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蜂の巣シンドローム

恋をしたら死にたくなった

明日帰る場所のことを考えると 

ちょっとだけ刺激がほしかった

私は機械じゃないからそれはできないのに

機械人間たちはこぞって私を打ちのめす

鉛色の心に吐き気のするほど青い空

涙を流したくないのに 

コントロール不可能な私の涙腺 

苦しみは切ない迷路

本当はすべて捨てて逃げ出したい

逃げたら本当に自由になれる?

理性をコントロールして私は泳ぐ

完璧主義者の棘のプール

血が出てもお構いなし

ねえ、言ったでしょ傷付いているのは私じゃなくて

あなたの魂 かわいそうな人

私が泣いたとしても 私は飛べるから 心までは奪われない

ずたずたになったあなたの魂は

蜂の巣のように穴だらけ

私一回でいいから見てみたい

人間の腐りきった魂

偽善者なんてクソくらえ

かわいそうな私気取りのお人形さん

さあさ、目が覚めぬうちにはちみつ垂らして

あっちに行っちまえ

死んでもあなたは私を傷つけたい

理不尽なペテン師 

よく寝たら私もまだ育つだろうか

もっと育ってあいつをぎゃふんと言わせたい

ミルク色のきめの整った肌に

真っ赤に色づく 魅惑的なくちびる

恋をしたら死にたくなった

恋をした人は もう既にこの世にはいなかった

死んだら私 あなたに会える?

一方的な十代特有の 蜃気楼のような恋

意地悪なこの世界は あなたも知っている世界?

ねえ 死を自分で選んだということは

揺るぎのない信念が あなたにもあったということ?

美しいあの人は 美しいまま逝ってしまった

醜い私は 醜態をさらしながら 寿命まで生きる

死に甘美なあこがれを持ち 泥の中で

花咲くことを夢に見ながら

蜂になったあなたに 蜜を吸われたいと

つぶやきながら 今日も押し入れの中

豆電球の明かりを頼りに 当てのない恋文したためる

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