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遠回りして帰った日々[71/100]

長女が2歳半のときに、二女が生まれた。
半年取らせてもらった育休期間、仕事をしていたらできないことをしようと決めた。主に、子どもの要求をできるだけ聞く、ということだ。

まだコロナ前だったから、仕事は毎日出社が基本。職場まで1時間かかるため、時短勤務をしてもお迎えは毎日最後か、最後から2番目だった。

だから、育休のときは17時に迎えにいき、長女とゆっくり帰った。仕事をしていると「こっちの道から帰る!」と言い張る長女に、付き合っていられない。
でも、育休期間は、長女が「こっち!」と指示出すほうに進みながら、帰った。
最短の道でも自転車で10分の距離。長女の指示通り進んだ道で見つけたパン屋さんや豆腐屋さんに寄ったり、公園で遊んだり。寄り道に寄り道を重ねて、帰宅に1時間以上かかったこともあった。

お月様がついてくることを喜び、雲が季節と共に変わることを絵本で読んだと教えてくれた。昨日は登れなかったジャングルジムに登れるようになり、公園で会った初めましてのお友達と鬼ごっこしたりもした。
こっちの道から帰ると電柱が何本、こっちから帰ると何本。あんなところにハート型の木がある、あっちの家は窓からカワウソが見れる…新しい発見と、それを嬉しそうに教えてくれる娘にキュンとしていた。

育休が終わったら、またもとの遅くにお迎えからの「早く帰るよ!」の日々。2歳半から3歳にかけての育休中、家族旅行に3回も行ったけれど、今懐かしく思い出すのはお迎え帰りの寄り道のことだ。

今でも、昔通った道に迷い込むと「あ、ここは…」と記憶がよみがえる。戻りたいなぁ。

娘はあの頃の記憶をもうあまり覚えていないそうだけど一緒に歩いている時に「雪の日に歩いて帰って、ここで滑って転んだよね」などとわたしの母心?をくすぐってくる。雪の日だから、転ばない道で帰ろうと、雪が溶けてる道で遠回りして帰ったんだよね。

毎日通った保育園への道も感慨深いけれど、「さぁ、今日はどこから帰ろうか」と遠回りした日々が、忘れられない。

いつもと違う道を歩くと、発見があるでしょ。
人と人が現実の世界を一緒に探索するっていいよね。

一本隣の道を歩く【さとゆみの今日もコレカラ/039】

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