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私がこどもだった頃

私がこどもだった頃、まだ100円ショップなんてなかった。
私がこどもだった頃、お絵かきをするのは、ちらしの裏側だった。
私がこどもだった頃、テレビゲームなんて家にはなくて、色々なものを作って遊んでた。
私がこどもだった頃、友達のお母さんの作ったおやつがうれしくて、自分のお母さんも作ってくれればいいのにって渇望してた。

私がこどもだった頃、世界はもっときらめきであふれていて、すべての物事に魔法がみえた。

使い捨ての時代の今、小さくなるまで削って使った色鉛筆なんてもう存在しない。
使い捨ての時代の今、白い紙の裏側は空白のまま捨てられていく。
使い捨ての時代の今、道行く人は一人一台の画面の虜、移り行く景色も画面を通しての思い出。
使い捨ての時代の今、お母さんになった私は、カラフルな安いお菓子を子供たちに買い与え、自分もつまんでみては、うえっ、まずいって悪態をつく。

使い捨ての時代の今、人間は生身の人どうしの繋がりを失いつつあり、見えない監獄に囚われたエイリアンのよう。

あなたたちが大人になったら、そこにはどんな未来が待っているの?
物質の存在する意味はあるの?
人間の存在は、価値のない巨大なゴキブリのようなもの。
あたたかい大地と水のめぐみをここまで卑怯に滅ぼして、自らをも終末に導いている。
必要なものを必要なだけなんて、そこには存在しなくて、欲しいものを欲しいだけになっている。
ただの数字の配列が、私たちにとって一番大切なものであり、それに縛られてのみ生きている空しさよ。

空が飛ぼうと呼んでいる。

必要なものは虚構でしかなかった。

さようなら、未来のない小さな私たち。

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