小川糸さんの「ライオンのおやつ」を読んで生きることを考える
25年以上勤めたお堅い職場を早期退職して、現在、小学生男子を育てながら主婦をしているまめさとです。
私の読書スタイルは、いわゆる気に入った作家さんの作品を読みつなげていくという「作家読み」。
どうしてもおなじ人の本ばかり読んでしまうので、noteには一人の作家さんにつき1冊だけ感想を書く、というルールを勝手に決めておりました。
しかし、この本ばかりはどうしても感想を書きたくて、2度目の小川糸さんです。
このお話では、余命宣告され、残された命があとわずかとなった30代前半の女性が過ごしたホスピスでの日々が描かれています。
テーマは非常に重い。
しかし、不思議なくらいに悲壮感はありません。
ここに出てくるホスピスが素晴らしく、主人公の最後も私にとってはある種、望ましいとすら感じました。
そんなふうにあまりにも理想的で、ともするとおとぎ話になりかねないのに、そうはならず、ちゃんとリアリティと厳しさがある小説。
読み終わった後、自分の生について深く考えさせられました。
具体的な内容については、ぜひ本を読んでいただきたいので書きませんが、すごい小説です。
人は必ず死ぬ。
当たり前のことですが、ほんの少し前まで、私にとって、それはあくまで単なる知識にすぎませんでした。
しかし、アラフィフになって、親の老いを感じ、子供のころ活躍していた芸能人の訃報をたびたび耳にし、何より自分自身が体の衰えを知覚するようになってきました。
夜寝るときなど、ふとした拍子に、人生の残り時間がリアルに迫ってきて背筋がヒヤッとするような感覚を覚えることもあります。
いつか死ぬことは100%決まっている。
でもいつ死ぬのかなんて誰にも分らないし、自殺でもしない限りどう死ぬのかも厳密には決められない。
結局、自分で選べるのは、どんな心持で日々を生きていくかだけなのかなと。
そんなことを考えた1冊でした。
小川糸さんの小説は、どのお話も一筋縄ではいかず、読みごたえがあります。
世の中の厳しさや残酷さもちゃんと描かれているのに、どこか救いもある。
大好きです。
本日の写真:コスモス畑
世の中、いろいろありますが、花はいつも美しい。
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