光を見る前、いちばん深い"よる"に襲われる
あお、みどり、ぐんじょう…
薄い、薄い色を幾重にも重ねるようにして
壊れそうに繊細な"よる"は、仕上がった。
やがて
美しく深い闇は、街に影を落としていく。
しくしくと泣きたくなるようなよるも
あの人の声がききたくてヒザをかかえるよるも
わけもなく消えたくなるよるも
すべてはいっときの夢のような、あの深い闇のなか。
耳鳴りがきこえるほどの静寂のなか
不安やおそれ、見えないものへの畏敬の念が輪郭をあらわす。
それぞれの夜を
おしつぶされるような闇を
一晩のりこえたら
東に慈悲の光が昇る。
艶やかでやさしき光をたずさえて
今日という日をつれてくる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?