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旅先の恋はまぼろし|日々の雑記#76

善光寺さんのお膝元というか、左脇の下あたりに住んでいました。

最寄りは長野電鉄線の善光寺下駅。初えびすやえびす講で有名な、西宮神社のご近所です。
県内有数の歓楽街、権堂にも歩いて通えるロケーション。都内で言えば、歌舞伎町の徒歩圏内に住む感覚でしょうか。
新宿区役所周辺のレンタルルームなんて、下手したら嬌声と銃声しか聞こえません(偏見)。だけど城山公園にも近かったあのアパートは、住宅街でも野趣に富み、春にはうぐいすの声が聞こえたことを懐かしく思い出します。

長野で暮らしたのは20代半ばと40歳の前後。通算すると7年近くの時を過ごしました。

思い出はたくさんありますが、基本的には酒にまつわる失敗ばかり。七色のネオン輝く、夜のメモリーが中心です。善光寺の近所に住んでいても、参詣した記憶はそんなにないもんです。

先日、久しぶりに長野に泊まる機会があり、せっかくなので朝イチでお参りしてきました。

清々しい朝の善光寺界隈

早朝から訪ねた目的はお数珠頂戴
善光寺の偉い方(宗派違いでお二人、貫主様と上人様がいます)から数珠で頭を撫でてもらう、由緒正しきアクティビティを体験したかったのです。
生憎、どちらの神様仏様ともマッチングしていない不信心者不審人物ですが、地獄極楽に興味津々で、こういうイベントは大好きなんです。

参拝を済ませ境内をぶらぶらしていたら、案内が掛かります。参道に膝を付き、合掌しながら待つこと5分。大勢の関係者を伴い、朝の法要を終えたトップスターがいらっしゃいました。
まるで学園の上位カーストを見つめる少女マンガ的シチュエーション。
「トゥクン(トゥンク?)」
否応無く胸が高鳴ります。
一歩一歩近づいてくるあの人、そしてついには頭をポンポンされて、旅先での出会いにうっかり結縁けちえんしちゃうところでした。

お数珠頂戴に並ぶ人の列

これで功徳を授かるそうで、その後にひいたおみくじは大吉。幸先良いスタートです。つい調子に乗って、金儲けやモテなどの俗な願いをしたくなりますが、せっかくの爽やかさが台無しです。昔住んでいたあたりを散歩して、気持ちを鎮めました。

時刻はまだ7時前。
冷涼な朝の空気に身を置くと、
「長野にいるんだな」
ってあらためて実感します。

八幡屋礒五郎が営むカフェの前には、見覚えのある缶を載せた素敵なトラック。こういうのはレッドブルやモンスターエナジーで見たことがありますが、長野の場合はリンゴ畑にある赤い作業車にも見えます。

商品配送をするトラックだそう

数あるおやき屋さんの中で最も好みな南屋製菓店には、開店一番乗りでした。
定番の野沢菜、切り干し大根、丸ナスに加え、この時期しか買えないふき味噌のおやきを入手、柏餅もありましたので迷わず購入します。
初春、それも朝早くに出来立てのうぐいす餅があったら、ぜひお試しください。一度食べたら空を飛ぶうぐいすを見て、喉が鳴ってしまうほどの美味しさですから。

定番と季節限定、年中楽しめます
餅を扱うお店なので「餅生菓子」もおすすめです

それにしても長野時代、どうして私はお酒ばっかり呑んで、貴重な朝の時間に天井を回していたのでしょうか。今更ながら悔やまれます。

長野へ旅行する機会がありましたら、ぜひ早起きして善光寺界隈を訪れてみてください。美味しいお酒に負けないくらい、朝の空気も、その町並みもご馳走です。

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