鎌倉 銭洗弁天近くの屋根の上の話 ショートショート
鎌倉の街の片隅を縄張りにしている野良猫のミケ
今日も銭洗弁天近くの喫茶店の屋根の上で、笑顔溢れるたくさんのお客さんたちを眺めていた。
この喫茶店は『金運向上!錦糸卵の開運ナポリタン』というメニューが大人気で、銭洗弁天に参拝したお客さんたちが当たり前のコースかの様に次々と訪れる。
ミケは、その光景を楽しげに眺めている。
「また、あのおばあちゃんが来たにゃ。
いつもと同じ席に座って、開運ナポリタンを食べてるにゃ。
ここでさらに運気を倍増させるつもりなんだにゃ
何だか嬉しそうに食べてる」
ミケは、お客さんたちが喜んで開運ナポリタンを食べる姿に微笑む。
「あのカップルもまた来たにゃ!
きっと銭洗弁天に参拝して来たんだろうにゃ…
これから一緒に頑張っていくんだろうにゃ
二人で開運ナポリタンを食べて、運気を共有するのもいいもんだにゃ。」
ふと、ミケの目の前に小さな子供が現れる
子供は、母親に連れられ、目を輝かせて開運ナポリタンを食べていた
「あの子も、大好きなお母さんと一緒にお金持ちになって、これからの人生を楽しみたいんだろうにゃ。
美味しいナポリタンを食べることで、家族の絆も深まるんだにゃ。」
夕暮れ時、喫茶店は閉店の時間が近づいていた。ミケは、最後のお客さんが店を出るのを見届けて、ひとり呟く…
「この喫茶店のナポリタンは、人々の願いを叶える不思議な力が…
まるで魔法みたいな力があるみたいだにゃ…
お客さんたちが皆んな笑顔で帰っていくんだもん
そんな幸せそうな姿を見るのは、僕もなんだか幸せだにゃ。」
そして、ミケは夜の街を歩きながら、今日もあの喫茶店の屋根の上で過ごした一日を思い返す…。
明日もきっと、開運ナポリタンを食べて、ほんの少しでもポジティブになる人がいて、幸せな笑顔がたくさん生まれるのだろにやぁ…。