光射し込む4月の教室 #2000字のドラマ
「なんだか初めて会った気がしないね」
そんな白々しいほどクサい台詞が、春が始まったことを教えてくれた。
今日はアルバイト最終日だというのに赤荻はいつものようにレジの前で大きな欠伸を連発していた。
「目赤いけど、もしかして彼氏と喧嘩でもした?」
レジ前の文庫本コーナーの整理をしながら店長が声を掛けてきた。彼のワックスでバッチリと決められた髪型と同様、そのコーナーには手を出したくないほど綺麗に本が並べられていた。
「いや、昨日は夜遅くまで友達とオンラインゲームに熱