廣末登著「テキヤの掟」 感想

昔からの素朴な疑問として「テキ屋とヤクザはどう違うのか」「ヤクザじゃないのになんで怖い人達と同じ雰囲気が出てるのか」というのがあったが、それにある程度の解答が得られた気分。

いわゆるヤクザとは稼業が違う。テキ屋は実際に自分でモノ売ってお金を稼ぐ。ヤクザは一般人の稼ぎの上前をハネる。怖い雰囲気に関しては縁日の場所割りや周辺住民とのトラブルに備えて地元のヤクザとの交渉前提で似た雰囲気が必要だったからと。警察の暴力団対策課の人が似た雰囲気があるとはよく聞きますね。家長制度を残して疑似家族形態のタテ社会を形成するとああいう感じになっちゃうのかもしれない。規模こそ違えど戦前の一般家庭も似た雰囲気があったのかもと思う。

もうテキ屋を辞められた方2名の長めのエピソードが紹介されてますが、地味ながらも義理・人情・粋等々の散りばめられたいい話が多くて、こういう価値観で仕事されてきたのがわかるいい内容でした。

でもいくら稼業が違ってもヤクザと兄弟の盃交わしちゃったりすれば暴対課からしたら規制対象にしかならないのでは?と思ったのも事実。

それから値切られた時に「また今度お願いしますね」ってのは素晴らしい返し文句だなと思った。

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