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2020夏アニメ感想まとめ

2020夏アニメの感想をランキング形式でまとめています。


<24位> 異常生物見聞録

評価:C

お気に入りキャラ:ヴィヴィアン

中国のWeb小説原作の日中共同製作作品。この肩書がなければ即座に切っていたと思われるが、異種族もの、下宿もの、異能力ものといった要素の二番煎じ、三番煎じをごった煮にしたような内容でオリジナリティは皆無。作画も中の下以下。本国での人気のほどは定かではないが、もし読者(視聴者)が普段から日本の作品に慣れ親しんでいたらとても満足できるクオリティには達していないのでは…?ある種ステレオタイプのヒロインたちは可愛くないわけではないが、主人公とのフラグをほとんど感じさせないだけでなくあろうことかさらにその輪の中に『シティハンター』の海坊主のような筋骨隆々のオッサン(CV.玄田哲章)を混ぜてしまうというある意味斬新な設定が強いて言うなら本作品のアイデンティティか。中国の実力はこんなものじゃないだろうという思いは自分以外にも抱いた人はいるだろうから、今後も定期的に日本以外の原作作品も放送してほしい。


<23位> ド級編隊エグゼロス

評価:B-

お気に入りキャラ:桃園桃花

バカアニメでありつつもバカにはなりきれなかった残念な作品。「HERO」は「H」と「ERO」で出来ているという事実は我々を驚愕させたが、良くも悪くもその導入部分がピークでありその後のストーリーのインパクトもキャラの個性もいまひとつ。設定の段階でここまではっちゃけているのだから、そのはっちゃけぶりを存分にキャラにも生かしてもらえれば毎週ゲラゲラ笑って視聴できた可能性があったかと思うと実に惜しい。思うに作者が女の子キャラの品性と萌え成分を大事にしすぎている感があり、たしかにそれも大事なのだが本作品においては設定とのアンバランス感(というかもどかしさ)が目立ち、いっそ『生徒会役員共』ぐらい暴走させてしまってもよかったのでは。エロ要素はもちろんのことギャグ要素をもっと充実させればここから化ける可能性は大いにあるので、次世代の『To LOVEる』を目指してさらなるブラッシュアップが切に望まれるところである。


<22位> 天晴爛漫!

評価:B-

お気に入りキャラ:ジン・シャーレン

「アメリカ大陸横断レース」における純粋なレース描写がストーリーの中心になるかと思いきや、途中からはレースの存続すら危ぶまれる事件が勃発し最終的に申し訳程度の決着になったのは想定外。その事態もそれはそれで面白ければ構わなかったのだが、純粋にレースを楽しむことを阻害する要素にしかなり得なかったのはかなり痛手。天晴たちがレースに勝利するであろうことはほぼ既定路線であるので、それ以外の人間ドラマに主軸を置きたかったのは理解できなくもない。ただ、それならそれで各キャラに魅力をもっと付加すべきであったし、極論を言えば全員女性レーサーであったら絶対にもっとウケていたと思う。最終話のギルの急激な弱体化や腐女子御用達路線はどうしてこうなった状態であったし、P.A.WORKSへの信頼が少し揺らいでしまった感すらあった。結局この物語の主旨はなんだったのかと問われたとき、制作陣はどのように答えるのだろうか…。


<21位> A.I.C.O. Incarnation

評価:B

お気に入りキャラ:―

Netflixで2018年に公開された近未来の人工生命体暴走事故である「バースト」を巡るSF作品。人工生命体「マター」は無限増殖する巨大な不定形の肉片のような物質であり、それが近づいた人間を飲み込もうと襲ってくるので見ている感覚はホラーアクションにも近い。ただ、ストーリーの大筋としてはクローン問題を取り上げた作品に近く、「正体」のあれこれに関わる事実は結果的にはこの手の作品のお約束であり新鮮な感覚はなかった。また、主要人物になんだかんだ犠牲があまり出ないので、緊張感もそこまでは感じられず。よって、視聴意欲としては鳴子ハナハル先生のキャラクター原案に頼る部分が大きかった。なお、ED映像は主人公のアイコが後ろ姿のままひたすら歩き続けるという一見退屈なものだが、その髪の揺れの作画表現が素晴らしくいつまでも眺めていたいぐらいで毎回飛ばせなかった。正直、一番の見所はそこだった気がしないでもない(笑


<20位> モンスター娘のお医者さん

評価:B

お気に入りキャラ:サーフェンティット・ネイクス

定期的に供給される「モンスター娘」というジャンルだが、医者としてその生態に迫るというのは新しい切り口ではある。そして、変わらずそこにあるのはいかにして彼女らを性的な目線で愛でるかという視点である。本作品もその例に漏れず、グレン医師は(どうみても愛撫にしか見えない)医療行為という体でその真理に迫り未踏の境地への扉を我々に投げかけるのだが、そこでふと気付いた。彼女らは真の意味で「モンスター娘」なのだろうか、と。彼女らは種族特有の悩みや身体的特徴はあれど、思考回路としては人間に極めて近いものを持っている。かの『H×H』において、「メレオロンは人間だよ もう」というセリフがあったように考え方が極めて人間臭ければもうそれは人間なのではないだろうか。そういう意味では彼女らは実質的には人間といっても過言ではなく、忌憚のない言い回しをすれば「まがい物」にすぎないのではというのは捻くれた見方だろうか。


<19位> 富豪刑事 Balance:UNLIMITED

評価:B

お気に入りキャラ:佐伯まほろ 神戸鈴江

『時をかける少女』で著名な筒井康隆氏原作による刑事作品。大富豪の神戸大助が「Balance:UNLIMITED(残高無限)」の名の下に湯水のように金を使い事件を解決するという作風なのだが、アニメオリジナルのキャラとして相棒の加藤刑事がおり、こちらは熱血漢で足で地道に情報を稼ぐステレオタイプと男女で好みが分かれそうな配置となっている。物語としてはなんてことはないレベルなのだが、特筆すべきは佐伯さんと鈴江という2大ヒロイン(?)のキャラデザ及び設定の素晴らしさ。正直、視聴目的の9割はこの二人を愛でることにあったと言っても過言ではない。佐伯さんは職場の紅一点であり、いつもお菓子を美味しそうに食べている姿が印象的。上田麗奈ボイスがその魅力を何倍にも増幅させており、加藤刑事の方に行ってほしかったというのは偽らざる本音。一方、鈴江は大助の親戚の才女でありその愛情ドロドロの過保護っぷりがたまらない。大助様爆発しろし(笑


<18位> ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld

評価:B+

お気に入りキャラ:アリス・シンセシス・サーティ

ラスト2話だけは面白かった。これが率直な感想である。4クールをかけて長々と描いてきた割には内容が薄っぺらく、ユージオから受け継がれる意志とアリスという存在の確立(そしてキリトへの愛)を描きさえすればアリシゼーションの物語の意義は完遂できてしまい、それなら劇場版ぐらいの尺でも可能だったのではなかろうか。とはいえ、アリスという本作品のテーマ的にメインヒロインとなり得るキャラを登場させてくれたのは何よりの功績で、結局のところ彼女とアスナが正妻戦争をしている場面が一番面白かった。もしキリトを奪うなら最も可能性を感じるヒロインなので、来たるべき最終章ではどんどん前に出てきてほしい。終盤はオールスター戦の様相を見せたが、『ビルドダイバーズ』の方とは違い作者が一人で気持ちよくなっているだけな感じがして若干白けてしまった。つくづく、本作品はキリトとアスナの絆を序盤で確固たるものにしてしまったのが惜しまれる。


<17位> GREAT PRETENDER

評価:B+

お気に入りキャラ:アビゲイル・ジョーンズ(アビー)

詐欺師の騙し合い、化かし合いをテーマにした異色の作品。大筋としては主要メンバーは善良な市民を騙してカモにするようなことはせず、いわゆる悪党ととれる億万長者から金を騙し取って破滅させるストーリーとなっている。よって、詐欺行為に関する嫌悪感は抱きづらく、どちらかといえば「してやったり」という趣が印象に残りやすい。序盤においてはキャラ紹介も兼ねてなのか実はこのキャラも詐欺師でしたというどんでん返しの展開が多く見られたが、中盤以降はその流れは落ち着き「分かってる感」を楽しめるようになったのは個人的には好ましい方向性。これからの関心事としては、やはり詐欺行為での儲けはまっとうな稼ぎではないので、彼らもどこかで手痛いしっぺ返しを喰らうのではないかという懸念である。もしそうであったとしてもそれをきちんとエンタメ作品として仕上げてくれるかは作品としての腕の見せ所だと思うので、引き続き注目していきたい。


<16位> ノー・ガンズ・ライフ

評価:B+

お気に入りキャラ:メアリー・シュタインベルグ

イケメンというわけではなく厳つい(文字通りの)銃頭、いつも同じ銘柄のタバコをふかしているのは神経鎮静剤の成分が多く含まれているから、自身の信条に従って行動していたらいつのまにか周りには好意を寄せる女性が、とカッコつけなくてもカッコよくなってしまう十三という主人公の魅力がやはり本作品の肝だろう。銃頭故に表情芝居は厳しいが、怒り、後悔、迷いなど彼の躰から滲み出る感情の奔流は視聴者にも存分に伝わり、その自分自身を責め続けている姿には人間臭さしか感じない。そしてそれを根底から支えているのは、もちろん諏訪部順一さんの渋みのある好演だろう。彼と同様に拡張技術に人生を翻弄される鉄朗、同じ拡張技師として兄を探すメアリーのようにそれぞれの生き方がそのままドラマになっているのは、例えば『鋼の錬金術師』と同様だが、同作品の根底にあった「人間の業」のような一本の芯が通ればさらによくなるのかもしれない。


<15位> Lapis Re:LiGHTs(ラピスリライツ)

評価:A-

お気に入りキャラ:アシュレイ あるふぁ ロゼッタ

「魔法」×「アイドル」がテーマのメディアミックスプロジェクト。序盤と印象はほぼ変わらず、その一環としてのアニメ化と見るなら十分すぎる完成度であり、従来からのファンも満足できるものだったのでは。とはいえ、3DCGや楽曲のクオリテイは高水準だったものの今となってはこれが標準レベルになってしまい、これだけを武器にして新規を取り込むのはちと苦しかったか。アニメ単体としてより魅力的な作品にするには、ネタやギャグに振り切ったり、シリアスな感動路線を突き詰めるといった思い切った決断が必要だが、無責任な視聴者の立場だからこそそれは言えること。多数のキャラそれぞれに出番を与えつつストーリーとしてもそれなりに破綻しないようにするという観点からは非常に安定した作品に仕上がっており、先のコメントとは矛盾するがここから原作ゲームに入るファンがいてもなんらおかしくはないだろう。ただ、自分は違った。それだけのことである。


<14位> とある科学の超電磁砲T

評価:A-

お気に入りキャラ:帆風潤子

年初から始まり随分長いこと放送されていた気がするが、社会情勢に関わらず本作品のように本来の2クール作品を3クールの期間で放送するというのは、制作会社への負担の軽減から選択肢としては十分アリだと思うので今後も検討していってもいいのでは。今更ながら各話毎の盛り上がりが楽しい超電磁砲、シリアスな展開とスケールの壮大さを楽しめる禁書目録と棲み分けはできており、アニメ作品としての映えはこちらに軍配が上がるのもまた事実であるのだろう。また、禁書目録よりの感想としては超電磁砲初出のキャラは普通の口調であることが多いというポイントがある(禁書目録は原作がラノベなのでキャラの区別がしやすいように口調が印象的なキャラが多い)。後半戦では食蜂の思慮深さが非常に印象的であり、視聴前のイメージとは大きく変わった感がある。女王の配下にもよさげなキャラが多いので、この辺りを深掘りしたストーリーも見てみたい。


<13位> 宇崎ちゃんは遊びたい!

評価:A-

お気に入りキャラ:亜細亜実

作品の趣旨としてはそれなりに楽しめたのだが、最後まで宇崎ちゃんの見た目が受け入れられなかったのが非常に残念。やはりメインヒロインがベリーショートなのはリスクが高すぎであり、高校時代は髪が短かったけど大学生になって髪を伸ばしてこんなに可愛くなりましたという素直な選択肢を何故選ばなかったのかは理解し難い。これはもう、作者以上に適切な助言をしなかった担当者を小一時間問い詰めたい。また、大きすぎる目はともかく巨乳の作画への拘りが微塵も感じられず、ただ記号的にデカいだけでちっともエロスを感じなかった(むしろ視覚的に邪魔なレベル)。仮の話ではあるが、亜美さんがもう一人の後輩として登場していたら完全に人気をそっちに奪われていたと思う(もちろん、今の彼女のポジションも非常に気に入ってはいるが)。作品に作者のフェチが垣間見えるのはいいことではあるが、本作品については逆風になってしまった気がしてならない。


<12位> THE GOD OF HIGH SCHOOL

評価:A

お気に入りキャラ:―

韓国のウェブトゥーン原作のバトル系作品。とにかくバトルシーンの作画が凄まじく、そのヌルヌルキレキレの動きは惚れ惚れとする迫力とクオリティーであり、例えばこれがもし『NARUTO』のキャラだったらものすごく話題になっていたことは想像に難くない。一方、ストーリーは「徐々に異能力や前世の記憶に目覚めていく主人公」→「それに伴うインフレの加速化」という王道もとい典型的な少年漫画のような内容で特筆すべきものはなく、むしろ序盤から中盤にかけての徒手空拳でのバトルの迫力がなによりも素晴らしかったので、(必殺技の演出はなかなかカッコよかったものの)異能力バトル化はかなり残念ですらあった。ちなみに韓国人の女の子キャラが日本と同様の制服姿なのは不思議に思ったが、これは現地でもこういう文化らしい。なにはさておき日本の作品と同等以上のクオリテイを誇る作品だったので、こうしたレベルの高い作品もどんどん放送してほしい。


<11位> デカダンス

評価:A

お気に入りキャラ:ナツメ

作品数の増大から1話切りが横行する中、ストーリーの最初のインパクトを2話に持ってきたのは思い切った采配。1話ラストの十数秒にもその世界観の片鱗は垣間見えるのだが、『ガルパン』1話ラストの「空母だと判明するアングル移動→OP映像」の流れのように見せ方をもっと工夫すればそのインパクトはより鮮烈なものになっていただろうと思うと実に惜しい(本作品のOPが世界観のネタバレになっているので余計に)。そういう意味で今一歩名作になりそこねた惜しい作品というのが全体を通じての感想で、カブラギたちの本当の姿がイマイチ刺さらなかったのも痛い。その中にあって、ナツメの世界のバグと見なされながらもそのひたむきさでカブラギの朽ちかけた心に新たな息吹を与え、一度は見放された世界を救ってみせるという流れはどこまでも眩しく尊いものであり、最終話のラストカットでは思わずホロリときてしまったのもまた事実。う~ん、やはり惜しい。


<10位> 魔王学院の不適合者~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~

評価:A

お気に入りキャラ:サーシャ・ネクロン

定番の言葉ではあるが、1クールでストーリーのひとまずの区切りまでキッチリ描いてくれた点は素直に評価したい。どちらかと言えばシリアス調の作風にも関わらず主人公のアノスの言動に茶目っ気があり、最強の存在でありながら『Fate』のギルガメッシュに対するような愛着を感じられたのはなにより。その点、一番のお気に入りだったのがアノスの実家パートで、転生した魔王が普通の家族のようなやり取りをしているのがギャップ映えして面白く、ラブコメチックな展開になる点も非常によかった。このように、全体のストーリー展開としては特筆すべきものはないのだが各キャラを魅力的に見せるための立て方や感情の表現は上手く、目の前で繰り広げられるキャラ同士のやり取りが純粋に楽しかった(会話のテンポがいいともとれるかも)。この辺り、アニメの演出の効果もあるのかなと思わされるものがあり、作者もこの出来なら大いに満足できたのではないだろうか。


<9位> 炎炎ノ消防隊 弐ノ章

評価:A+

お気に入りキャラ:プリンセス火華

「弐ノ章」でも安定した作画は変わらず。本作品の最大の魅力が大久保篤先生の作風を忠実にアニメ表現に落とし込んでくれている点なので、引き続き感謝したい。「伝導者」や「アドラバースト」などの設定は流し見程度に理解しているが、こうした類のものは実は物語の装飾品にすぎない。作者がこれまでの作品を含め常に描きたがっているのは「人間の狂気」であり、かつての烈火星宮に代表されるような様々な形を持った狂気がぶつかり合い、その渦は作品世界全体に拡大してゆく。そしてそれは森羅すら例外ではないだろう。森羅についてはもう少し無双してくれた方が見ていて気持ちがいいのだが、新門大隊長の教えを受けてからは成長は加速しており、名実ともにヒーローに相応しい存在になる日も近いのかもしれない。先の展開が読みにくいだけに流れに身を任せるほかないが、制作会社の情熱が伝わってくる作品であるので安心してこの先も楽しみにしたい。


<8位> ガンダムビルドダイバーズRe:RISE 2nd Season

評価:A+

お気に入りキャラ:メイ ムカイ・ヒナタ

『ビルド』シリーズ最新作の後半戦。もう一つの現実世界としてのヒューマンドラマの成分の強さなど、これまでとは若干毛色が異なる作風であった点は評価が分かれるか。ただ、「らしさ」の継続はマンネリに繋がるリスクがあったこと、結果的にドラマとしての出来がなかなかに良かったことを踏まえればこの判断を自分は支持したい。結局、ヒロトたちとGBNの住民(特にカザミとマイヤ)が男女の関係で結ばれる可能性があるのかがぼかされていたのは致し方なしか。また、今回のEL(エル)ダイバー枠であるメイとヒロトの幼馴染であるヒナタはダブルヒロインの役割を担っていたが、この辺りの結末も同様にぼかされていたのはちと残念。とはいえ、前作のキャラも含めたオールスターの演出などまさしくシリーズの「集大成」と呼ぶに相応しい作品であったのは間違いなく、少なくとも『ダイバーズ』の物語としては有終の美を見事に飾ったと言えるのではないだろうか。


<7位> 彼女、お借りします

評価:A+

お気に入りキャラ:桜沢墨

本作品にはトムスの本気を嫌というほど見せつけられた(『ハチナイ』にもこれぐらい情熱を注いでくれていたら…)。安定のマガジンの系譜を汲むハーレム系ラブコメであるが、主人公の童貞力と下半身に正直に生きる姿には好き嫌いが分かれそう。かくいう自分は許容派であり、主人公が(特に瑠夏に対して)一途になってしまえばそれで話が終わってしまうので致し方なしといったところ。正直、今期の1期はおそらく既定路線であった2期までの下地作りという趣が見られ、もっと踏み込んでほしかった麻実の心の闇やそもそも出番が遅すぎた墨など本当の評価はこれからじゃないと…というのが本音。作品の設定上、これ以上ヒロインを増やすのは難しそうなので、あとはいかにしてこの状況を終着点へと導くかは非常に興味深い。そして、千鶴以外のヒロインが選ばれて大いに荒れてほしいとサブヒロイン好きの自分は思うのだが、昨今の風潮なら意外と実現するかも…?


<6位> ピーター・グリルと賢者の時間

評価:A+

お気に入りキャラ:ピグリット・パンチェッタ

武闘祭を勝ち抜き地上最強の男の称号を手に入れたピーター・グリルが、最強の遺伝子を目的に様々な異種族娘から子種を狙われるハーレム系作品。ピーター・グリルは基本真面目な性格なので、愛する婚約者への罪悪感を抱きながらも執拗な誘惑に抗えず致してしまうという流れがお約束であり、背徳感という観点からはむしろこっちの方がくるという人もいるのでは(かくいう自分もその一人)。エロゲまっしぐらの展開ではあるが、具体的な描写は残念ながらほとんど省略されており(文字通りの)朝チュンがこれまたお約束の流れとなっている。なお、dアニメストアには「大賢者ver.」という規制が緩い放送形態も存在するのだが、無念にもなおtkbは隠されている。たまにコマ送りにすると見えることがあるのだが、エロゲで堂々と見るときとはまた違う興奮があるのはなんとも不思議である。本来見えないものが見えるっていうのがやはり大事なんでしょうな…。


<5位> Re:ゼロから始める異世界生活

評価:S-

お気に入りキャラ:レム エキドナ

「試練」の描写を通じて、スバルの内面に切り込む展開が印象的だった2期。異世界転生した身でありながら、超人的な身体能力や魔法の才能はなく持っているのは魔女の呪いによる「死に戻り」の能力だけ。それは、その事実から自己犠牲の権化とならざるを得なかったスバルが救われていく物語にも繋がり、多分な痛みを伴いながらもここまでその痛みに真摯に向き合うのかという驚きが大きかった。節目で見られたエキドナとのお茶会はある意味2期最大の見所であり、ここに来てレム一強と思われたヒロイン論争に強烈な新星が表れたのは素直に歓迎するべきか。彼女然り、エミリアやレムもそれぞれの愛の形を持ってスバルを包み込むが、その中で彼が何を選び取り何を成していくのかはこの物語の原点にして矮小かつ壮大なテーマ。その数多ある異世界転生ものとは全く異なる視聴感を味わえる本作品は貴重であり、その価値に改めて気付かされた気がした。


<4位> メジャーセカンド 「中学生編」

評価:S-

お気に入りキャラ:椛島アニータ

※全話視聴後に執筆予定


<3位> バキ 大擂台賽編

評価:S

お気に入りキャラ:愚地独歩

これはもはや「バキ」というジャンルである。そう表現したくなるような独自の作品観がツボに嵌って毎週の放送が非常に楽しみだった。原作を知っている立場からは作画面での物足りなさが目立ったようだが、完全アニメ勢の自分にとっては無問題。むしろ、今更にしてこの世界を知ることができたことが非常に喜ばしい。登場人物それぞれが求める強さの形は様々だが、根底にあるのは俺が最強だという自負である。その中にあって、「二番目に弱い生き物でいい」という刃牙の発言は異質とも言えるが、それがまた魅力にも繋がっているのがなんとも頼もしい。作中のライバルたちからの刃牙の強さの評価の礎である1期のストーリーもここに来て重要に思われたので、これもいずれ視聴する必要があるだろう。なおネット先行で作中の名言を目にする機会も多く、刃牙の「ボクシングには…」が聞けた時は謎の感動すら覚えたのはアニメ勢ならではの特権だろうか(笑


<2位> 放課後ていぼう日誌

評価:S

お気に入りキャラ:帆高夏海

『ゆるキャン△』に続き、またまた世のオタクどもに楽しい休日の過ごし方を教えてしまった罪深き(?)作品。元々のんびりと堤防で釣りをするというのは男のロマンとも合致しており、この夏は各地の堤防が賑わっていたとしても何ら不思議はあるまい。バス釣りとは違い、「釣ったら食べる!」という流れが一貫しているのがポイントであり、食事シーンが美味しそうな作品はやはりことごとく名作なのである。そうしたツボを的確に捉えていることに加え、さすがの動画工房だけあって作画も安定しており、ていぼう部のメンバーが皆可愛く魅力的に描かれているのがなんとも素晴らしい。現実では男所帯になるのは想像に難くないが、こんなていぼう部があってもいいというのもまたロマンである。安定の大きさを誇る大野先輩もよかったが、意外と気配りができて勉強もできる夏海が個人的には一推し。夏海って名前の子に悪い子はいないよね(by『のんのんびより』)。


<1位> やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完

評価:S+

お気に入りキャラ:川崎沙希 比企谷小町

『リゼロ』とはまた違った形で心の痛みと戦うことになる今期の個人的覇権。エンタメ性という観点からは毎週の視聴に若干の心構えが必要だった点は否めない。だが、半時間後には必ず「今週も良かったわ~」と心が充足感で満ち溢れるのはお約束。『完』と銘打たれた3期は文字通りの物語の集大成であり、ダブルヒロインものが大好物の自分にとっては神回しかなかったのだが、その中にあって八幡、雪乃、結衣の「三人」は実は「二人と一人」でしかなかったのでは、という観点は実に興味深い。結果的にそう思えただけなのかもしれないが、雪乃と結衣は対等なヒロインではなくきっと誰かの頑張りによってこの関係は作られていたのだ。「本物」を見つけるためにまちがい続けた青春が「俺はアイツと関わりがなくなるのがイヤで…それが納得いってねぇんだ」というシンプルな結論に帰結したのは実に感慨深く、全方面が納得できる美しい結末だったといえるだろう。

―独断と偏見によるヒロイン総評—

雪ノ下雪乃 【嫁度:A】 

こういうめんどくさい子が自分だけを特別扱いして好いてくれるのはめちゃくちゃ嬉しいだろうなと思う反面、結婚したらキャリアウーマンとしての能力の高さに自分の劣等感が煽られそうで心の安らぎを求めて浮気してしまうかもしれない。そんな同人誌、誰か書いてくれないかなぁ…(チラリ 終盤の歩道橋の上のシーンで『めぞん一刻』のプロポーズシーンを思い出したのはきっと自分だけではないハズ(笑

由比ヶ浜結衣 【嫁度:A-】 

結局のところ、一番普通の女の子。こういう風に普通にいい子でモテそうな女の子があえて陰キャの主人公にアプローチしてくる展開は感情移入しにくい面もある。でも、普通に可愛い。彼女ならもっと普通の恋だってできたはずなのにあえて茨の道を突き進むもどかしさに全視聴者が悶々としたことだろう。終盤の八幡とのベンチシーンは個人的3期の最大風速ポイント。控えめに言って、表情芝居が神懸ってた。

一色いろは 【嫁度:A+】 

恋愛脳の小悪魔キャラと見せかけて、一度この人と決めたならめちゃくちゃ献身的に世話を焼いてくれそうな女の子。しかも、ひたすら甘やかしてくれそうな結衣とは違って適度に尻も叩いてくれそう。なんだかんだ、八幡とはクズ同士(小町談)一番相性がいいんじゃないかというのが個人的見解。実は雪乃以上に友達の少ない系ヒロインなのもポイント高し。最終的に彼女がかっさらっていっても自分は一向に構わんよ?

比企谷小町 【嫁度:S】 

全世界の妹がいない兄貴諸君でも絶対に分かる。「俺に妹がいたらこんなに可愛いわけがない」と。ガチの非モテオタク系主人公だったら、こんな風に嬉々として絡むこともないんだろうなあと思うとなかなか心が痛いが、少なくとも本作品の世界線では本当に仲の良い見ていて癒される兄妹である。キャラ付けとしてではなく会話の自然な流れで愛のある毒舌を吐く妹キャラって本当に貴重だと思う。

川崎沙希 【嫁度:S+】 

サブヒロインにしておくのが実に惜しい本作品の俺の嫁。3期冒頭で彼女の見せ場があったあたり、一定の根強い人気があるのは作者や制作陣も認識しているのではなかろうか。家事スキルも高いしビジュアルも抜群だし、可愛げもあって世話好きで包容力もあるとか反則すぎる。彼女の妹の存在も含めて、八幡とのやり取りは恋人を通り越してもはや夫婦のような空気を醸し出していたのはきっと気のせいではないはずだ。

平塚静 【嫁度:S-】 

社会人の立場からはウェルカム要素しか感じない名言製造機兼最優秀助演女優賞。3期屈指の名言である「共依存なんて簡単な言葉で括るなよ」には思わず痺れてしまった。2次元の世界では扱いがぞんざいになりがちな女教師キャラであるが、八幡がきちんと彼女の女性としての魅力を認識しているのはなにげに本作品のすごいところ。ていうか、彼女の方も結局のところ割と本気なのか?そんな同人誌、(以下略

雪ノ下陽乃

雪乃(と八幡)に超えるべきハードルを提供するためだけに存在するような立場はヘイトも集めがちになるだろうが、長女という立場故の心情は長男である自分にもシンパシーを感じる部分は多々ある。3期においては「共依存」というワードを持ち出すためだけに登場したようなものだが、実にナイスなアシストであった。

三浦優美子

一見、八幡とは相性の悪いギャル系キャラだが、こういう子こそifルートで抜群に輝く可能性も捨てきれない。彼女と友人である点が結衣をクラスでの上位グループのイメージに押し上げており、意外と本作品の設定的に重要な役回りだったりする。それが良い方向に向いていたのかは議論の余地が残るが…。

海老名姫菜

他のどのキャラよりも現実回帰を盛大に促してくる罪深き存在。こういうリアルっぽい反応を見せられるとものすごく傷つくので、彼女が前面に出てくるストーリーはなかなか心が痛いものがあった。こうして改めて振り返ってみると、結衣の友達って曲者揃いであんまり癒されないのは狙ってるのかいないのか。

折本かおり

「それあるー!」の人と言えばお分かりになるだろうか(笑 アニメの生徒会長とのシナジー効果によってネタキャラとしてブラシュアップされてカスタマーへの人気が抜群にアクティビティになったに違いない。あのシーン面白かったよね談義では滑り知らずのキャラであり、3期でも友情出演してくれたのには感謝。



<劇場版4位> 思い、思われ、ふり、ふられ

評価:A-

お気に入りキャラ:山本朱里

『アオハライド』の作者による青春三部作の最終作。原作は単行本全12巻とのことだが、映画としてのストーリーはシンプルに青春時代における甘酸っぱい男女の恋愛模様(=思い、思われ、ふり、ふられ)を描いておりドロドロとした愛憎劇要素も薄く、良く言えば非常に見やすい作品。逆に言えばサラッとしすぎていて印象には残りにくいとも言えるが、ティーンエージャーがリアルタイムで共感を得るにはもっとも適した作風だとも言えるのでは。個人的には少女漫画にはもっと心の深層に踏み込むような切り口の深さと鋭さを求めたくなりがちなのだが、映画として評価するなら限られた尺で描けることにテーマを絞りつつ鑑賞後に爽やかな気分にさせるというバランス感覚に優れていたのはなによりであり、これはこれで十二分にあり。三部作の中なら最初の作品になりそうな内容ではあるが、最終的にシンプルな方向に落ち着くというのもまた真理と言えるのだろうか。


<劇場版3位> 荒野のコトブキ飛行隊 完全版

評価:A

お気に入りキャラ:チカ

TVシリーズ全12話に完全新作カットを追加した総集編。事前に総集編だと知っていたら前売り券を購入したかどうかは怪しいが(TVシリーズは履修済)、天下の水島作品だけあり見応えは十二分。とはいえ、2時間でシリーズ全体を楽しめる「THE・総集編」以上でも以下でもなかったのが現実で、せめて4DXという付加価値ぐらいは付けないとわざわざ劇場に足を運ぶ必要性には乏しかった気がする。新作カットでもあったコトブキ飛行隊の結成経緯や隊員たちのその後などのビフォー&アフターストーリーを完全新作として制作してくれていたらという思いは誰しもが抱くだろうが、制作陣の考える劇場版の趣旨とはズレるのでこれはどうにもならないことなのだろう。劇場内でも「ガルパンおじさん」もとい「コトブキおじさん」がやはり客層の中心で、男のロマンをくすぐるという点においては水島節に忠実な作品だといえるので、未視聴の方には是非オススメしたい。


<劇場版2位> Fate/stay night [Heaven's Feel] III.spring song

評価:S

お気に入りキャラ:間桐桜

原作でも最長、最難である桜ルートをより分かりやすく大衆向けに、そしてあくまでも三部作の最終章であるということを前提にした尺や演出の工夫は、制作陣の苦心の結果だろう。常に劇場版クオリティが約束されている制作会社であるからこそ、凛ルートのようにTVシリーズによる長尺で見たかったというのは偽りのない本音。士郎と桜の暗く切ない絆の物語が前面に押し出された第一章・第二章と比較すると、王道的な燃える展開であった最終章は個人的には(相当レベルの高い比較であるのは間違いないが)やや好みとしては劣ったかもしれない。一番の要因はやはり本作品単体で見るなら「マキリの杯」としての桜がそこまで魅力的に映らず、彼女を命を賭して救おうとする士郎に感情移入がしにくかった点。あと10分、いやあと5分でもいいので尺を伸ばして在りし日の回想シーンでも挿入してくれていたら全然印象は違ったんだろうなと思うと実に惜しい。


<劇場版1位> 劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン

評価:S+

お気に入りキャラ:ヴァイオレット・エヴァーガーデン

当初の公開予定から9か月後に公開された待望の劇場版。どこまでも純化されたストーリーはひたすら真っ直ぐに我々の心に突き刺さり、多くの人が望んだであろう結末へと至る。髪の毛一本一本にまで神経の行き届いた溜息が出るような作画はもはや語るまでもなく、間違いなく手書きアニメーションの極致の一つであろう。「私はいま、"愛してる"も、少しは分かるのです」と綴られた彼女の言葉は印象的で、同時に上手いなと改めて感じさせられた。彼女は知っているのだ。愛を知ったなどと語るのはきっと驕りであり、どこまでも形の掴めない未知で不可思議なものであるのだと。しかし、代筆の仕事を通じて多くの人々に出会い、その想いを手紙に綴ってきた彼女はやがて自分のこの感情もまた一つの「愛してる」であったことを知ることになる。その時これまでの物語が新たに塗り替えられ、また最初から見直したくなったのはきっと自分だけではないはずだ。




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