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「フェルメール アート・オン・スクリーン」を観てきました。

美術館に絵を観に行くのは大好きなんですが、わたしはいつも、アーティストの生い立ちや時代背景とかを書いてる文章をすっ飛ばして、あえてなにも情報を入れずに絵を観るタイプです。

パッと観た印象で心に響いた絵を、好き!って思って眺める。そしていろんな想像をする。作者の思いとは全然違うものを受け取ったとしても、それはそれでいいんじゃないかなって思います。

メンタム(娘です)は全く逆で、最初から最後まで全部を丁寧に読んだり観たりする。
いちばん最初の文章でもう、涙ぐんでたりする。だから、メンタムと一緒に美術館に行くと、違う見方ができて、それはそれで有意義。(ものすごく疲れるけど)


こないだ、「笑いのカイブツ」を観に行った時に、予告編で気になった映画が何本かあったので、まず「フェルメール」を観てきました。
一回映画館に行くと、こんなふうに繋がって他のも観たくなるのはあるあるだよね。

この、「アート・オン・スクリーン」っていうのが全然わかってなかったから、フェルメールさんの生い立ちとか生き様とか、絵を描いてる姿とかが観られるんだと思ってた。

そしたら、美術館のフェルメール展を、丁寧な説明付きで大きなスクリーン観られますよ!って感じでした。

なので、途中まではなんとなくぼんやりと観てしまって、たまにウトウトしたりしちゃって、集中できなかったんですが、途中からすごくおもしろくなってきた。

フェルメールは絵を観る人にどこを見てほしいかを考えて描いてるとか。「レースを編む女」という作品は、そのレース糸をピンと張ってるところに焦点が合っていて、他の場所に置いてある糸なんて、とろけてるみたいにふにゃっと描いてる。

あの有名な「真珠の耳飾りの少女」は、ターバンでも耳飾りでもなく、少し開いた口元に焦点が合ってるんだって。そう言われて見たら、口元が瑞々しくて魅力的だよねー。

あと、「手紙を書く女」って絵が、ペンを持ったままこっちを見てるんだけどね、「手紙を書いてる途中で誰か(今この絵を観てる人)が来たからチラッと見て、いなくなったらまた書き始める」って説明があって。そう言われたらもうそうにしか見えなくて、じゃましてごめんね!続けて続けて!みたいな気持ちになる。

そのモデルになってる女性が、画家を見てるのではなくて、絵を鑑賞してる人を見てるって、新しい視点だった。フェルメールが、それを意識して描いてるってびっくりだった。

わたしがいちばん知りたかったのは「フェルメールブルー」って呼ばれる青のこと。この青を探して、希少鉱物のラピスラズリにたどり着いたって話を聞いていたから。
他の画家たちはこのラピスラズリを、聖母マリアやイエスキリスト、王族や貴族、そういう高貴な者にしか使わなかったらしい。それは特別な色ってことだし、とても高価だったから。
でも、フェルメールは、その特別な青を大量に使った。有名なターバンや、他の絵のドレスや、しかも、青に見えてる部分だけじゃなく、光を表現するために壁にも薄く塗ったりしてたらしい!なんか、ラピスラズリの大盤振る舞い!

それはフェルメールが資産家の家の出身だったからとか言ってたけど、もちろんお金がなくちゃできないことだけど、それだけじゃなく、描きたい絵が描きたかったんだろうなって思いました。自分が描きたいものには、このラピスラズリが絶対必要だったんだろうなって。


解説してくれてる方たちがみんな、本当にフェルメールの絵を愛しているのが伝わったのが素敵でした。好きなものを語るひとはすごくキラキラしてる。
難しい説明とか、理解できないこともあったけど、こんなに丁寧な説明を聴きながら絵を観るなんて絶対できないから、すごくよかった。観に行ってよかったな。


振り向いた少女が揺らしたのは
青いターバンと耳飾りだけじゃない

フェルメールのこと知りたかったもうひとつの理由の歌。

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