2022/2/27「1日1冊読めるかな」4C読書チャレンジ662日目❣️

「読書の歴史ーあるいは読者の歴史ー〈新装版〉
アルベルト・マングェル　原田範行訳　柏書房　2013年1月新装版第1刷発行

❷[3POINT]
①最後のページ
かくして私は今、一読者としての私の自分史から読書という行為の歴史に進みたいと思う。より正確に言うならば、「私の」読書の歴史ということになろうか。というのも、特定の直感や極めて個人的な環境の中で生みだされるこのような歴史というものは、どんなに個性を排除しようとしても、結局は多くのものの一つということになるからである。突き詰めて言えば、「決定版」読書の歴史とは、おそらく本を読む者それぞれの歴史ということになるであろう。読書のきっかけさえ、実はかなり偶然によるものなのだ。

②『読書の歴史』新版に寄せて
Power Bookの広告が「思考よりも速い」とうたっているように、電子テクノロジーは表面的であり、私たち自身の記憶や理解を解さずに、無限量のデータにアクセスすることを可能にします。従来の読書はゆっくりで深く、私的であり、考えることを要求します。電子技術は、情報検索や会話、通信には非常に効率のいいものであることは間違いありません。しかし、一点の文学作品をじっくり読むという、それ特有の時間と空間が必要な行為においてはそうではありません。これら二つの《読む》とことの間に敵対関係はありません。なぜなら二つは異なる領域の行為だからです。理想では、コンピュータと本は、私たちの書斎の机の上に隣り合わせに並ぶべきなのでしょう。

③訳者あとがき
伝えたいことを「共通の約束」に従って伝えるという行為は、当然のことながら、発信者と受信者が存在することで成り立つ。文学作品を例にとるならば、作者と読者の関係であろう。この関係は、決して一方的なものではなく実は双方向的である。読者が生まれるのは、確かに作者が作品を執筆することによる。だが逆に、明確に意識するかしないかは別として、読者の存在があるからこそ、作者が作品を創造するとも言える。
伝えるべき情報をめぐる発信者と受信者のこうした双方向的関係は、本書に述べられている通り、おそらくは文字を書くことが発明されたまさにその瞬間から既に介在していたと思われる。文字を記した最初の人物は、明らかにその読者を想定していたのである。

❸[1ACTION]
［衝撃を受けたこと］
「決定版」読書の歴史とは、おそらく本を読む者それぞれの歴史ということになる
［実行すること＝自分との約束］
この本を、ゆっくりじっくり読む。
［思いついたこと］
4C速読法には、適さない本があります。本書もその一つです。
［そして…］
それをあえて取り上げたのは、こんな読み方もあるよ、という一つの例として提示するためです。4C速読の第一歩は、「本を選ぶこと」から始まります。このように後日じっくり読もうと思う本を「静かな老後のために残しておく本」と、勝手に名付けています。そして、本棚に納め毎日その背表紙を眺め、いつか読める日が来ることを祈っているのです。

❹[1episode]
読書行為それ自体と同じく、読書の歴史はまず初めに現代、つまり私のところ、一読者としての私の経験に触れ、そこから遠い遠い見知らぬ昔へ飛んでいく。それは、章分けを越えてあちこちを逍遥し、あるものを選び出したり、あるいは再読したりといった具合に通常の時間的順序には従わない。読書と元気さとは対極にあるものとする私の母の心配、私を椅子と書物から外界へと追い立たせたあの恐れは、逆に、次のような厳粛なる真実を認めざるをえまい。これはトルコの小説家オーハン・パムークが『白い城』に書いていることだが、
「人生とは一回限りの馬車に乗るようなもので、終わってしまえば二度と再び乗ることはできない。しかしもし、あなたが書物を手にするならば、それがいかに複雑で難解なものであろうとも、それを読み終えた時、望むとあらば、最初に戻ったりもう一度読み直したりして、その難解だったところを理解し、それによって人生も同じく理解できるのだ。」

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