よく切れるナイフと何回も針を落とすレコード
豆と小鳥エピソード110はバクとナミンで「裏腹な言葉」について話しています。
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忘れたいのに、忘れられない。
大切なことは忘れたりするくせに、覚えててもしんどいだけやのに、
今でもその時の教室の明るさや湿度やささやき声を覚えてる。
中一の授業中にY君から私に向けて、
クラスのみんなに聞こえるように放たれた
あの言葉を超えることができない。
私は瞬間にその言葉で殺された。
もう元の世界には戻れない、
二度と笑えないんじゃないかとその夜、思った。
もう46年も前の事なのに、
今でも思い出すと古傷が癒えてないことに気づく。
なんであんなひどいことを言われたのかは、
私にも思い当たるフシがある。私にも原因がある。
今でもY君を恨んでるとかそんなことはないんだけど、
言葉は凶器にもなるってことを、殺傷力があることを
忘れてはいけない、そう思ってる。
反対に何度、思い出してもニマニマしてしまう
ビタミンのような言葉も大切に覚えてる。
その言葉をかけてくれた人は私が後生大事に何度も
再活用してることを知ったら爆笑するかもしれない。
疲れた時や落ち込んだ時には、秘密の宝箱から丁寧にその言葉を
掬い上げ、そーっと抱きしめる。
繰り返しreplayするレコードみたいに、音を立てずに針を下ろす。
ココロに刻むように、浸透させるように、思い出しては反芻する。
何年たってもその言葉は劣化せず、
いつも同じ温かさと美しい色調で私を照らしてくれる。
言葉は薬、滋養強壮剤、光へ向かう道しるべにもなる。
今の私ができるまでに、多分、両方、必要だったんだろう。
サクっとよく切れるナイフと飽きることのない大好きなレコードが。
扇風機の風に吹かれながら
わらび餅を食べる時はくしゃみしないで
まだ世界が眠ってる早朝のお散歩のお供に
聴いてくださったらうれしいです。
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