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【読書】【大学授業料無償化】変化や苦痛を女性にばかり強いてない?

国が、3人以上の世帯を対象に、所得制限なしで大学授業料等を無償化する方針を検討していることが明らかになりました。


所得制限なし、というのはすごく思い切った決断で、良いと思います。
でも、ちょっと待てよと、私は思ってしまったのです。



これは「少子化対策」

この発表の1日前には、東京都が所得制限なしに高校授業料を無償化する方針を固めました。
これには、子どもの数は関係ありません。

つまり、東京都の施策は「今いる子どもへの教育・親への手当」で、今回の国の施策は「これから出産を考えている男女への少子化対策」になります。

国は、「3人以上産んでね」と私たちに呼びかけているのです。


3人きょうだいの私は、2人しか生まない選択をした

小さい頃は、子どもを3人産むんだと思っていました。私自身が3人きょうだいで、とっても楽しかったからです。
しかし社会人になってみて、いや、一人目を実際に出産してみてようやく、いよいよ3人は難しいと悟りました。理由は以下です。


  1. 経済的理由(中学受験を想定しています)

  2. 住宅事情・部屋数の問題

  3. 私のキャリア

  4. 精神上の理由(ワンオペ)


1.2.はお金に余裕があれば解消されるので、今回の施策が効くかもしれません。
それでも、私には3.4.の理由があって、報道を受けて改めて考えなおしても、「3人目、ないなァ」と思ったのです。


女性の人生をなんだと思ってる?

2023年度ノーベル経済学賞を受賞した経済学者・クラウディア・ゴールディンの『なぜ男女の賃金に格差があるのか』を読んでいます。


長い歴史の中で女性の高学歴化が進み、キャリア志向の女性が増えて、結果、出生数が減少しました。

私は、これを良いことだと思っています。男女関係なく、同じように学び、人生に希望を抱き、それを仕事・職業という形で実現しようとしているから。

しかし、子どもを産むと、どうしても仕事につかえる時間が減ります。誰かが子どものケアをしなければならないからです。多くの場合、それは母親です。

私は今でも、自分の中途半端な状態が苦しく、じれったく感じます。「もっと時間があったら、こんな仕事ができるのに!」

どうしたって、子どもを2人も産めば、10年は子育てにかかりきりです。
それが、もう一人増えたら? せっかく二人目が楽になってきたところに、もう一度、最初から?

そうしたら、私のキャリアは、職業を通した自己実現は、いつ達成されるのでしょうか?


ワンオペ育児は心を壊す

もう一つの理由、それは、私にとってワンオペ育児は2人が限界だからです。

カジュアルな響きがする「ワンオペ育児」。これは、親子にとっても深刻です。双方の心を壊すからです。

まず、親の方は、言うことを聞かない・自分の常識では測れない行動をする子どもへの対処に苦労します。

育児とは、子どものコップから溢れるパワーを、自分のそれに受け止めること。排出することで、子どもはさらに多くの水を受け入れるようになります。



では、親のコップにたまった水はどうなるのか。
夫婦で子育てをして、双方に自分の時間があるなら、その隙にコップの水をすべて流すことができます。

しかし、ワンオペ育児をしていると、自分の時間が一切持てません。コップを空にする機会も奪われるのです。

そうすると、澱がたまります。そのうち腐ってきて、木の器なら、朽ちます。

親がコップの水を受け止めきれなくなると、子どものパワーの仕向け先がなくなります。
しかし、子どものパワーには栓がない。親はイライラし、子は親の愛情に飢え、問題行動が増えるか、自分を押し殺す。

ワンオペ育児は、心を壊すのです。


変化や苦痛を女性にばかり強いてない?

少子化対策として「3人目は大学授業料無償化」をかかげられましたが、私は正直、冷めた目でそれを見ていました。

キャリアやワンオペの問題があるのに、もう一人? これらの問題にはなんの対策もないのに、子どもを産めって?


子どもを増やすためには女性が子どもを産むことが必要、これはわかる。
だけど、女性にしかできないのは、妊娠・出産することだけ。育児に性は関係ない。
そして、キャリアを追いたいという夢を持つことも、性に関係なく許されるべきだ。そのために私たちは、今まで生きてきたのだから。

私はなにも、女性だけにキャリアを、と言っているのではないのです。男女ともに、育児をしながら、働くことを通して自己実現できる社会を希望しているだけ。
なのに現状、キャリアを追うためには長時間勤務が必要で、それはもっぱら(どの年代でも)男性が担っていて、だから育児に参加する時間が無いと言う。

国は、女性の人生をなんだと思っているんだろう。産んでくれればそれでいいんだよ。ね? 大学授業料は負担しなくていいから、仕事なんてしなくていいんだよ?

それがすべての女性の願いだと決めつけないでほしい。どうして変化や苦痛を、女性ばかりに強いるんだろう。変わるべきは女性じゃない、社会だ。
私はそう思います。



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