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「本を語る」100日100冊チャレンジ 第35日


❶[1BOOK]
「官邸から見た原発事故の真実」これから始まる真の危機
田坂広志 光文社新書558  2012年1月20日

❷[3POINT]
①「はじめに」
福島原発事故は、極めて深刻な事故であり、大きな危機をもたらしました。しかし、本当の危機はこれから始まります。そのことを知って頂きたいと思い、このインタビューをお受けしました。本書は、その内容をまとめたものです。

②政府が答えるべき「国民の7つの疑問」
1)原子力発電所の安全性への疑問
2)使用済み燃料の長期保険への疑問
3)放射性廃棄物の最終処分への疑問
4)核燃料サイクルの実現性への疑問
5)環境中放射能の長期的影響への疑問
6)社会心理的な影響への疑問
7)原子力発電のコストへの疑問

③新たなエネルギー社会と参加型民主主義
☆田坂さんの考える「脱原発依存」のビジョンとは、どのようなものでしょうか?
正確には「計画的・段階的に脱原発依存を進め、将来的には、原発に依存しない社会を目指す」というビジョンです。
しかし、「脱原発依存」というのは、「将来のビジョン」ではありません。それは「目の前の現実」なのです。
端的に申し上げれば、「原発に依存しない社会を目指す」というビジョンの可否以前に、このままでは「原発に依存できない社会」が到来するのです。

❸[1ACTION]
[実行すること=自分との約束]
「原発に依存しない社会」に対して自分ができることは何かを考える。

[思いついたこと]
私は以前、某電力会社のコールセンターの仕事をしたことがあります。それはまだ、原発事故の前でしたが、各地の原発が定期点検のために、一斉に操業停止したのです。そのため、電力会社が節電の呼びかけをし、それに対するお問い合わせ対応の仕事でした。予想入電件数以上の人員が用意されたので、ほとんどが待機状態。しかし、インターネットは使用禁止。唯一閲覧可能だったHPが、電力会社のものだったのです。

[そして]
概ね、原発は必要なものだというコンセプトでしたが、日本のどこに原発があるか、など、普通の生活では思い当たらないところまで、調べることができました。ついでに、電気料金の仕組みも知りました。現在、東京電力管内では、電気代の高騰に庶民は苦しんでおり、処理水放出問題で、風評被害が起きています。著者が懸念した、「真の危機」の一つだと思います。そのため、ずっと以前に購入していたこの本を、あえて今、読み直してみたのです。そして、「原発に依存できない社会」を実感しています。

❹[1episode]
☆5か月と5日の官邸で見た「現実」
「我々は、運が良かった」
実際、それが真実なのです。確かに、原発事故という「最悪の事故」は起こった。しかし、幸運なことに、それが「最悪の最悪の事態」にまで行き着くことなく、収束に向かうことができた。
現実は、それほど易しい状況ではない。
なぜなら、「真の危機」は、これから始めるからです。
3月11日の原発事故は、原子力発電や核燃料サイクルという技術体系が宿命的に背負っている諸問題を、次々と、我々に突き付けてきます。
だから、このインタビューにおいて、私は、こう申し上げたのです。
我々は、「原子力のパンドラの箱」を開けてしまった。
しかし、あの9月2日、晴れた空の下、官邸の駐車場で、開いてしまった「パンドラの箱」に思いを馳せたとき、ふと、この「パンドラの箱」の物語の、最後の場面を思い出しました。
「パンドラの箱」が開き、さまざまな悪しきこと、不幸なことが現れてくる。
しかし、その最後に、箱に残ったものが、ある。
それは、「希望」。
おそらく、この「原子力のパンドラの箱」にも、最後に、その「希望」が残っているのでしょう。
しかし、その「希望」とは、ただ「未来への素朴な楽観」ではない。
我々が、もし本当に「未来への希望」を抱きたいと願うならば、その前に、我々が、やるべきことがある。
「過去への深い反省」
そのことを行なったとき、そこに「希望」が生まれてくるのでしょう。


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