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5.9 傾聴



衝撃的な詩と出会った日。

作者はアメリカの看護師さん。


「Listen Nurse」~ルース・ジョンストン~
『人間対人間の看護』の冒頭掲載

ひもじくても、わたしは、自分で食事ができません。

あなたは、手のとどかない床頭台の上に、わたしのお盆をおいたまま去りました。

そのうえ、看護のカンファレンスで、わたしの栄養不足を、議論したのです。

のどがからからで困っていました。

でも、あなたは忘れていました。

付き添いさんに頼んで、水差しをみたしておくことを。

あとで、あなたは記録をつけました。わたしが流動物を拒んでいます、と。

わたしは、さびしくて、こわいのです。

でも、あなたは、わたしをずっとひとりぼっちにして、去りました。

わたしが、とても協力的で、まったくなにも尋ねないものだから。

わたしは、お金に困っていました。

あなたの心のなかで、わたしは厄介ものになりました。

わたしは、一件の看護的問題だったのです。
あなたが、議論したのは、わたしの病気の理論的根拠です。

そして、わたしをみようとさえなさらずに。

わたしは、死にそうだと思われていました。

わたしの耳がきこえないと思って、あなたはしゃべりました。

今晩のデートの前に美容院の予約をしたので勤務のあいだに、死んで欲しくないと。

あなたは、教育があり、立派に話し、純自のピンとした白衣をまとって、ほんとうにきちんとしています。

わたしが話すと、聞いてくださるようですが、耳を傾けてはいないのです。

助けてください。

わたしにおきていることを、心配してください。

わたしは、疲れきって、さびしくて、ほんとうにこわいのです。

話しかけてください。

手をさしのべて、わたしの手をとってください。

わたしにおきていることを、あなたにも大事な問題にしてください。

どうか聞いてください。看護師さん


看護もコーチングも対人支援。

「してあげてる」奢り
「わかっている」つもり
「聴いている」つもり
「共感している」思い込み

患者さんの寂しさ、怖さを考えると胸が苦しくなった。

「わかった」つもりじゃなく、知りたい。
「してあげてる」じゃなくて感謝したい。
「聴いている」つもりじゃなく、心で感じたい。
「共感している」思い込みじゃなく一緒にいたい。

私が関わらせてもらっている学生さん、クライアントの本音を聴きたい。

抱えている「負」の感情を一緒に体感したい。

じゃなきゃ先に進めない。

アメリカの心理学者カール・ロジャーズの傾聴の原則を思い出した。
【共感的理解】
【無条件の肯定的関心】
【自己一致】

相手と共にいて悲しみ、苦しみ、そして喜びを一緒に味わいたい。

受容や共感がない場に自由や愛は生まれない。

共感のない形だけ耳を傾けても必ず相手には伝わる。

それは挫折しか生み出さない。

襟を正し学生さん、クライアントに向き合っていく決意ができた。

#助産師コーチ
#看護学校教員



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