小学校教員が忙しい理由を岡目八目的に考察してみる―日課編―

文科省が教員採用試験の倍率低下への対策としてツイッターとnoteを利用した「#教師のバトン プロジェクト」とやらを2020年3月26日にスタートさせた。

「教職の魅力を若い世代に伝える」というのが目的だったようだが、現場からの悲鳴や、プロジェクトへの批判で埋め尽くされ、炎上している。

ツイッターで見た感じ、現場からの悲鳴で特にに多いのは「労働時間の長さ、時間的な余裕のなさ」「残業代が出ない」「部活顧問の負担」ことだろう。

このうち「労働時間の長さ、時間的な余裕のなさ」に関連して、前々から疑問に思っていた「小学校の日課」について、少し調べてみることにした。

記憶の中の小学校の日課

私が小学生だったのは1970年台。通った学校では学校が始まるのは8時30分で6時間目が終わるのは15時ジャストだった。

帰りの会が10分程度で終われば、校区のかなりはずれのほうにある子でも15時30分には家に帰りつく。

教員の出勤時間帯も、8時半ギリギリに来る人も案外多かったと記憶する。


我が子の通った小学校では

さて、うちの子が数年前まで通っていた小学校に目を移すと、だいぶ様相が異なる模様。

8時10分までに登校するよう求められていた。早い!

我が家は小学校に近い通学路沿いにあるので、子どもたちの声で今も変わっていない模様とわかる。

6時間目の終了時刻は15時30分頃だったと記憶する。遅い!

帰りの会を経て学校から解放されるのは16時近くになる。

家が学校から遠い子だと帰宅時刻は16時半近くになってしまう。

 

小学校教員の就業時間内における「日課として子ども達と関わる時間帯」が長くなっている?

ずっと持っていた違和感であるが、「教員の就業時間内において日課として子供たちと関わる時間が長くなっている」可能性はないだろうか?

「日課として関わる時間」は

8:30~15:15の場合、6時間45分。

8:00~15:45の場合、7時間45分。

前後ちょっとずつズレることで1時間の差が発生している。

 

まあ、あくまでも可能性…ということで、データを拾ってみることにする。

 

こんなに差がある小学校の日課

朝の活動スタートから6時間授業、帰りの会込み終了までの時間を比較してみた。

A 8:00~15:50/7時間50分 愛媛県内公立小

B 8:10~15:55/7時間45分 宮崎県内公立小

C 8:15~16:00/7時間45分 鹿児島県内公立小

D 8:15~15:40/7時間25分 新潟県内公立小

E 8:30~15:30/7時間00分 埼玉県内公立小

F  8:30~15:10/6時間40分 東京都内私立大学付属小

G  8:05~15:00/6時間55分 神奈川県内公立小

H  8:10~14:45/6時間35分 北海道内公立小

I   8:20~14:45/6時間25分 栃木県内公立小

J   8:30~14:55/6時間25分 北海道内公立小

(バリエーションを拾う目的のため、特段学校名を出す必要もないので学校名は伏せておいたが、記録はしてある。興味がある方はググられたし。)

 

案外かなりバリエーションが豊富である。

学校による差はかなり大きい。

どれだけ仕事に慣れようと、日課のスタートから終了まで8時間近いとなれば破綻するのは明らかだ。

Aの日課の学校に配属されてしまった小学校教員には「定時退勤の工夫」の余地はない。

 

学校の日課はどこがきめている?

これだけ違いが許容されているとなれば、少なくとも日課については「文科省の締め付け」といったことはありえない

そして、なかなか興味深い資料も見つけた。

新潟県糸魚川市の教育要覧である。

これによると、市ぐるみで何かやる…とかいうことがあれば、それが日課に組み込まれるようではあるが、同一市内であっても学校ごとに日課(校時、時程)はかなり異なる

日課は管理職いかんといったところだろう。

 

まとめ 

少なくとも日課(時程)に関しては、学校の独自性はかなり許容されている。

独自性が認められているからこそ「児童のため」「地域の要望」等の理由で違いが出てくる。

デフォルトの日課が長くなりすぎているケースではまずこれを短縮化することが「子どもの自由時間」を増やし「教員の負荷」を下げることに繋がると考える次第。

日本は案外東西にも南北にも長い国であるから、スタートを同じ時刻にするのは日長からかんがえて非合理的であるので、ある程度地理的条件に合わせる必要はあるだろう。

 

 

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