己プロデュース」などプロゴルファーとして必要なことを学んだり実践する為に各分野の専門家指導の元に勉強していました。
食事は栄養士さん。トレーニングはトレーナー。マネジメントは自己啓発やマネージメント会社の社長さん。など。毎回テーマを決めてそのテーマごとに専門家の方に来ていただいていました。そのテーマの中で多い疑問や質問や相談の中に「スポンサーを探しているのですがなかなか見つからない」「スポンサーとの接し方がわからない」というのがありました。
もちろんそういった声には答えたい。そしてプロとしてやっていくには必要な部分だと考えていました。
今の選手にも同じような疑問を持っている選手も多くいるはずで、今でも相談を受けたり意見を聞かれたりします。
ゴルフだけでなくファン離れやスポンサー離れを実感しているスポーツもあります。
残念なことに日本では「お金の話をする事ははしたない事だ!」という風潮が今でも根強くありますので、こういった話は「触らぬ神に祟りなし」かのごとく棚に上げられてしまう傾向でもあります。
その為APGでは選手とスポンサーとのクッション役なども行っていました。
腹を割ってやっていた仲間なので遠慮なく疑問をぶつけてくる選手が多くいたとおもいます。
ただ、そういった質問をしてくる選手は勘違いして考えてる選手が多いのです。

色々と話を聞いていると感じるのが「スポンサーはお小遣い(生活費)をくれる都合いいもの」的な考え方をしている選手が多い。。。
※当事者ははっきりとは言いませんが。
スポンサーというのは主に「広告主」ということです。
スポンサードを受けるということは、そのスポンサーの「広告塔」としての役割が義務となります。スポンサーから出された金額以上の広告効果(費用対効果)を出すのが当たり前であり義務です。
もちろんそのスポンサーにより「期待している効果」は違いますが最低限の効果を出し期待に応える必要があります。でも残念なことに話を聞いた選手達はスポンサードしてもらう金額以下の露出だったり広告効果だったりしてほとんど期待に応えることができないのです。
最低限の行動であるはずの「効果を出すための努力」ですらほとんどされないのが現実です。
こういう話をすると必ず返ってくる言葉が
「選手の役割は力をつけて成績を出す事で、成績を出せば文句ないでしょ。私たちは芸能人・タレントじゃないんですよ!」
という答え。
中には「半ギレ」する選手もいたりしました。

スポンサードを受けた選手がトレーニングして練習して結果を出すのは当たり前の作業です。会社員が会社に行くのと同じ。私がペンキを塗ってお金を貰うのと同じ。やらなければならない最低限の行動です。
選手が自分のやるスポーツを仕事にして経済効果のあるものにするには一人でも多くの人に見てもらう事が必要となります。
物作りだってそうですし飲食だってそうです。
どんなにいいものを作っても、誰も買ってくれなきゃ、売れなきゃ仕事にならないしお金は貰えない。
スポンサーが5万円スポンサードしてくれたら5万円の効果を出したりスポンサーが5万円分を凌駕するほど納得できる行動を見せないとダメなんです。

選手がスポンサーにお金貰ってやるべき事「競技力を向上させてさらに多くの人にPRすること」は当然なことです。
間違っても「少しいい部屋住んで」「少しいい車乗って」「いい服着て」「オシャレして」「美味しいもの食べる」為ということではないのです。
どんなスポーツでもスポンサー離れしてるとしたら理由の一つはそこにあるんじゃないかと。。。
私は今「二足のワラジスト」ということで一般的な仕事もしていますし、少しだけ経営者サイド寄りですからスポンサーする側の立場も理解できる立場であったりします。
するとより見えてくる部分があるんですよね。
スポンサーは別に選手にいい暮らしさせるためにお金を払ってスポンサーしているわけじゃないんです。
もちろんその選手に活躍してもらいたいし頑張った結果良い暮らししてもらいたいというのが第一なのですが、それと同時に何らかの広告(費用対効果)を打ちたくて期待して資金を捻出しているわけです。
ほとんどの場合、たとえ1万円でも5万円でも期待と応援を込めています。

それなのに選手はメディアに取り上げられることもほとんどなく、期待分を補うための最低限の活動やをするわけでもないし、行動を起こすわけでもない(最近ではSNSやブログなど個人的に情報を発信するツールも揃っていますし)
ましてやひどい場合だとスポンサーしてもらいっぱなしだったりします(お金貰ったらもらいっぱなしってこと)
スポンサーしてもらったお金でより楽しく生活してより美味しいものを食べてるだけじゃ「お金出した意味無かったな。。」「広告効果無かったな。。」と思われて当然ですよね。僕もスポンサーする側だったらそう思います。
と言っても、「何言っているんですか!こんな関係でやっていても喜んでスポンサーしてくれますよ!」っていう選手もいますね。
でもそれって本当に「スポンサー」ですか?スポンサーじゃないんじゃないですかね。
それって援助じゃないですか?親戚にお小遣いやお年玉もらってるのと同じですよね。
「練習頑張ります!優勝しますから(結果出しますから)スポンサーお願いします!」じゃないと思います。
スポンサーする側の気持ちはそこではないんです。
スポンサーの気持ちと選手の行動のギャップが生じてるんです。
「この選手にお金を出してでも我が社の名前を背負ってやって欲しい!」と思われるのが本当だと思います。

プロの役目って色々とあると思いますが、その中の一つには、その業界を「発展」させる為に「貢献」するのが役割というか義務の一つだということがあると思います。
一人でも多くのファンを集めファンを増やし、競技人口の増加にも尽力すること。次の世代の選手育成に協力・尽力すること。これは重要な役割だと思います。誰がとは言いませんが、「成績出せばいいだろ」「成績で魅了するからいいだろ」と、自分の成績や記録だけを考えるのって本当にプロなんですかね?ゴルフで言えばメジャーを勝つような圧倒的な凄さを見せられる選手ならその言い分は理解できます。現状の国内での状況を見ると「成績」や「ショット」だけで役割を全うできる選手はほとんど存在しないのではないでしょうかね。ゴルフを知らない位の存在のアマチュアが「あの選手のクラブを買いたい」「あの選手を生で見たい」と思うくらいのインパクトが必要だと思います。現時点ではいないと。。。残念ですが。

歌手のライブでも、演劇の舞台でも、演者がチケットを手売りするのが当たり前、だってそれでお客様を集めてお金を得てるんですからね。。。またそれで自分の存在を知ってもらい今後につなげていくことになるんですから。。。スポンサーの話とはちょっと違ってきちゃいますが、その選手がもらうお金はどうやって集められてどうやって収入になっていくのか。そんな基本的なことが理解できていない選手が増えて自分の生活や状況のみを考えすぎてしまい、世の中の流れとかけ離れた考え方が当たり前になりすぎたことでスポンサーする魅力もメリットも感じられなくなりスポンサー離れやファン離れにつながっているのかもしれませんよね。

試合などに付くスポンサーも個人的に付くスポンサーも本質は一緒です。それぞれが「得」をどうやって作るか?重ねるか?を考えています。その中で「選手とスポンサー」「選手とファン」がギブアンドテイクのバランスが取れるかということを理解して関係する人が「PDCA(プラン-ドゥ-チェック-アクション」を繰り返し行わなければこの業界はこのまま右肩下がりの状態が続き破綻することになるかもしれませんね。
今一度、スポンサーとは何なのか?スポーツの興行とは何なのか?成り立ちは?行く末は?など徹底して考えないと団体ごと手遅れになるかもしれません(もしかしたら手遅れかも。。。?)
歴史やしがらみなど取っ払えない力も多くあるとは思いますが転換期に来ていることは間違いないですよね。
日本には「本音と建て前」という良い意味での風習というか習わしがあり、これは日本人としての良い考え方の一つだと思います。が、どこからか「本音と建て前だからイイじゃないか」と開き直り悪い解釈で裏表を作って本来進むべきところとは違ったところへ進んでいることもあると思います。
当事者であるプロゴルファーひとりひとりが変わらないといけないのはもちろんですが、組織をまとめる役割の人がそれ以上に変わり変えないと「一回ぶっ壊れちゃう」しか道がなくなってしまうと思いますが。。。
何より、「ファンが何を求めてるのか?」を第一にして道筋にすれば簡単にわかることだと思います。


長々と勝手なことを書きました。
本当に勝手で超個人的な意見であり見解です。

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