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傷つけられてもなお愛するのが真理かも

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最近、世界の殺伐とした空気に疲れ切っている。

しかし私と一番長く一緒にいるのは私なのだから、もし私が癒し系人間であれば、疲れは半減されていたのではないか。

殺伐とした傷つくような世界観に触れたときも「大丈夫だよ」って言ってくれたりして。

言い換えれば私が私を、または世界を癒さないから、私は私に疲れたのだ。

どんなに嫌なことがあっても、それを上回るフォローや感動に触れれば人は癒される。映画など創作の世界でも基本的に、嫌な出来事が起こったあと救いがあるから心揺さぶられるのだ。現実でも、ひどいことが起こったときに人々がそれを助けようとする姿に心打たれる。

では辛いことは何か。納得いかないままにすること。されること。相手が害のあるものと決めつけ、切り捨てること。

実際、害だの迷惑だの言い出したらすべてのものに「価値がない」かもしれない。「◯◯に価値がない」「何が役に立つ?」論を極めていくと、「じゃああなたには価値があるのか?」という話になる。結局どこに、一体何に価値があるのだろう。自分に価値がないという事実を直視できなくて、誰かに価値がないことにするのかもしれない。

すべてのものにさほど価値を見いだせない。今を続けてでも守るべきものなのだろうか。本当はもっと自然な生き方があるんじゃないか。私は疲れ、生きとし生けるものがなんとなく嫌いになってしまった。

だからって命を奪いたくはない。生き物は生きたがるものなのだ。なんだかんだ言って生きていることが嬉しく、生きることが幸せとも呼べるほどの執念と愛着がある。どんな過酷な中で生きる生物も、絶滅するまで繁殖をやめない。生き物は、理不尽に命を奪われることをおそらく一番嫌うのだ。

戦時中に猛獣が殺された話がものすごくショックだった。なぜだろう。どうすれば納得できたのだろう。

虫に噛まれても刺されても虫のことを愛する人のエピソードを読んで心打たれた。

ああそうか、私が目指したかったのは……。

本当の信頼とはきっと、「相手が自分に害をもたらさないこと」「傷つけてこないこと」を信じるものではない。

「嫌われようと八つ裂きにされようと、私はあなたを愛している」
私はその境地にたどり着きたかったのだ。

自己犠牲じゃない。暴力を振るってくる相手を許して黙認しろという話でもない。そうじゃないのだ。私は誰かのために身を差し出したいとは思えないし、誰かが人のために身を差し出したいと言っているのを聞くのもひどく辛い。

なんだろう、人間に置き換えるとよく分からない……。
現時点で私が頭に思い浮かべているのは生き物のこと。

人間だって散々生き物を殺した。刺されたり噛まれたりすることも当然だろう。

ただ、生き物は人間に恨みがあるから刺してくるわけじゃなく、きっとそれ以前の世界の掟だ。生き物は他の生き物のことも残酷な方法で狩るし、弱ったものは食われる。動物は獲物を弄ぶこともあるそうだ。

殺伐としているのはどこも同じ。

……でも良いじゃないか。

世界への片思いだ。片思いを目指していこう。

正直自分が殺されたくはないし傷つきたくもない。でも私は本当は、「利益がある」とか「害がない」とか、そういう理由で生き物を愛でたくなかった。ただただ幼い頃のように、わけも分からず命の不思議さと美しさに感動していたかっただけなのだ。

今日大きなスズメバチがしばらく玄関をうろついていた。庭のまわりに小さなスズメバチは何種類かいるけれど、あの子は大きかった。

どうしよう、戦いたくはない。でも怖い。

そのまま待っていたらスズメバチは別の家の玄関へと飛び去った。何を探しているのだろう。また来るのだろうか。

数多の命を殺した傷を、私は隠そうとし、殺しを正当化した。でも傷は癒えなかった。さらに正当化の理屈を上乗せしていった人類の間では、人間に対する殺伐とした言葉まで平気で飛び交うようになった。

いや、最初はもっと殺伐としていて、これでもマシになったのだろうか。

私はスズメバチと戦うことになったらショックだ。でもハチへの対処法を持ち合わせていない。ハチが怖い。直接自分の手で殺したことはないけど、人に殺してもらったことはいっぱいある。

他にももっと、言えないような罪もたくさん。
墓場まで持って行く。罪滅ぼしもできないまま。

どうしよう。これからどうなれるだろう。

ものすごく勝手なことは分かっている、ただ私は殺してしまった生き物たちのことを、本当は愛したかった。食べてしまった動物のことも、名前を付けて、個性を見つけて、愛したかった。

正当化せずに。傷つく感情を自然のままに垂れ流して。
心壊れてやがて生まれ変わるまで。

本当に勝手だろう。許されないと思う。
それでも今日も祈っている。
人間だけじゃなくみんなの、世界平和を。

死んでいった命たち。ごめんね。
本当にごめんね。ありがとう。

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