亡き母の誕生日

亡き母の誕生日は5月29日。
1年前のこの日、母が運び込まれた病院に、治験コーディネーター講座の講師として呼んでいただき、私は、母が火事の後に運び込まれた病院に、あの日以来、行ったのでした。

講義を済ませた後、記憶を頼りに病院内を歩きました。
母が運び込まれた時は夜だったので、真っ暗だった当時の様子とは異空間のように感じられ、ぼんやり外に出た時に、母がバンに乗せられ運び出された裏口を見つけてしまいました。

夫は初めての抗がん剤治療中。
父は他界しており、私一人。
火事で亡くなると、家族は事情聴取を受け、遺体は警察が検証のために連れていくのだという事実に圧倒されながら、1人、テールランプを見た時のことを思い出しました。

奇しくも母の誕生日であった昨日、私はブルーインパルスを見るために、歩道橋の上に立ちました。
絶望の中にいた時、何回も歩道橋の上から下を眺めたこともありました。

その歩道橋の上で、私は青空を飛ぶブルーインパルスを見ている。
辛い時はどうしても下ばかり見てしまいがち。

ブルーインパルスに、賛否両論あったようですが、医療者への感謝とともに、青空を見上げることから、また頑張ろうと思えた人もいたんじゃないかなと思います。
私は素直に感動し、あの時から毎日を生きてきた自分のこともしみじみ振り返ることができました。

辛い時、何回か、『上を向いて歩こう』を口ずさみながら歩いたことがあります。
歌詞では、『涙がこぼれないように』とありますが、上を向くと必ず涙はこぼれます。
下を向けば頬を伝わらない。
自分の涙でも頬を伝われば温かいのです。

昨日、ブルーインパルスをスマホで追いながら、涙があふれました。


生きているんだなと思いました。

全国胃がんキャラバン、多くの人にがん情報を届けるグリーンルーペアクションに挑戦しています。藁をもすがるからこそ、根拠のある情報が必要なのだと思い、頑張っています。