大切なのは正解することじゃなく、考えること。
こんにちは。写真家のMiNORU OBARAです。本日は、おすすめスピーチシリーズです。今回見つけたのは、天文学者のNeil deGrasse Tyson(ニール・ドグラース・タイソン)さんが マサチューセッツ州 Western New England University(ウェスタンニューイングランド大学)の卒業式で行ったスピーチです。
Neilさん、卒業スピーチの本番中に自分の名言をTwitterにツイートしてしまうぐらい、お茶目な人のようです。
このスピーチのテーマは「答えはひとつじゃない。大切なのは正解することではなく、考えること。」
まずは、そのスピーチ映像を。英語が苦手な方は、字幕をつけてご覧ください。彼のスピーチは2:30あたりから始まります。さらに本題に突入するのは、5:00あたりからです。
ほとんどの人は、物事についてしっかり考えていない。
Neilさんはスピーチの冒頭で、「この世の中には、どれほどの曖昧な考え(fuzzy thinking)があるのか。」を心配しています。「人々は物事について、自分でしっかり考えない。(People just not thinking straight)」と述べています。
彼は、4歳下の妹との思い出を例にとります。
ある日彼は妹にこう問いかけたと言います。
「今日のお昼ご飯、どこで食べたい?」
その時Neilさんはお金に少しの余裕があったそうで、妹の食べたいものならどこの店へでも連れて行きたかったのでしょう。
けれど、妹はこう答えました。
「お店の候補を挙げてくれない?」
このとき彼女は自分の意見を考え出すことができなかった、とNeilさんは言います。
その原因として彼は、選択問題だらけの教育を挙げます。それは「すでに用意された選択肢の中から正解を選ぶ」という教育です。
色々な人に同じような質問をしてみても、同様だったそうです。
「人々は、創造的考えをするのではなく、選択肢を求めている。(People wants choices. It's hard to just think originally.)」
なぜなら、社会の中で人々は、正しい解答を答えることにだけ必死になっているから、と彼は言います。
正解以外は全て不正解という間違った風潮
Neilさんはスピーチで、正解以外は全て不正解とひと括りにしてしまう社会の風潮について嘆いています。
例えば、「CAT (猫)」のスペルを答えなければならないスペリングコンテストで。
一人目は " C A T " と答え、正解。
二人目は " K A T " と答え、不正解。
そして、三人目は " X Q W " と答え、不正解。
これ、同じ不正解でも " K A T " と " X Q W " では大違い。むしろ " K A T " はほぼ正解に近い。にも関わらず、" K A T " も " X Q W " も同じ不正解として括られてしまう。と、Neilさんは言います。
私たちは、正解以外は全て不正解であるというシステムを作ってしまったのだ、と。世の中には、正解よりも正解に近い不正解が存在するにも関わらず。
私たちは、答えを導き出すプロセスにではなく、答えにのみ価値を見出してしまうのです。
Neilさんは、さらに例を挙げます。それは、ある面接で同じ質問をされた二人の求職者の話。
「このビルのてっぺんまでの高さは何フィートですか?」
という問いに対し、
一人目は、こう答えます。
「155フィートです。なぜなら私は建築を専攻していたので、このビルの高さを暗記しています。」
正解までたったの数秒でした。
それに対し二人目の求職者は、こう答えます。
「わかりません。少しお時間をください。」
そして、二人目の求職者は、ビルの外へ出て行き、しばらくして戻ってきます。
そしてこう答えます。
「およそ150フィートです。」
彼の理由はこうです。
「このビルの影の長さと、私の影の長さとの割合を比較すると、このビルの高さは、およそ150フィートです。」
さて、面接官は、どちらを雇いたいと思うでしょうか。
Neilさんは、「二人目を雇うのは確実だ。」と言います。
たとえ答えを導き出すのに時間がかかっても、答えが正確でなくても、二人目の求職者は、自分の頭を使って自由に考える方法を知っているからです。
”どう考えるか” を知った時、私たちはもっと先に進める。
そして、Neilさんは、こう言い切りました。
「 ”どう考えればよいか ( how to think ) ” を知った人は、”何を考えればよいか ( what to think ) ” を知っている人よりも遥かに先に進める。」
そして、彼はスピーチをこう締めくくります。
「もし誰かがあなたに ” 選択肢 ” を与えたとき、あなたはこう言ってください。” 私に選択肢を与えないでください。私自身に考えさせてください” と。新しいことを考えることほど苦しいことはありません。古い考えは我々に安らぎを与えてくれるからです。でも、私は、ここにいる皆さんが、不便で苦しい生活を送ることを期待しています。」
いかがですか、なかなかの激アツスピーチでしょう?
写真でもね、毎日毎日撮っていると体が勝手に動いてしまう。そして何も考えなくなってしまいます。それは、写真を撮るということが体の一部になったからでもありますが、それでも慣れ親しんだ楽な道に進んでしまっているのかもしれません。さらに先に進むためには、いままでを壊してしまう勇気を持つこともとても大切なのかもしれないですね。
本日も最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。
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