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生後10ヵ月、感傷的な母の記

最近、どうやら息子のマニが固くなってきたらしい。
(マニについてはこちら↓)

いきむたびに泣くので、こちらとしては気が気ではない(しかも一回の量が少なく、一日に三~四度いきみだす)。
「代わってあげたい……今だけ肛門を取り換えて代わってあげたい……!」
という、端から聞いたらナンダソレな気持ちになってくる。

そういえば彼が新生児の頃にも、「出したいけどうまく出せない」と泣くことがあった。おへその周りを時計回りにマッサージしながら、ああもう代わってあげたい、う○ちごときでこんな気持ちになるのは一体この子がいくつになるまでなんだろう、10歳? 20歳? 30歳? などと考え、挙げ句それをそのまま母親に尋ねて「気持ち悪い」と顔をしかめられたのであった。

さすがに私だって、息子が三十路に差し掛かるまで彼の便秘事情と付き合っていたくはないと思うが、あれから丸10ヵ月経つにもかかわらず、彼に対する心配や愛情はMAXのまま、右肩下がりになり出す気配すら見せない。
この気持ち、30まで続いたっておかしくない、と思ってしまうくらいに。

***

息子が生後10ヵ月になった。

あの日、プラスチックケースの中で虚空を眺めながら足をバタバタさせていた生き物は、今ではきちんと母と父を認識し、ニコッと微笑み、高速ハイハイで抱っこを求めて膝の上によじ登ってくる。マイブームは、つかまり立ち状態から両手を離してバランスを取る「立っちの自主練」だ。
そのすさまじい成長具合に「あっという間に今年もあと2ヵ月ですね」なんて会話を交わしている大人たちはくらくらしてしまう。

胎児がおなかの中で育つ時間はトツキトオカというけれど、それは数え方の話で、実際の妊娠期間は9カ月間ほどしかない(ながーくながーく感じたけれども)。
ということは、中にいた時間より外に出てからの時間の方が長くなったのだ。

息子よ、外の世界はどうですか?
毎日楽しく過ごせていますか?

妊娠中よく食べていたりんごや干し芋は、へその緒を通して食べるよりも、実際に食べたほうがおいしいでしょう?

しかし彼は未だに、胎内の音に似ているというビニールのカシャカシャ音やドライヤーの風の音に強い執着を示している。
もしかしたらまだ半分くらい、中のが良かったな、とか思われているかもしれない。……思われていたらどうしよう。

***

息子が生まれてからずっとつけてきた日記を読み返してみると、まだ彼が新生児の頃に、私はこんなことを書いていた。

言葉がまだ通じない子に「大好き」「愛してる」を伝えるにはどうすれば良いのだろう。この気持ちはきちんと伝わっているのかな。
泣きたいほど大事で大好きなんだけれども。

書いたことすら忘れていたけれど、共感しすぎて(書いたのが自分だから当たり前といえば当たり前だけど)首をぶんぶん縦に振ってしまう。
こんなにも彼を思い、毎日毎日誠心誠意お世話をしているつもりなのだけれど、息子はそんなことすべて忘れて、どんどん大きくなっていってしまうのだろう。それどころか、いつか思春期になったとき、「自分は誰にも愛されていない」なんて言い出してしまうかもしれない。

だけど、これ以外に伝える方法を知らないから、毎日毎日、息子を抱きかかえながら、私はその耳に語り掛けるのだ。

きみは、パパとママの宝物だよ。

***

「抱いてくれるならだれでもいいの」

なんて、行きずりの恋に身を委ねる女(※イメージです)のように、誰から抱っこされても喜んでいた息子。
そんな彼も後追い期に入り、母と父のどちらかがいないと泣き出したり、他人の抱っこでは笑わなくなったりするようになった。
「たまには一人にさせてちょうだいよ」と言いながらも、私は息子が私を追ってきてくれることが嬉しくて仕方がない。

いつかは追ってきてくれなくなる日がやってくる。
心配をうっとおしがられる日もやってくる。

その日に思いを馳せては、無駄に涙をこぼしてしまいながらも、彼が名実ともに私たちの赤ちゃんでいてくれる残りの2ヵ月を、大事に大事に過ごしていきたい。

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