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揺れる死体症候群

偽りで飾り付けた 薄っぺらの人間でした 

遠くでみていた 蜃気楼の国の時空警察隊が

取り締まりに来るそうなので どうにかして逃げましょう

愛とは結局偽りの戯言であって 新鮮な魚介類のようです

触ると滑って逃げてしまいます

逃避行の果てには 何があるんでしょうか?

報われる事はあるのでしょうか?

心中とは果たして成功した試しはあるのでしょうか?

あなたの首を絞めてその瞳に映る自分を見たとき

そんな究極な行為による愛を見いだせるでしょうか?

私は未明に降り始めた雨に任せて 

あなたの残り香とともに海に沈むでしょう

沈んだ先では泡色の海月たちが私を刺すでしょう

いいのです 痛みの中で私は知るのです

その行為自体が莫迦げていたことを

真珠色の水しぶきに 打ち上げられ腐敗した私は

きっとこの世の何よりも醜い事でしょう

死んでから偽ることは愚行なのですから

緋色の唇は色を持つことを許されず あなたの生前愛した

鏡台の上で見つけた 陶器の入れ物に入った紅をさし

遺影とします

愛せなかったのではなく 愛しすぎたのでしょうか?

鬱陶しい私の気まぐれは きっとあなたを胡散臭い

三月の終末処理場にも似た感情でもって

制裁したかったのでしょう?

ただ手を引いていてほしかった

ただそれだけのことです

夏が始まってしまう前に茜色の海で再び会いましょう

朽ち果てても そこで待っていますから

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