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#002 不妊治療というトンネル|大志なんて抱かない

「大志を抱け」と言ったのは、かの有名なクラーク博士。彼がなぜ有名なのかは知らないれど、この言葉は知っている。大志を抱き、希望を持って生きている人は眩しいし素晴らしい。
けれども長い人生、それが無理なときもあると知った。

大志なんて抱かなくていい。
前も向かなくていい。
そう思えたら、心が軽くなった気がした。

人生の中には、経験しなくていいなら経験せずに生きていきたいことがたくさんある。
例えば、大病を患うとか、自己破産とか、交通事故とか、不倫の泥沼とか、親族と遺産相続で揉めるとか。
ドラマの見すぎと言われるかもしれない。
ただ間違いなく言えることは、その中に「不妊治療」も「流産」も入るということだ。

不妊治療は真っ暗なトンネルに迷いこんだようなものだ。自分の努力だけでどうこうできるものではなく、出口なんて見えない。先を照らす明かりになる心の電池はどんどんすり減っていく。毎月の生理とともに。

妊娠して1番嬉しかったのは、このトンネルからやっと抜け出せたことだった。希望が溢れる明るい世界にやっと行けたと思ったのになあ。

けれどもこの真っ暗なトンネルに戻ってきてしまった以上、どうにかこうにか、この道を歩いていかなければいけない。人生ハードモードにも程がある。

長い人生、いろんなトンネルがあると思う。短かったり長かったり。中には不妊治療と同じように真っ暗なものもあるだろう。

もしかしたら私たちはこのトンネルから早く出たくて、遠くを見ようと足早に進むから不安になるのかもしれない。

強い希望や大志は自分を苦しめることもある。
それならば、そんなものは持たなくていい。
無理に前も見なくて良い。

ただ、足元を見て歩いて行けば良いのではないか。
足元を照らすだけの小さな明かりだけ持って。

もう私たちは頑張りすぎてると言っても過言ではない。
人生の少数派の道にのってしまったこと、その苦しい気持ちを親しい友人や親にだって言えない場合があること。
こんなに頑張ってることは誰も知らない。慰めてもくれなければ、もちろん褒めてなんてもらえない。

松下幸之助は著書『人生と仕事について知っておいてほしいこと』中で「大志を抱かずとも一日いちにちを着実に積み重ねていき大志を抱いた人と同じ結果になることもある」と言っている。

そうであると信じて、現実と向き合い歩いていくしかないのである。

おしまい。
ほんじゃ、またね〜!

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