今見るとグッとくる昆虫写真 & 虫って偉いなぁ…… & またGの話
虫は基本的に一匹で生きている。外に出てみると、虫がウロウロしている。それが当たり前すぎて、特に何とも思っていなかった。
でもなんとなく撮った写真の中で、今見るとグッとくるものがある。
最初に手に入れたコンパクトデジタルカメラで撮った写真。ピントがあまり合っていないのが残念。けれどこの子(多分ハラビロカマキリのメス)のカマが1つちぎれているのはハッキリ分かる。
羽や脚のちぎれた虫はたくさんいるので、あまり何とも思ってこなかったのだけれど、1匹1匹に人生というか虫生があったのだなと考えると切なくなる。捕食者であるカマキリのカマがちぎれるなんて、一体何があったのだろう。他の虫にやられたのか、鳥か何かか……。そしてこの子はカマを失いつつも生きた。
私が写真に撮った虫のうち99%(もしかしたら全員)はもう亡くなっているんだろうけれど、たしかに生きていたのだ。
こちらは水玉模様の可愛い幼虫。今調べたらホシアシブトハバチの幼虫に似ていた。
体に白い粒が付いているのが気になる。寄生虫の卵だろうか。
多くの虫にはそれに寄生する虫がいるそうなので、この子も卵を産みつけられていたのかもしれない。
羽化に失敗したらしいナナホシテントウ。でも力強く歩き回っていた。
右の前脚がないセスジスズメ成虫。
頭や背中の毛並み(?)もはがれ落ちている。
この間、羽がボロボロのクロアゲハも見かけた。
器用に飛びながら花のミツを吸っていた。
羽化したときはツヤツヤ、フワフワだった成虫たちの体も、だんだんと傷ついていくのだろう。
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虫は大抵一匹で生きている。同種の虫がまわりにたくさんいたとしても、それは仲間というよりライバルなのかもしれない。
私は何かあるとすぐネットで検索して調べるし、人の意見を聞いて安心したり傷ついたりと一喜一憂する。良くも悪くも、他の人が作ったものや概念に常に触れている。
でも虫たちにはそれがない。ネットや本などの情報源もなく、愚痴を語り合ったり励まし合ったりする友達もいないのだ。
信じられるのは自分だけ。次の瞬間捕食者に襲われて死ぬかもしれない。なのになんであんなに堂々と、美しくいられるんだろう。
私には情報がいっぱいあるのに不安だ。どう生きていけばいいかよく分からない。虫たちには不安や悩み事はないのだろうか。
かえって「本能」という強力なナビを一匹一匹が持っているから、私が思うより彼女らは満たされた感覚で生きているのかもしれない。虫生の目的を果たせるかどうかは分からないけど、やるべきことは常に分かっていて、それに向かって突き進むような。
虫たちはやる必要がないことはしないのだろう。より適応力や判断力やしぶとさのある生き物が残っているのかもしれないけど……。
飛べない虫は飛ばない。泳げない虫は泳がない。時にいらない機能を退化されて効率よく生きる。余計なことで右往左往せず、「これ!」と決めた生態を貫く。カッコいいなぁ。
私は自分とは違うタイプの人間が発する色んな情報を得て、何が自分の道なのか分からず右往左往しているけど、虫たちは一番自分自身のことを理解しているのかもしれない。すると、悩んだり考えたりすることが高等なことなのかどうかも分からなくなってくる。ただ本能や自然から離れて、道に迷いやすくなっただけのような。
哺乳類や鳥類なんかは懐いたり遊んだりするから、人間に近そうな生き物に見えるけど、虫の生き方は自立の極みかもしれない。甘えて餌をもらったり、仲間から餌を分けてもらったり、社会のシステムに乗ったり、娯楽に没頭したりすることも基本的にはないのだろう(働かない働きアリとか、子育てする虫はいるらしいけど)。
虫たちは短い寿命の中で目的を果たそうとする。
なぜ種があるのか、種を残したいと思うのか、理由は分からないけれど、様々な生態の虫がいる。みんな己の生き様を残したいと思うのかもしれない。
虫はすごい。自分たちの手で、自分で食べるものをつかみ取って生きる。ご馳走を取るのも自分で。身を守るのも自分で。毎日が真剣勝負なのだ。
そう思うと、馬鹿にしたり、ある生き物を他の生き物から助けようとすることもできないかもしれない。食べる方も食べられる方も命懸けだ。今は心から尊敬するしかない。
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虫は基本的に自立している気がすると書いたけど、そういえば人の家に入ってくる虫もいるんだった。
でも家の中に入ってくる虫にも共感してしまう。
やっぱり、頭脳戦を仕掛けてくる寄生虫や、大きくて獰猛な捕食者が跋扈する外の世界は怖いよなぁ……。
以前、蜘蛛の巣から蜘蛛をもぎ取って食べるムシヒキアブを見かけた。自然界では巣を張ったところで絶対安全ではない。
以前家に脚のちぎれたクロゴキブリ成虫が出たんだけど、外に逃がしたら、脚を引きずりながらゆっくり歩いていった。哀愁漂う後ろ姿だった。
窓からクロゴキブリ成虫が入ってきたこともあった。そのゴキブリは寝室のカーテンに付いていた。
以前家にいたチャバネゴキブリを窓から逃がしたら飛んでいったことがあり、クロゴキブリも飛べるだろうと思ってベランダに落としたら、飛ばずに落ちてしまった。クロゴキブリは飛ぶのが苦手だったらしい。
(後から知ったことだけど、家に住み着くチャバネゴキブリは飛べない。飛べるのは森林性のモリチャバネゴキブリである。)
クロゴキブリが窓から入ってきたのだと知ったのは後のことだった。窓にちぎれた脚が残されていたのだ。
ゴキブリは仲間を呼ぶフェロモンを発するらしいので、それで寄ってきたのかもしれないけど……。脚が引きちぎれてまで家に入りたかったのかと思うと、何か切ないものがある。
あとずっと昔の話だけど、小学生の頃、体操着入れに付いていたゴキブリを発見したことがあった。
ゴキブリは震えていた……気がした。虫も怖がっていると思う。
それから以前、棚に置いてある使い捨て手袋の箱にクロゴキブリが何日か住み着いていたことがあった。
女の子っぽい名前を付けてしばらく様子を見ていたんだけど、今調べると女の子で合っていたかもしれない。クロゴキブリはメスがインドア派、オスが活発らしいのだ。
しばらく同じ場所にいたあの子はメスだったのかも。そのうち姿を消したけれど、卵とかは残されていなかった。
と、ゴキブリエピソードはこのくらいかな。
うちの庭にはモリチャバネゴキブリたちはいる気がするけど、森林性のゴキブリは家に入ってこない。
しかし、弱肉強食の虫の世界にも、安住の地を求めて彷徨う、気の弱い子がいるんだろうかと思うとちょっと親しみが沸く。
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アルファポリスで写真付きエッセイを更新しました。
野鳥達の写真や人工物の写真、過去のお気に入り写真、頑張ってメスに近づくハエトリグモのオスの様子など載せています。
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