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mamicoach1031
2020年7月31日 01:31
「どうして、こんなところに醤油が? またおばあちゃんね」朝一番に洗濯機を回そうと扉を開けた川浦輝美子は、洗濯機の中に丁寧に立てられた醤油のボトルを手にとって深いため息をついた。この間は、食器乾燥機の中にお漬物のお皿が綺麗にラップをかけられて置かれていた。どうやら冷蔵庫と間違えたらしい。数えで89歳になる姑のここ最近の奇行に輝美子はイライラを募らせていた。確実に認知症が進んでいる。昔から思い通りにな
2020年7月31日 02:17
その日輝美子は親族の通夜に参列していた。そこには久しぶりに会う輝美子の従兄弟や叔父叔母達が集まっていた。通夜の儀式が終わるとみんなで酒を酌み交わし故人との別れを惜しんだ。もう若くはないからわれわれも健康には気をつけなければ・・・と誰かが言うと「みんな長生きをしなきゃね」と輝美子が続けた。その場にいた親族たちはみんな頷くと「まだ、早すぎたよね」と生前の故人に想いを馳せながら誰かが言う。一人の人生の