2019秋アニメ感想まとめ
2019秋アニメの感想をランキング形式でまとめています。
<28位> 星合の空
評価:C
お気に入りキャラ:御杖夏南子
ソフトテニスを題材にした青春成長物語の体を成してはいるが、登場人物の親たちの人間性にことごとく問題がありすぎてちっとも気持ちよく視聴できなかった件。そして、その問題については基本描きっぱなしで放置プレイとなっており解決も何もなくひたすらに不快感だけが募っていく。まあ、そこを丁寧に描いてほしいという需要はないからそれはいいとしても、最終話で眞己が父親のアパートに向かったところで終わったのは後味としては最悪に近い。このストーリー構成を平気で放送する制作陣は精神が病んでいるとしか思えない。そんな中、ヒロイン(?)の御杖さんは今期どころか2019年のアニメ全体を通じてトップクラスにお気に入りのキャラであり、けだるげな感じと普段はクラスでも浮いているっぽいけどなんだかんだ練習や試合を見に来てしまう寂しがりやの体質に完全にやられてしまった。で、結局彼女は眞己のことが好きなの?(消化不良)
<27位> 七つの大罪 神々の逆鱗
※全話視聴後に執筆予定
<26位> 厨病激発ボーイ
評価:B-
お気に入りキャラ:渡瀬菜々子
一定の需要を保ち続けているVOCALOIDの楽曲をベースにして制作された作品。厨二病の高校生男子たちが「ヒーロー部」と称した部活動(非公認)を舞台にドタバタ劇を繰り返すのだが、内容は女性向けに寄っていると思われラブコメ色は控えめ。とはいえ、主人公の瑞姫は普通の女の子なのでどちらかといえば乙女ゲーを見ている感覚に近いか。学校周辺の住民のトラブルの解決やもはや恒例となった廃部の危機、最初はなし崩し的に参加していただけだった瑞姫が皆と過ごすうちにヒーロー部に愛着を持つまでに至る過程など不思議とアットホームで温かい雰囲気があり、なんだかんだ最後まで視聴してしまった。こうしたVOCALOID作品がどういう層に需要があり、どのようにしてアニメ化に至るのかはあいかわらず謎だが、自分には理解できない共感部分がきっとあるに違いない。ヲタ(@「女子無駄」)に低所得Pの魅力を聞いてみたいものである。
<25位> ノー・ガンズ・ライフ
評価:B-
お気に入りキャラ:メアリー・シュタインベルグ オリビエ・ファンデベルメ
身体の一部、もしくは全部を機械化する拡張体技術が確立された世界で拡張者(エクステンド)の主人公が「処理屋」として社会のいざこざを解決していくハードボイルド作品。主人公の十三は頭部が巨大なリボルバーの形状になっており、見た目のインパクトは抜群。保護した少年の鉄朗と共にセリフに口パクが行われない演出となっていたので、慣れないと結構違和感が(笑 十三は鉄朗を保護したことで街を牛耳るベリューレン社と事を構えることになるのだが、依頼として仕事を請け負うことも多く「シティーハンター」のような感覚で視聴することもできる。拡張体のメンテナンスを行うメアリーは男臭い世界観にあって貴重な花の役目を果たしており、「少年!」のイントネーションがクセになる「っす」言葉で視聴意欲に一役買ってくれた(沼倉愛美さんは毎期コンスタントにいい感じの役どころがある気がする。)。とりあえず、分割となる後半戦も継続かなぁ…。
<24位> アサシンズプライド
評価:B-
お気に入りキャラ:ロゼッティ=プリケット
騎士道を前面に押し出していくストーリーなら恋愛方面では物足りない気分を味わうことになるのかなと思いきや、むしろ主題だったまである。複雑で恵まれない境遇に苦しむ無能才女であるメリダをダークかつクールな魅力あふれる暗殺教師であるクーファが華麗にそして泥臭く守り救っていく展開は、バトルシーンの多さに比してどちらかといえば女性受けを意識しているのかもしれない(EDクレジットでもクーファが一番手)。とはいえ、男性目線からも可愛い女の子に囲まれたいわゆる俺TUEEE系的な作品として楽しめる要素があり、この作品ならではの世界観は存分に築けていたのでは。キャラデザも中々優秀で、お気に入りに挙げたロゼッティのエチエチなルートが見てみたい気はするのだが、そこは同人誌に期待か(笑 彼女の髪型のこんもりとしたシルエットには大いに訴えかけられるものがあるのだが、この感覚に同意してくれる人はいるのか否か…。
<23位> ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld
評価:B
お気に入りキャラ:―
「全ては最後にキリトがカッコよく決めるために」という制作陣の目論見が嫌というほど伝わってくる構成は、はっきりと好き嫌いが分かれそう。アンダーワールド側のヒロインであるアリスもすっかりキリトに傾倒してしまい、ユージオの命を賭しての死闘もすっかり色褪せてしまった感がある。当初は4クールに渡って壮大な物語を描くという触れ込みだったような気がするのだが、限られた作品にしか許されない長尺を有効活用しているとは言い難いというのが率直な感想で、今期の展開にはかなりの薄っぺらさを感じている(そんな中でもアスナとアリスの正妻戦争の場面は唯一楽しかったのだが…)。物語の基本が「起承転結」なら、今期は「転」に当たる部分だったハズ。しかし新たなキーキャラが登場するわけでもなくキリトが廃人状態から復活するわけでもなく淡々とストーリーが進行していったことは残念であり、最終クールでの巻き返しは必須項目である。
<22位> Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-
評価:B
お気に入りキャラ:牛若丸
もはや大正義コンテンツと化した「FGO」未プレイ民としてはストーリーはなんのこっちゃという部分もあるのだが、「Fate」シリーズの流れとしてキャラクターを追っていけばこれまで同様に世界観を楽しむことはできた(4話で唐突に「ロード・エルメロイ」でお気に入りキャラに挙げたオルガマリーの最期を見せられたのはショックだったが…)。「青ブタ」「約ネバ」「冴えヒロ」「空青」とどれもレベルの高い作品を手掛けてきたCloverWorksは今最も注目している制作会社の一つで、本作品においても全く息切れする気配も無く毎話のように「魅せる」戦闘シーンを提供し続けてくれたことには感謝しかない。また、本作品のギルガメッシュは「stay night」における傲慢で不遜な態度が薄れており、国家の主として時折茶目っ気も交えながら彼なりに部下や民を気にかける器の大きさが描写されているのが印象的だった。まあ、キャラとしては前者の方が好みではあるのだが(笑
<21位> 神田川JET GIRLS
評価:B
お気に入りキャラ:波黄凛
『キャラクター原案:鳴子ハナハル』 この表記を見た瞬間に確信した。これは最高のクソアニメになると。なぜ自分はこれを見るのか?そこにおっぱいがあるからだと言わせんばかりのムチムチボディのキャラたち(一部例外あり)は圧倒的な質量を誇り、まさにそこはぷるんぷるん天国(いろんな意味で)。おっぱいが先なのかストーリーが先なのかもはやそんなことはどうでもいい。頭カラッポの方が夢詰め込めるのだから。なお、鳴子ハナハル先生によるキャラクター原案といえば「翠星のガルガンティア」が世間的には有名で当時は大いに話題になったそうだが、自分はそれと言われるまで全く気付かなかった(というか、当時は鳴子ハナハル先生を知らなかった。作品自体は再放送で履修済)。だからサーヤは快楽天ちゃんって呼ばれてたのか…。最近の鳴子ハナハル先生は新作品の発表が無い状態が続いているそうなので、一ファンとして気長に待ち続けたい。
<20位> ぼくたちは勉強ができない!
評価:B+
お気に入りキャラ:唯我水希
あいかわらずのハーレム路線かと思いきや最終話でのまさかの結末の示唆というサプライズがあった2期。これって一応アニメとしては今期で終了したと解釈していいのだろうか?OPやキービジュアルにおいても顕著にその傾向が表れているが、5人の正妻候補には等しく見せ場が与えられ各ヒロインのファンが納得できるように構成されている。これは方針としては痛し痒しといったところだが、個人的には妹ちゃんが嫉妬に狂う場面をもっと増やしてほしかった(文乃のお泊り回とかおとなしすぎやしませんかねぇ…)。普通にいいキャラをしていると思うのだが案外人気ないのかしら?まあ、実妹が人気出すぎても困るというのは分からんでもないが(笑 単行本のおまけコーナーでは彼女のそのブラコンっぷりが描かれており、成幸が誰かと親密になる度に末妹たちが彼女の精神安定のために催眠術で記憶を消しているとのこと。これは原作を買うしかないのか…?
<19位> GRANBLUE FANTASY The Animation season2
評価:B+
お気に入りキャラ:カタリナ
制作会社が変わっても美麗で圧倒的な作画は健在。これは潤沢な資金があるソシャゲだからこそなのか(ハチナイ民の血涙)。登場キャラも多くストーリーも壮大であろう原作ゲームからその中のほんの一握りだけを抽出しているアニメは、本作品のファンにとってはどう映っているのか気になるところではあるが…。今回はおそらく原作ゲームでも人気キャラであるヴィーラのストーリーのインパクトが強く、久しぶりに今井麻美さんの演技(百合&ヤンデレ風味)を堪能できた気がする。また、2次元コンテンツにおいて誰もが納得する魅力的な竿役が存在することは同人誌の作りやすさや質の高さにも直結することからとても重要で、そういう意味では本作品のグランの存在はとても貴重である。個人的に本作品の同人誌はクオリティが高い作品が特に多い作品という認識で、これからも大いにお世話になっていくであろうことを付け加えておく(以上、ゲスな話)。
<18位> ライフル・イズ・ビューティフル
評価:B+
お気に入りキャラ:鶴巻裕子 新田瀬玲奈
知名度の低いビームライフル競技に青春をかける女子高生たちを描いたちょっとゆるいスポ根系作品。もうこれ次学年以降を描くつもりないやろとツッコミをしたくなるようなとんとん拍子っぷりは賛否が分かれそうだが、こういうストレスフリーな作品も一つぐらいあってもいいんじゃないかというのが個人的な感想。何よりもこういう競技があることを視聴者に知らしめた時点で作品としての目標の8割は達成しているようなもので(失礼)、後は可愛い女の子たちを愛でていれば十分だったのである。そして前期の「ダンベル」の立花先生然り、オタク趣味の入った残念成分多めの女教師キャラにめっぽう弱い自分。本作品の鶴巻先生も例に漏れず、ゆるふわな容姿も相まって今期の中でもかなり上位のお気に入りキャラである。いや実際、動機はどうであれこのご時世に進んで運動部の顧問に立候補してくれる新任の先生なんてそれだけで貴重だと思う件。
<17位> 歌舞伎町シャーロック
評価:A-
お気に入りキャラ:メアリ・モーンスタン
予想以上に質が高かった今期の貴重なオリジナルアニメ。主に「シャーロック・ホームズ」の登場人物をモチーフにした探偵たちが、架空の街である新宿區イーストサイドの歌舞伎町を舞台に数々の難事件を解決していく。これぞ深夜アニメという描写はおそらく今期の作品群の中でも随一で、S〇Ⅹシーンや殺人シーンに加え、ラブドールが大々的に販売されていたり、探偵長屋としてハドソン夫人(♂)が経営するバーの名前が「パイプキャット」だったりと盛り沢山。それに加えて本作品の評価を押し上げているのは実力派声優陣の演技で、ホームズ役の小西克幸さんの落語の語り口やハドソン夫人役の諏訪部順一さんのオネエ口調は必聴もの。小悪魔系ギャル探偵であるメアリは「シャーロック・ホームズ」の原作でワトソンの妻となるメアリー・モースタンがモデルらしいけど、本作品にはそういうフラグってあったっけ?まさかの2クール作品だったので、引き続き注目したい。
<16位> 超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!
評価:A-
お気に入りキャラ:神崎桂音
異世界系作品といえばチート能力が恒例となってるが、本作品の特徴は元の世界でも超人(≒天才)だった高校生たちがそのまま異世界で持ち前の能力を生かして活躍していくという点にある。結果的に何が違うのかは怪しいところであるが、異能力ではなく政治経済や発明、医療に諜報など現実世界でも求められる分野のスペシャリストが異世界で活躍する様はある種新しい感覚であったといえるだろう。また、本作品はキャラデザが秀逸で作画のレベルも高く、女の子キャラが皆可愛かったことは視聴のモチベーションに大きく貢献し、特にED映像のリルルの髪の揺れ方は先端の三つ編み部分に重心が偏っているのが上手く表現できていて素晴らしかった。なお、勢力の規模が国家レベルにまで達した終盤では現実世界の縮図のような様相を呈してきてしまっており、成り上がっていくまでの過程が楽しめたこれまで以上に盛り上げていくのは難しそうではある。
<15位> 旗揚!けものみち
評価:A-
お気に入りキャラ:シグレ 花子
「このすば」の作者原作による異色の異世界系作品。ストーリーのコンセプトはハチャメチャだが、「このすば」とは対照的に作画のデッサン力が図抜けており、体の動きや捻じれ方が複雑なプロレス技の数々を様々なアングルから忠実に描写できていた点は見事。彗星のごとく現れた制作会社のENGIとキャラデザの能海知佳さんにはこれからも注目していきたい。この作画の素晴らしさは女の子キャラの魅力にも直結しており皆可愛く、特に「尻姫」ことアルテナのキャラデザはこれをアニメーションとして動かすのはかなり骨が折れると思える複雑さで、素直に感心してしまった。以上のように本作品の評価を根幹で支えるのはその優れた作画力だということに疑いはなく、ストーリーの微妙さにもかかわらずすんなり完走できてしまった。この辺り、ホントに「このすば」とは真逆である(笑 でも、「このすば」の作画はもうあれでなくちゃ逆に満足できないんだよなぁ…。
<14位> 俺を好きなのはお前だけかよ
評価:A-
お気に入りキャラ:羽立桧菜(あすなろ) 日向葵(ひまわり)
「なんといっても、1話の構成が完璧すぎた」は序盤での自分の感想だが、こうしたラブコメあるあるネタを逆手にとって意外性を創出する構成はキライじゃない。声優の演技力を生かした主人公の喋りでウケを狙うのももはや鉄板といえるし、作者はすごく研究熱心な人なんだろうなとは思う。しかし、作品の魅力としてはそこで息切れを起こしてしまっており、後に続かなかった感があった。思うに、(想像で決めつけるのは失礼だが)作者の研究の対象が漫画やラノベに集中してしまっていたのがその原因なのではなかろうか。そのせいでキャラやストーリー展開に奥行きが感じられなかったことに加え、構成だけが先行しすぎて視聴者が魅力を感じるようなフェチズムにも欠けていたように感じた。総じてストーリーやキャラ設定の構成自体は秀逸だったので、後は演出面でもっと「魅せる」ことを意識してくれていれば評価は全然違ったと思えるのは素直に惜しい。
<13位> アズールレーン
評価:A
お気に入りキャラ:瑞鶴
否が応でも「艦これ」を比較対象として意識せざるを得ないというのが隠し切れない本音ではあるが、一通り見終わってみれば(天衝監督の実力も大きかったが)これはこれで見所があるなと思わせてくれるものは存分にあったというのが率直な感想。モチーフとなった艦艇ごとに、これはこっちの方がいいなあれはあっちの方がいいなと一々振り分けていくのもまた一興である。実際にはむしろ「艦これ」では実装が限られていた海外艦の面々が非常に豊富に登場し、ある種の棲み分けはきちんとできていた感はある。といいつつも、自分が一番贔屓にしたくなったのは「艦これ」でもお馴染みの日本艦の面々で編成されている「重桜」の陣営で、桜舞い散る艶やかな「和」の魅力は海外艦がその引き立て役になっているかのごとくであり圧巻の一言。特に瑞鶴のキャラデザは群を抜いてお気に入りで、剣に戦闘機の力を宿して戦う演出も見事であった。
<12位> 炎炎ノ消防隊
評価:A
お気に入りキャラ:プリンセス火華
前期も絶賛した魅力的な作画を途切れさせることなく完走してくれたのは僥倖の一言(OPの映像は期待値が上がっていた分若干肩透かしだったが…)。ストーリーについては、物語の核心に迫ってきたということもあり本来ならどんどん面白くなって然るべきなのだが、「大久保節が出てきたなぁ…」(←これ以上に上手く説明できる表現が思い浮かばない)という印象を個人的には受け、大筋としての盛り上がりには欠けた印象。ただ、新門大隊長の直々の指導と特訓により森羅やアーサーに一段上の戦い方を習得させる場面や、ロマン溢れる茉希の新装備などは非常に熱く、やはりこうしたキャラの強さや魅力を掘り下げる部分については上手いなと感じた。個人的な欲求としてはもっとラブコメ成分を高めてもらいたいところで、ヴァルカンとリサのこれからにはきちんと尺を使ってほしいし、プリンセス火華以外にも森羅に誰かがアタックする場面をもっと見たい。
<11位> ガンダムビルドダイバーズRe:RISE
評価:A
お気に入りキャラ:メイ
前作よりもストーリーの完成度は明らかに進化している。むしろ、キャラ単体の魅力では歴代の「ビルド」シリーズがさすがに強いものの、主要キャラの各々が悩みや葛藤を抱えつつもそれらを克服していきながら成長していく過程で、最初は偶然一緒のミッションに挑むことになったという関係性でしかなかったメンバーとの信頼関係やチームワークも次第に高まっていくというストーリー構成は歴代随一と評してもいいぐらい完成度が高い。歴代シリーズを追ってきたファンを信頼してくれているからなのか、序盤は敵にいいようにやられたりフォース内の不和があったりと「気持ちよくない」展開が続くものの、こうしたタメがあるからこそそれを乗り越えた時の爽快感は何倍にも増すということを改めて実感させてくれた点を高く評価したい。まだまだ明かされていない謎は多いし、各キャラにも愛着が沸いてきたところなので春の後半戦が非常に楽しみである。
<10位> 本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません
評価:A
お気に入りキャラ:トゥーリ
原作小説の「紙の本」という媒体にこだわるからこそ懐疑的だった今回のアニメ化。本作品を視聴した人にはその意味は伝わるはずだ。たしかにアニメならではの長所としてマインとルッツによる紙作りの工程が視覚的に見られたし、登場人物の台詞や表情もより直観的に伝わるようになったとは思う。そして、それは間違いなく面白いと評価できるものだった。しかし、それは原作の元々のポテンシャルに依るものが大きく、アニメ単体として冷静に評価すれば作画面でも演出面でも特筆すべきものはなかったように思う。結果的に楽しめたなら何が問題なのかと言われればそれまでだが、本作品には「紙の本」という媒体にこだわる硬派な姿勢を貫いてほしかったというのが本音で、読者が頁を1枚1枚めくりながら登場人物の表情や仕草、台詞の喋り方やその時の思いを想像しながら物語に寄り添う。そこにこだわってほしかったと思ってしまうのは異端だろうか。
<9位> 僕のヒーローアカデミア
※全話視聴後に執筆予定
<8位> Dr.STONE
評価:A+
お気に入りキャラ:ルリ コニー・リー
後半戦最大の見せ場は何といっても千空の父親である百夜たちの「ゼロ」の物語だろう。このストーリーを見た後では数千年という時の流れの重さが改めて身に染み、当時の船員たちの面影がこれまでのキャラたちに見え隠れするようになった。まさに「千の夜を越えて」百夜から千空へと届いたメッセージは感動的でありながら、荘厳なロマンも同時に味わうことができる非常に良い演出であった(リリアンの歌も非常に良かった。)。リリアンとルリやコハクの容姿が似通っているあたり、ひょっとしてという想像をしてしまうがこの辺りがハッキリと語られるのは連載終了後になるかもしれないな…。百夜たちの物語を劇場版として制作してほしいと切に願う。いよいよここからは司帝国との全面戦争に突入していくが、ケータイを使用した情報戦がどのようなものになるのか、大樹と杠の立場はどうなるかなど盛り上がる要素が満載な2期を楽しみに待ちたい。
<7位> この音とまれ!
評価:A+
お気に入りキャラ:堂島晶 凰かずさ
前半戦の感想ではかなりの酷評をしてしまった本作品であるが、後半戦においては個人的にかなり評価が上がった。その一番の要因は晶の存在であり、彼女に影を落とす原因となった過去の出来事が語られるにつれて一気に物語に深みが増した気がする。そして色々拗らせてひねくれてしまった20代、30代のキャラを魅力的に描かれるとどうにも弱い自分がいる(笑 大会の描写がメインとなった今期は演奏シーンも多く耳が幸せな時間が多かったのは何よりで(イヤホン必須)、こうした青春ものの真骨頂である大会描写となるとそれだけでドラマチックであり、惹き込まれるのは必然でありつつも説明不要の魅力がある。とはいえ演出上の不満が全くなかったわけではなく、特に姫坂女学院のかずさと穂積先輩の大会後のシーンは「もったいない」という印象を受けた。あれだけ掘り下げたんだからもっともっと劇的に演出してくれてもよかったのになぁ…。
<6位> 放課後さいころ倶楽部
評価:A+
お気に入りキャラ:(髪を下ろした)大野翠
最近日本でもブームになりつつあるボードゲームを題材に女子高生たちの日常と友情を描く青春もの。作中でも言及があったように日本においてはゲームといえばコンピューターゲームのイメージが根強く、老若男女問わず楽しめるアナログゲームの魅力は多くの人が知るには至っていない(そういう意味では囲碁、将棋、麻雀などは数少ない普及率の高いアナログゲームといえる。)。また、翠がボードゲーム制作に挑戦するくだりは勉強になることが多く、ボードゲームは他人にテストプレイしてもらうことでブラッシュアップされていくという観点は、題材は何であれ新しいものを生み出そうとする時には例外なく当てはまる真理であろう。そうなると、どこまでいけば完成に至るのかというのが気になってしまったのだが、「ディズニーランドは永遠に完成しない」という言葉にもあるように全てのゲームもまた進化の過程にあるといえるのかもしれない。
<5位> ハイスコアガールⅡ
評価:S-
お気に入りキャラ:大野晶
ゲーマーの少年少女という異色の三角関係ラブコメもついに最終局面を迎える。とはいえ、どちらが選ばれるのかという緊張感は特になく来たるべき結末に対してそれぞれのキャラがどのようにそれに対峙していくのかが大きな見所となった。実は春雄たちは1979年生まれと自分よりも年上であり、作中で稼働していたゲームの数々は自分の世代では小学校の高学年ぐらいに流行っていたので、「KOF95」で超必殺技が決まった時の爽快感などを思い出しながら視聴していた。散々述べているが2次元のお嬢様キャラのプロトタイプは「To Heart」の来栖川先輩で完成しており、彼女のEDも主人公と結ばれてさあこれからが試練だぞというところで終わっていたので、本作品ではその先も是非見てみたかったのだが続きは描いてくれないのかしら…。続きといえば、アラサーとなった日高さんのアフターストーリーが新連載されるということなのでかなり楽しみである。
<4位> 私、能力は平均値でって言ったよね!
評価:S-
お気に入りキャラ:マイル ポーリン
よくある感じの可も不可もない異世界系作品。当初の印象はそれであったが、それは奇跡的なバランス感覚という「平均値」に裏打ちされたものと気付くのにそう時間はかからなかった。本作品は、コメディーとシリアスのバランス、小気味よい会話のテンポ、クドくならない絶妙の頻度で挟まれる数々のパロディネタなど、実はきちんと計算をし尽くした「視聴時の快適さ」を真摯に追求した優等生の作品だったのである。これは間違いなく作者が喜ぶ方のアニメ化で、この出来栄えにはきっと大満足に違いない。また、OPのキャラの動きの楽しさにも表れているように可愛い女の子キャラを愛でる方向にシフトすれば日常系作品としての見方もできるという万能っぷりで、高難度のプレイをそれと気付かせない熟練の守備職人のような要素があちこちに散りばめれていた。こうした見た人にしか分からないセンス溢れる作品を見つけることができたのは素直に嬉しい。
<3位> 慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~
評価:S-
お気に入りキャラ:リスタルテ
まさか本作品が「なるほど、設定捻ってきたな」⇒「リスタルテ最高や!」⇒「おいおい、泣かせるなよ…」と、話数を追うごとに進化を繰り返す総合エンターテイメント作品になろうとは当初は全く予想できなかった件。そしてその根幹を支えたのは何といってもリスタルテ役の豊崎愛生さんの大好演であり、この役を演じるためにこれまでキャリアを積んできたというコメントがあったとしても大納得の腹筋崩壊待ったなしの感情豊かな演技力に盛大に拍手を贈りたい。そして聖哉の「レディパーフェクトリー、準備は完全に整った」という決め台詞は様々な局面で使用され汎用性は抜群でありながら、実はこの台詞の裏には知られざる悲しい過去があってという終盤での涙ホロリの展開には脱帽。総じてコメディーとシリアスのバランス感覚に優れ、1クール作品として起承転結のしっかりとしたストーリーで魅せてくれたハイクオリティな異世界系作品であったといえるだろう。
<2位> ちはやふる3
評価:S
お気に入りキャラ:若宮詩暢
ファン待望の3期。太一の覚悟、新の心境の変化、そして千早の決断と来たるべき時に備えて着々と物語が動き出しているのを感じる。二人が千早への思いをめぐって正面からぶつかり合う日も近いのかもしれない。競技面についても「はじめの一歩」と同じく全ての登場人物が主役と言えるのが本作品の特長で、登場人物一人ひとりにそれぞれのドラマがありどの対戦カードも目が離せないものになっている。今期は特に原田先生や村尾さんなどこれまで3人を見守ってきた立場の人がプレイヤーとしてピックアップされ熱く戦っており、非常に感慨深く見入っていた。ところで世間では太一派と新派に大きく分かれていると思うが、自分はやはり新派。千早もそれぞれを意識しているような様子が時折描かれているが、やはり千早にとっての「特別」は新であってほしいと願ってしまうというのが本音。1週間に1話しか見られないのがすごくもどかしいなぁ…(笑
<1位> BEASTARS
評価:S
お気に入りキャラ:レゴシ ゴウヒン ジュノ
動物をモチーフにしたキャラが登場する作品は星の数ほどあれど、これほど生々しくそして真正面から肉食獣と草食獣という絶対に合い入れない自然の掟に立ち向かった作品は類を見ない。そういう意味では最初から大きな矛盾を内包した作品になっており、その綻びがストーリーの肝として様々な局面で顔をのぞかせる。そして、本作品のキーワードとしては「本能」という言葉が挙げられるだろうか。これは「恋」なのか、それとも「食欲」なのかという狭間に揺れ動くレゴシの心は人間であっても何かに置き換えて入り込んでしまうようなリアルを我々に見せてくれた。レゴシ役の小林親弘さんの好演も本作品の評価に一役買っており、気弱でありつつも優しく紳士であり、時には肉食獣としての強さも見せてくれるレゴシは主人公としてかなり好きな部類。独特の感性に溢れた奇作ともいうべき本作品が向かう先は非常に興味深いので、2期の放送が待ち遠しい。
<劇場版8位> ぼくらの7日間戦争
評価:B+
お気に入りキャラ:阿久津紗希
30年前に鑑賞していても違和感がなかったようなキャラデザとストーリーという第一印象を受けたが、大人への反抗と高校生らしい青春の悩みを主軸にしたひと夏の小冒険にはある意味普遍的な魅力があったとも表現できる。実際、自分がキライなセリフベスト3には入る「大人はみんな嘘つきだ!」が飛び出した時は思わずげんなりしたが、青春成長物語として収まるところには収まったので全体としてはそこまで悪い印象はない。ただ、「そうだよな、アニメ作品の監督になったらこういう作品が作りたくなるよな」と感じてしまうオーラが一貫して流れ続けており、そこを気持ちよく感じられるかどうかが肝になっていたようには思う。鑑賞後に知ったのだが、原作は1985年発行であり過去に実写映画化もされているということで隠し切れない古臭さにも納得しつつ、あえて今アニメ作品として制作し直す意義があったのかどうかについては疑問符が残った。
<劇場版7位> BLACKFOX
評価:B+
お気に入りキャラ:石動律花 (リリィ)
TOHOシネマズ名古屋ベイシティ。自分が交通費を余分に1,000円かけてまであおなみ線に乗る時の目的地だ。そうなると必然的に作品への期待値は上がるのだが、残念ながら本作品にそこまでの価値を見出すことができたかどうかは怪しい。そもそもの鑑賞のきっかけはキービジュアルの絵柄に強く惹かれたからであり、モブや背景のCGに荒さは見られたものの劇場版ならではのよく動くアクションシーンと合わせてキャラデザという面では期待に違わないものであった。ただ、ストーリーの魅力にイマイチ欠けたのは否めず、登場キャラの少なさにも不満が残る。個人的には主人公のような「くノ一キャラ」は一人だけの方が光ると思っているので、別の属性の仲間があと数人いればさらによかった。劇場版の続編やTVシリーズに続く前日譚みたいな終わり方をしたけど、「ポッピンQ」もそういう話全然出てこないしあまり期待はしない方がいいんだろうな…。
<劇場版6位> Re:ゼロから始める異世界生活 氷結の絆
評価:A-
お気に入りキャラ:レム
エミリアとパックが契約するまでの過程、そしてその絆を描いた過去の物語。ファンへのサービス要素の強かった前作「Memory Snow」と比較するとシリアス要素が大半を占め、ある意味本作品らしい原点回帰をした作品ともいえる。最近は「OVA」と「劇場版」の境目が曖昧になってきているが、本編の下地となる「ゼロ」の時系列を丁寧に描いたという点においては、限りなく「正しい」作品であったとはいえる。しかし、しばらく本作品から離れていた状況で久しぶりに見るエミリアの表情が孤独を抱えた悲しい表情ばかりではどうにも気持ちが上がらず、物語の主旨と魅力を完璧に理解した真のファンでなければエンタメ性にはいささか疑問符の残る内容となったことだろう。数多の異世界転生ものとは一線を画するシリアス展開と真面目に向き合えるのが本作品の強みではあるが、やはり自分の好みとはちょっとズレているのかなというのが正直な感想だろうか。
<劇場版5位> フラグタイム
評価:A
お気に入りキャラ:村上遥
「あさがおと加瀬さん」のスタッフが手掛けた「らしさ」溢れる百合作品。3分間だけ時間を止められる不思議な力を持つ主人公が、何故か時間停止の力が効かないクラスメイトと二人だけの秘密の時間を重ねていく。エロゲあるあるの展開ではあるが、周りにイタズラをするというよりはこのシチュエーションを利用して露出プレイをしたり濃密にイチャコラしたりと「二人だけの世界」に真っ当な意味で顔が火照る。総じて、百合作品らしい感情のもつれも相まって極めて王道の作品だったといえるだろう。クラスメイトの遥は正統派の黒髪ロング美少女、主人公の美鈴も地味な外見とキャラデザに目新しさはないが、けして安っぽくはない。この「安っぽくない」が重要で、髪のツヤに差異を設けて美人度を強調しているなど職人芸が光る仕上がりとなっていたのは高評価点。しかしこういうマイナー作品を鑑賞する際の観客の濃いオーラも劇場あるあるなんだよなあ…(笑
<劇場版4位> 僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング
評価:A+
お気に入りキャラ:―
TVシリーズの放映中になぜ劇場版?と若干腑に落ちなかったが、なるほどこう来たかというのが一番の感想。普段は見られないデクと爆豪の熱いタッグバトル、そしてライバルではあってもけして主人公にはなれない爆豪にとっての「IF」じゃないけど「IF」のストーリー展開は、まさしく悟空とべジータの関係性にもそのまま当てはまりそうな「ライバルキャラ救済の物語」。夢オチやバーチャル世界オチなどに逃げずに、上手に「もう一人の主人公」に焦点を当てて本編では描きにくい展開を劇場版で製作してくれたことには大いなる意義があった。ファミリー層などが鑑賞することも想定されてか、本編よりも残酷描写は控え目で時折会話に説教くささも見られたものの、往年のジャンプの名作をリスペクトするよう熱い展開はまさしく王道というべきもので、当たり前のように素晴らしい作画も含めて必ず満足できるレベルの高い作品だったといえるだろう。
<劇場版3位> 冴えない彼女の育てかた Fine
評価:S-
お気に入りキャラ:加藤恵 波島出海
オタクのオタクによるオタクのための物語。それが本作品だ。あえて「普通」の女の子をメインヒロインに据えて物語を作る。この発想が既にオタク的であり、奇をてらっていると見せかけて実は王道路線そのもの。そして、ヒロインが内包する「面倒くささ」がその魅力を加速させており、属性に頼らないからこそ映える「普通の極み」をここまで魅力的に描くことができたのは丸戸史明氏のたしかな筆力あってこそである。いかに「普通」と表現しようとも、そこにリアリティがあるかといえばけしてそうではない。だが、我々オタク達が夢想する「こうだったらいいな」を纏うヒロイン像として、彼女はその最適解の一つを示してくれた。彼女が選ばれたのは結果的には消去法であったかもしれない。だが、逆に言えば主人公が「最も手放したくなかったもの」であったともいえる。それを万人に納得させるだけの物語を紡ぐことができたのが、本作品の成功要因であるのだろう。
<劇場版2位> この世界の(さらにいくつもの)片隅に
評価:S
お気に入りキャラ:―
2016年に公開された「この世界の片隅に」に当初の絵コンテに沿ったシーンを追加した長尺版。上映時間は圧巻の168分でありアニメ映画としては史上最長記録になるのだが、一度見始めれば当時の感想を思い出しながらすぐに作品の世界に入り込んでしまい、冗長さは微塵も感じなかった。戦時中の広島で生活する人々の日常を描いた作品であるのだが、登場人物が政治的な主張をしてくることもなくあるがままの「昭和らしい風景」を描いた作風は(誤解を恐れず言えば)エンタメ性に溢れ、単純に恋愛映画としてもとても見応えがあるものになっている。もちろん戦時中の物語であるので無慈悲な描写も少なくないのだが、優しく親しみのあるキャラデザと登場人物の前向きさによりそれは中和され、当時の結婚に対する価値観にも触れることができ、全体としてはやはり「陽」の属性を持つ作品だと自分は感じた。上映してくれた伏見ミリオン座に感謝である。
<劇場版1位> 空の青さを知る人よ
評価:S+
お気に入りキャラ:相生あかね
これほど鑑賞後に爽やかな気分になれる三角(≒四角)関係の恋愛映画が他にあろうか。「登場人物を死なせずに感動させられるのかい?」「姉の元彼に恋をする妹なんてドロドロ展開にしかならないだろ?」「捻くれない岡田磨里なんて面白いのかい?」その全ての質問に「大丈夫だ、問題ない。」と即答できるのが本作品の名作たる所以だ。また、性別や年齢によって主要の3人(≒4人)の誰に最も感情移入できるかが違ってくるであろうのも面白い。自分の場合は慎之介で、現実の厳しさに打たれて擦れてしまった姿にある種の親しみを覚えつつ、「こちら」が結ばれてほしいと願ってしまった。31歳のヒロインというのも実に現代らしいなと感心したのだが、むしろそれが魅力でしかなかったのも新鮮な発見だった。劇的な演出など必要ない、それぞれにとって誰が、そして何が大事だったのかがただ伝わればいい。そんなさりげないラストに最大限の賛辞を贈りたい。
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