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ふたりの詩集。

なんのきっかけもなく、ふと思った。

お母さんと叔母さんがふたりで作ってた詩集、どこにしまってたっけ?って。


わたしの母は読書が好きだった。夏目漱石とか永井荷風、遠藤周作とか。
自分で文章を書くことはあまりしてなかったけど、「活字」にとても憧れがあって、家で初めてワープロを買ったときは、自分の名前や家族の名前を打ってはプリントして喜んでいた。

だから、叔母を誘って詩集を作り始めたのもきっと、詩を書きたいというよりも、自分で本を作りたかったんだと思う。

印刷会社で働いてたわたしは、なにかと駆り出され、ワープロを使うのを手伝ったり、校正をしたり、製本を手伝ったりした。わたしの記憶では、3冊くらい作ったかなーって感じだった。


で、ふと思い立って本棚を探したら、それはあっさりと見つかって、なんと7冊もあったのだ。色とりどりの表紙で飾られた、手作り感満載の本。

わたしが手伝わなくなってから、母がひとりで文字を打ったり印刷したり閉じたりしてたことを思って、なんだか胸がぎゅっとなった。


パラパラと読んでみる。

ちゃんと、前書きや後書きまで書いてある。

景色や花を詠んでるものが多くて、季節感がある。素敵。

だけど、致命的なミスがある。

どれが母の詩で、どれが叔母の詩か、書いてないよー!わかんないよーーー!


うーんと、でも、よく読んでみると、なんとなくわかってきた。叔母はとても控えめで優しい人だから、ふんわりした詩は叔母の作品だろうな。
母は物事をとってもはっきり言うひとだし、作る詩もなんだかパキッとしてる気がする。知らんけど。





平成十二年の1月の(たぶん)母の作品。


寒空にけなげに咲きし寒椿
   真紅きらめく夕映えの道


これから、1日ひとつずつ発表してみようかな。母も嬉しいかもしれないよね。

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